カナダが車両盗難の中心地に(2024/07/10)
カナダの車両が犯罪者に狙われている。パンデミックによる世界的な車不足を背景に、カナダに人気車種が多いことや、税関の管理体制の緩さも指摘されている。
7月9日付英
『デイリー・エクスプレス』:「車が5千マイル先まで運ばれる”車両盗難大国”」:
カナダでは5分に一台が車両盗難に遭っており、カナダ保険協会は国際刑事警察機構(インターポール)が対応しているこの状況を「国家危機」と呼ぶ。
2022年には、各地で車両10万5千台以上が盗難されたとみられており、盗難車が数千キロ離れた他国で販売されていることもよくある。インターポールによると、カナダ国民から盗まれた1500台以上の車が、2024年2月から5月にかけ世界中で販売され、更に毎週約200台が世界の港で見つかっているという。...
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7月9日付英
『デイリー・エクスプレス』:「車が5千マイル先まで運ばれる”車両盗難大国”」:
カナダでは5分に一台が車両盗難に遭っており、カナダ保険協会は国際刑事警察機構(インターポール)が対応しているこの状況を「国家危機」と呼ぶ。
2022年には、各地で車両10万5千台以上が盗難されたとみられており、盗難車が数千キロ離れた他国で販売されていることもよくある。インターポールによると、カナダ国民から盗まれた1500台以上の車が、2024年2月から5月にかけ世界中で販売され、更に毎週約200台が世界の港で見つかっているという。
カナダは調査対象国137カ国中、盗難被害トップ10に位置づけられている。近年カナダが盗難車の主な輸出拠点として浮上した理由の一つとして、SUVやクロスオーバー車など、人気車種が多いことが挙げられ、その多くが中東や西アフリカへ輸送されるという。
昨年2023年だけでも、保険会社が負担した保険金総額は8億6千万ユーロ(1.5兆円)に上っており、問題が注目され始めた2018年の約3倍となる。
専門家によると、盗難車は通常、様々な犯罪に使用されたり、利益を上げるため売られる。一部が国内で売られる場合もあるが、大半は海外に運ばれるという。
今年4月、オンタリオ州警察とカナダ国境サービス庁による捜査で、海外に輸送される前に589台が押収されており、その大多数はオンタリオ州での盗難車で価格にして1970万ユーロ(約33億円)分となる。
しかし、警察の検挙は追いついておらず、2022年オンタリオ州での盗難犯罪は前年比で34%増加し、3万7千件だったが、同時期の容疑者検挙はわずか4%増の88件だった。
同日付英『BBC』:「カナダが車両盗難の中心地に」:
2022年カナダでは車両10.5万台以上が盗難被害にあった。その被害者の中にはカナダ司法大臣も含まれ、公用車のトヨタ・ハイランダーは2回も盗まれている。
今年、インターポールはカナダを車両盗難ワースト10カ国に指定。同国での調査は2月に開始されたばかりで、これは異例だという。この国家的危機に、警察は国内各地に「車を盗難から守る方法」を示す広告を掲示している。
盗難予防策として追跡装置を自分で装着したり、セキュリティ会社に登録する人、更には自宅の私道に銀行や大使館にあるような車止めポールを設置する人までいる。
最新統計によると、米国、カナダ、英国では、パンデミック以後の車両盗難が増加しているが、カナダでの盗難率(10万人あたり262.5人)は、英国(10万人あたり220人)より高く、10万人あたり約300台の米国に非常に近い。
「カナダ自動車協会」によると、近年の盗難増加は、パンデミックによる世界的な車不足による需要増や、世界的に一定の車種の需要が高まっていることが要因となっており、これが犯罪組織の主な収入源となりつつあるという。また、カナダの港の管理体制が緩く、入国審査にフォーカスするあまり出国審査が手薄なため、車両が輸送コンテナに入ってしまうと押収が難しい点が、他国に比べてこの種の犯罪に有利となっていると指摘されている。
今年4月の報告書によると、カナダ国境サービス庁は慢性的な人手不足に喘いでおり、また技術面での遅れも問題視されている。オンタリオ州ブランプトン市長は、米国ニュージャージー州のニューアーク港で高性能スキャナーを持つ米国との検査技術の違いを視察。今年5月、カナダ政府は荷物検査性能向上のための投資を提案。警察も各地での車両盗難対策への予算増加を予定している。
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EU、当初案どおり中国製電気自動車(EV)に17.4~37.6%の追加関税賦課を決定【欧米メディア】(2024/07/06)
欧州委員会(EC、1950年設立のEU政策執行機関)はこの程、6月中旬に公表した素案どおり、政府補助金による不当廉売を行っているとして中国製EVに17.4~37.6%の追加関税を賦課すると発表した。ただ、中国側の報復関税を恐れて、あくまで暫定的なものとしており、米政府が予定している100%関税賦課案に比べて遥かに低い。
7月4日付
『BBCニュース』、5日付
『ロイター通信』等は、ECがこの程、当初予定どおり中国製EVに7月5日以降追加関税を賦課すると発表したと詳報している。
ECのウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長(65歳、2019年就任、元ドイツ国防相)は7月4日、当初予定どおり、7月5日以降EUに輸入される中国製EVに対して、17.4~37.6%の追加関税を賦課する旨発表した。
この追加関税は、元々の関税10%に付加されるものだが、今後とも貿易関係是正のための関係者間交渉が続けられるので、暫定的措置だとも付言している。...
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7月4日付
『BBCニュース』、5日付
『ロイター通信』等は、ECがこの程、当初予定どおり中国製EVに7月5日以降追加関税を賦課すると発表したと詳報している。
ECのウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長(65歳、2019年就任、元ドイツ国防相)は7月4日、当初予定どおり、7月5日以降EUに輸入される中国製EVに対して、17.4~37.6%の追加関税を賦課する旨発表した。
この追加関税は、元々の関税10%に付加されるものだが、今後とも貿易関係是正のための関係者間交渉が続けられるので、暫定的措置だとも付言している。
EUとしては、中国側が例えばコニャックや豚肉等EU産品に対して報復関税をかけてくることを恐れて、あくまで協議は継続されると強調している。
すなわち、ECのバルディス・ドンブロウスキス副委員長(52歳、2016年より金融・資本市場同盟担当、元ラトビア首相)は、“今回の決定は、あくまで(政府補助金による不当廉売等の)不適切競争の是正である”とした上で、“今後も中国側との交渉は継続されるため、双方にメリットとなる解決策が合意されれば、当該追加関税の適用がなくなる可能性がある”と付言した。
EC側のデータによると、中国製EVは2019年の1%から昨年には8%となり、2025年には15%にも達するとしていて、販売価格がEU域内産EVより20%も安価で取引されていることがシェア増加の原因だとしている。
かかるEC側発表に対して、中国商務部(省に相当)の賀亜東報道官(フー・アドン)は7月4日、“欧州と中国側が同じ方向を向いて誠意を示し、できるだけ早く協議プロセスを進めることを望む”と述べて牽制している。
今回の暫定関税措置によって、政府補助金の受領額やECによる昨年9月からの反補助金調査への協力の度合いに基づき、比亜迪(BYD、1995年設立)は17.4%、吉利汽車(Geely、1997年設立)は19.9%、上海汽車(SAIC、1958年設立の国営企業)には37.6%が従来の10%に上乗せされて適用されることになる。
また、同様にECの調査に協力した米テスラ(2003年設立)、ドイツBMW(1916年設立)等の中国製逆輸入車には20.8%の追加関税に止め、非協力だった他メーカーの中国車には37.6%を賦課するとしている。
かかるECの発表に対して、欧州最大のドイツVW(1937年設立)は早速、“今回の決定は、特にドイツの自動車メーカーにとって深刻だ”とし、“中国政府による報復関税等、中国向け輸出車が不当に扱われることで、大変不利益となるからだ”との非難声明を出した。
VW等ドイツメーカーは昨年、全販売台数の3分の1を中国国内で売り上げているという事情がある。
一方、米政府が今年8月から、中国製EVに賦課するとする関税は、今回のEC発表より遥かに高い100%とされている。
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