米・英国メディア;トランプ氏、過去40年で最も不人気な大統領として就任
ドナルド・トランプ次期大統領がいよいよ1月20日に誕生するが、直近の世論調査の結果、過去40年余りで最低の支持率のまま就任式に臨むこととなった。ただ、米国民の過半数は、トランプ氏によるツイッター攻撃に恐れをなして、多くの米企業が米国内での新規投資・雇用創出競争を繰り広げ始めていることから、雇用問題については期待している模様である。なお、例によってトランプ氏当人は、当該世論調査を行ったメディアに対して、事実無根と即日ツイッター攻撃している。
1月17日付米
『Foxニュース』(
『CNNニュース』配信):「ドナルド・トランプ氏、世論調査結果を拒否して大統領就任」
「●CNN/ORCによる直近の世論調査の結果、トランプ次期大統領の支持率は僅か40%と、2009年に就任したバラク・オバマ大統領が得た支持率84%の半分以下。
●同じ共和党のジョージ・ブッシュ前大統領が、票の再集計のトラブルがあったものの、それでも2005年の就任時の支持率は61%。...
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1月17日付米
『Foxニュース』(
『CNNニュース』配信):「ドナルド・トランプ氏、世論調査結果を拒否して大統領就任」
「●CNN/ORCによる直近の世論調査の結果、トランプ次期大統領の支持率は僅か40%と、2009年に就任したバラク・オバマ大統領が得た支持率84%の半分以下。
●同じ共和党のジョージ・ブッシュ前大統領が、票の再集計のトラブルがあったものの、それでも2005年の就任時の支持率は61%。
●しかし、トランプ氏は1月17日、当該世論調査結果が発表されてから僅か数時間後、CNNに対して、いんちきな選挙調査をした同じメディアが、支持率操作を行っているとツイッターにて反撃。」
同日付米
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「トランプ氏、不人気にめげず背筋を伸ばしてホワイトハウス入り」
「●トランプ氏は多くの先達者を超越しているが、支持率においても同様で、オバマ大統領の支持率が44%にまで下落するのに18ヵ月かかり、また、ブッシュ前大統領の場合は、4年半もかかったのに、トランプ氏は大統領就任前に既に最低支持率を更新。
●これまでの大統領は就任直前に、選挙戦で敵・味方となった米国民の一致団結を求めて奔走するのに、トランプ氏の場合は、公民権運動の象徴的人物、ハリウッドの女優、米情報局、国防総省の取引先(兵器メーカー等)、欧州首脳、更にはオバマ大統領まで敵に回してツイッター攻撃。
●昨年11月の投票日当日、中西部の州で逆転現象が起きたものの、直前の支持率はヒラリー・クリントン候補48%に対してトランプ候補46%であり、実際の有権者投票数も同様の結果(編注;クリントン氏5,900万票に対して、トランプ氏5,600万票)。
●議会はこれまで、人気の高い大統領の方に敬意を示す傾向があったので、(共和党が多数派の)議会が、今回の世論調査の結果をどう評価するか注目。」
1月18日付英
『ジ・インディペンデント』紙:「ドナルド・トランプ氏、直近40年で最も
不人気の大統領として就任」
「●直近の歴代大統領も、ビル・クリントン氏(民主党、1997年就任時)は67%、票の再集計で最高裁の判断が必要となったジョージ・ブッシュ氏(共和党、2005年就任時)でも61%
●ただ、世論調査の結果では同時に、米国民は、トランプ氏が更なる景気回復を後押しし、テロの脅威に立ち向かってくれるものと期待していることも判明。」
同日付英
『Yahooニュース英国版』(
『AFP通信』配信):「トランプ氏、憂鬱な評価結果のまま就任-但し、雇用への期待は別」
「●米国民からの人気は最低レベルながら、同時に雇用創出への期待は大で、1月17日にリリースされた世論調査結果では、61%の人が、トランプ氏が賃金レベルの高い新規雇用増を達成してくれると期待。
●これまで、トランプ氏の当選後、空調設備製造会社のキャリアー社、日本のソフトバンク、フォード、フィアット・クライスラーが米国内での新工場建設計画をぶち上げ。
●更に、直近でも、アマゾンが米国内で10万人の雇用創出を約束、また、GMも1月17日、米国内工場に10億ドル(約1,130億円)を投じて5,000人の雇用を創出すると発表。
●そして同日、ウォルマートも68億ドル(約7,680億円)を投じて1万人の新規雇用を確保すると発表。
●なお、トランプ氏が、公民権運動の象徴的存在であるジョン・ルイス下院議員(76歳)の非難声明に対して、口先だけで何も行動しない政治家だとツイート攻撃したが、これに反発した民主党の上・下院議員の40名以上が、1月20日の大統領就任式を欠席する旨公表するという異常な事態。」
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米・英・ロシア・中国メディア;習主席、中国主導の経済連携協定を推進
11月15日付
Globali「トランプ新大統領の対中国政策」の中で、“トランプ氏は(11月14日の)習主席との電話会議で、両国間の協力体制構築を目指すことで一致した模様で、選挙期間中の中国を目の敵とした発言と打って変わった対応をしている”と報じた。しかし、狡猾な習主席は、中国抜きの環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に反対を表明しているトランプ氏がTPP成立を困難にさせると読んで、アジア太平洋協力会議(APEC)の首脳会議を利用して、中国主導のAPECメンバーによる経済連携協定設立を呼びかけている。
11月20日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「中国の習主席、トランプ氏の保護主義に対抗して自由貿易協定推進を宣言」
「●ペルーで開催されたAPEC首脳会議の11月19日講演で習近平(シー・チンピン)主席は、ドナルド・トランプ候補が保護貿易主義を主張している点を問題視し、中国主導の自由貿易協定の設立に邁進すると宣言。
●トランプ候補及び議会多数派の共和党が、TPP(中国はメンバー外)の批准には応じないと見るや、中国が以前から画策してきた“東アジア地域包括的経済連携(RCEP、注後記)”をベースとした新たな経済連携協定を模索。...
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11月20日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「中国の習主席、トランプ氏の保護主義に対抗して自由貿易協定推進を宣言」
「●ペルーで開催されたAPEC首脳会議の11月19日講演で習近平(シー・チンピン)主席は、ドナルド・トランプ候補が保護貿易主義を主張している点を問題視し、中国主導の自由貿易協定の設立に邁進すると宣言。
●トランプ候補及び議会多数派の共和党が、TPP(中国はメンバー外)の批准には応じないと見るや、中国が以前から画策してきた“東アジア地域包括的経済連携(RCEP、注後記)”をベースとした新たな経済連携協定を模索。」
同日付米
『NYSEポスト』オンラインニュース:「中国、トランプ氏がTPPを葬り去った途端に主役に躍り出る用意」
「●中国は、自身を除いたTPPに懸念を抱いていたが、TPPに反対する共和党のトランプ候補が大統領選に勝利したことで、TPPの成立が危ぶまれると読み、代わって中国主導のアジア太平洋地域自由貿易協定(FTAAP)設立に打って出ると表明。
●一方、世界のメディア報道では、安倍晋三首相は、米国参画は一旦後回しとして米国抜きの11ヵ国でのTPPをまず立ち上げるとの案を検討中とするが、豪州のスティーブン・チオボ貿易・投資相は、中国主導のAPECメンバーによるFTAAPの設立を望むと発言。」
同日付英
『Yahooニュース英国版』(
『ロイター通信』配信):「中国、各国首脳が自由貿易推進に頓挫するようなら、自らが主導する経済連携協定を推進すると宣言」
「●TPPに反対を表明していたトランプ候補が勝利したことで、世界各国の首脳は中国がAPECでどういう対応を見せるか注目。
●そこで中国の習主席が、中国主導のFTAAP設立を目指すと宣言。
●一方、TPPメンバー国はAPEC会議とは別に会合を持ち、オバマ大統領の進言の下、TPP批准を目指すことを確認したと日米高官がコメント。」
11月19日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「中国首
脳、APECメンバーによる自由貿易協定設立を呼びかけ」
「●習主席は、中国は今後5年間で、6,000億ドル(約66兆円)の投資を受け入れ、また、7,500億ドル(約82兆5,000億円)を海外投資する用意があり、更に貿易高も8兆ドル(約880兆円)に上ると予想されるので、中国主導の自由貿易協定設立はAPECメンバー国にとって有益となろうと発言。」
11月20日付中国
『環球時報』:「習主席、関係各国に自由貿易協定設立への支援申し出」
「●APEC首脳会議において習主席は、TPPが頓挫した場合、中国主導のAPECメンバー国によるFTAAP設立に向けて積極的に動くと講演。
●APEC首脳会議議長国のペルーのペドロ・パブロ・クチンスキ大統領は、TPPは米国を除く形とし、中国かロシアを新たなメンバーに加えて再編成することが望ましいと発言。」
(注)RCEP:東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10ヵ国に、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの6ヶ国を含めた計16ヶ国でFTAを進める構想。世界の国内総生産(GDP)の約30%、世界人口の半分を占める規模。
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