ドイツは先月下旬、漸く重い腰を上げて、世界で最も近代的な戦車のひとつであるレオパルト2(注後記)をウクライナに供与すると発表した。同時に、可及的速やかにウクライナ兵士の訓練をドイツ国内で実施するとも付言した。そしてこの程、訓練のためにドイツに派遣されたウクライナ兵が同戦車を以てして、世界に冠たるメルセデスベンツのような存在だと感嘆している。
2月21日付
『ロイター通信』は、「ドイツで訓練を受けているウクライナ兵、レオパルト戦車はメルセデスのようだと感嘆」と題して、ドイツから供与される戦車の操縦訓練に派遣されたウクライナ兵が、同戦車を評して世界に冠たるメルセデスのようだと感嘆していると報じた。
ドイツから供与されることになったレオパルト2戦車の操縦訓練を受けたウクライナ兵士(57歳)が2月21日、世界に冠たるメルセデスのようだと感嘆した上で、同戦車隊が前線に配備されることになれば、突破口になると期待されると語った。
同兵士は、ドイツ北西部のミュンスター訓練地に派遣された数百人のひとりで、操縦訓練等を受けた後に戦車とともにウクライナの前線に移動することになる。
ドイツ政府は先月、西側陣営の中で最良戦車のひとつとの評価を有するレオパルト2戦車をウクライナに供与することを決定していた。
同政府としては、ロシアを撃退するために必須だとするウクライナの要請に応えた訳だが、かかる大型兵器の提供に踏み切ったことから、ロシア側は早速深刻な挑発行為だと非難している。
一方、先のウクライナ兵士は、“この最新鋭戦車を使いこなせるようになれば、局面を打開することができて最終的に戦争に勝利することになろう”とコメントした。
更に同兵士は、西側諸国とソ連システムの違いを問われて、“卑近な例を挙げれば、メルセデスとジーグル(1970~1988年生産・輸出されたソ連製自動車)程の大きな違いがある”と、西側諸国向けにラダ名で輸出されていた車との比較に言及していた。
ウクライナの外相は先月、ドイツ製レオパルト2を含めて、西側12ヵ国から120~140台の近代的戦車が“第一陣”として提供される予定だと表明している。
なお、ドイツだけで数百人のウクライナ兵を兵器等使用訓練のために受け入れていて、欧州全体で計1万5千人の兵士を訓練している。
ドイツのボリス・ピストリウス国防相(62歳、2023年1月前任辞任を受けて就任)は、訓連を受けているウクライナ兵を称して、“最前線で戦っていたばかりの兵士が訓練のために訪独しているが、彼らの顔はいずれも真剣で感銘を受けている”とし、“訓練終了後、提供する戦車とともに再び前線に戻っていく”と感慨深くコメントしている。
また、レオパルト2操縦訓練の責任者であるドイツ軍中佐は、“彼らは皆知識を得ようと貪欲で、5週間後(3月末)にウクライナに戻るまでに全て習得しようと真剣だ”と述べている。
同日付『AFP通信』は、「ウクライナ兵、ドイツ戦車操縦訓練を2倍速で習得中」と詳報している。
ドイツから提供されるレオパルト2戦車操縦訓練に派遣された数百人のウクライナ兵は、1日12時間、週6日という日程で訓練を受けている。
彼らは皆真剣で、できるだけ早く全てを習得しようとしており、不明部分があれば休日とされる日曜にも訓練を受けようとしている。
あるウクライナ兵士は『AFP通信』のインタビューに答えて、“本国にいる同僚兵は皆、敵を殲滅するためにも、我々が一日も早く習得して前線に戻ることを心待ちにしている”と表明した。
彼は他の兵士と共に、レオパルト2戦車及びマルダー歩兵戦闘車の操縦訓練に臨んでいる。
彼らの訓練実施進捗を担うドイツ軍中佐は、訓練場所であるドイツの田舎町ミュンスターには砲弾の飛び交う音等は全く聞こえないが、ウクライナ訓練兵の心は常にウクライナ戦地にあるようで、彼らの習得意欲には感銘を受けている、とコメントしている。
(注)レオパルト2:ミュンヘン本拠のクラウス=マッファイ・ベクマン(1931年前身設立)製造の第3世代戦車。1979年運用開始。欧州13ヵ国が導入していることから欧州標準戦車と呼ばれる。この他、カナダ・チリ・インドネシア・シンガポール等が保有。砲撃しながら移動しても照準がずれないのが特徴で、走行スピードが速く機動性にも優れた攻撃力の高い戦車。
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日本の製品を含めた最新の研究調査によると、乳児用の調整ミルクの栄養機能については、「ほぼ根拠がない」か「全く根拠がない」という。専門家は、世界的なルール強化を求めている。
2月15日付英
『Guardian』:「調整ミルクの栄養機能の殆どは根拠がない」:
調整ミルクに記載されている栄養機能について、その殆どは、「ほぼ根拠がない」か「全く根拠がない」という。専門家は、世界的な販売上のルール強化を求めている。
調整ミルクは数十億ドル市場で、数百万人が利用している。「BMJ」に掲載された研究によると、広く製品に記載されている調整ミルクの栄養機能は、科学根拠がないものがしばしばあるという。多くの成分がいくつかの機能に関係しており、またある機能が複数の成分に関連しているということもあるという。専門家は、業界がマーケティング目的で曖昧な機能性を記載することなく、「消費者へ信頼できる情報を提供することが肝心だ」と指摘する。
15カ国(オーストラリア、カナダ、ドイツ、インド、イタリア、日本、ナイジェリア、ノルウェー、パキスタン、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、スペイン、英国、米国)の184種類の幼児用ミルク製品を対象とした。1製品につき平均2つの栄養機能が宣伝されていたという。
最も多い機能性としては、「脳、目、神経系の発達」、「免疫系機能促進」、「成長や発達」などがあった。このような記載において、参照がある場合、56%が臨床結果を載せていたが、その他は評価レビューや動物実験を含めた調査等のみだった。
研究では、市場を管轄する官庁は、「製品の機能表示を適切に制限できておらず、透明性に問題があるミルク市場は変革の必要がある」と指摘している。
2月16日付仏『フランス24』(AFP通信):「乳幼児ミルクの栄養機能に科学的根拠なし」:
16日「BMJ journal」に発表された研究によると、乳児用ミルクの宣伝似利用される健康機能の大半は、科学的根拠がないため、科学者らは簡素な表記にすべきだと主張している。
母乳が、乳児への健康的効用が非常に高いことは世界的に知られている。世界保健機関(WHO)や米国米国疾病予防管理センター(CDC)は、特に生後6ヶ月までは母乳育児を推奨している。しかし、WHOによると、これを実践しているのは、世界的に半数だという。
研究では、米国、インド、英国などを含む15カ国の608の製品を調査。最も多い健康上の記載は、脳の発達、免疫系統への効果、成長促進などの機能だった。半数の商品は、特定成分の機能へは関連づけず、4分の3は科学的根拠が示されていなかったという。科学的根拠があった場合でも、半数以上がレビューや意見、動物実験によるものだったという。認証済の臨床実験が示されていたのはわずか14%のみで、その9割はデータがない等、バイアスがかったものだった。
最も引用された成分は、母乳にも含まれ、脳の発達に有効と考えられている「不飽和脂肪酸」だった。しかし、ミルクに添加されたときの効果のエビデンスはない。
研究の著者で、英インペリアル・カレッジ・ロンドンのマンブリット博士は、根拠が示されない誤った情報を提供する調整ミルク市場を批判し、健康上の効能は、上級製品の宣伝文句に使われているだけで、「騙される消費者にとっては厄介なもの。簡素なパッケージにすべき」だと指摘する。また政府や行政機関が、製品をじっくり評価する必要性があるとしている。
先週、医学雑誌「ランセット」には、各国の政府に対し、親の不安を利用し母乳の代わりにミルクを手に取るよう、市場を搾取する業界の取締を求める論文が複数掲載された。
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