南シナ海南沙諸島の中比領有権争い;今度は中国が実効支配下の環礁にフィリピン漁船立ち入り防止のための浮遊式障壁設置【欧米・フィリピンメディア】
9月24日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース、
『CNNニュース』、欧米
『ロイター通信』、フィリピン
『ラップラー(注1後記)』等は、フィリピン当局が、中国が今度はスカボロー礁(注2後記)付近に浮遊式障壁を一方的に設置し、同海域にフィリピン漁船が入り込めないようにしていると非難したと報じている。
フィリピン沿岸警備隊(PCG、1967年設立)及び漁業水産資源局(BFAR、1974年設立)は9月24日、中国側がこの程、南シナ海南沙諸島の領有権争いとなっているスカボロー礁付近に勝手に浮遊式障壁を設置し、フィリピン漁船の操業を妨害していると非難する声明を出した。...
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9月24日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース、
『CNNニュース』、欧米
『ロイター通信』、フィリピン
『ラップラー(注1後記)』等は、フィリピン当局が、中国が今度はスカボロー礁(注2後記)付近に浮遊式障壁を一方的に設置し、同海域にフィリピン漁船が入り込めないようにしていると非難したと報じている。
フィリピン沿岸警備隊(PCG、1967年設立)及び漁業水産資源局(BFAR、1974年設立)は9月24日、中国側がこの程、南シナ海南沙諸島の領有権争いとなっているスカボロー礁付近に勝手に浮遊式障壁を設置し、フィリピン漁船の操業を妨害していると非難する声明を出した。
PCG報道官のジェイ・タリエラ准将がSNSに投稿したもので、“PCG及びBFAR両機関が同海域を定期的に海上パトロールしていた際、9月22日にスカボロー礁付近に中国側が浮遊式障壁を敷設しているのを確認した”とし、“同海域にフィリピン漁船が入らないよう妨害している”と糾弾した。
同環礁は中国が2012年に実効支配して以来、しばしばフィリピン漁船の同海域立ち入りを妨害してきていた。
中国側は、ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領(現78歳、2016~2022年在任)が親中政策を進めていた際には、フィリピン漁船の同海域立ち入りを大目に見ていたが、フェルディナンド・マルコスJr.現大統領(66歳、2022年就任)が親米政策を取り始めたことから、再び妨害行為を活発化してきている。
同准将によると、“中国海警局艦3隻と海上民兵船1隻が、約300メートル(1千フィート)の浮遊式障壁を敷設していた”とする。
フィリピン漁師は、まとまった数のフィリピン漁船が同環礁付近に近づこうとすると、様々な妨害行為が行われてきたが、今回の浮遊式障壁設置もその一環だと証言している。
なお、同准将によると、“今回、フィリピン漁船約50隻が同海域で漁を始めようとしたところ、上述した4隻の中国船から、同海域から即時退去するよう15度程ラジオ無線で通告してきており、PCG及びBFAR海上パトロール船を見咎めるや否や、浮遊式障壁を設置して、実力行使に出てきた”とする。
(注1)『ラップラー』:フィリピン・ジャーナリストのマリア・レッサ氏(59歳)が2012年に立ち上げたニュースサイト。独立系メディアとして、主に人権問題について報道し、特にドゥテルテ大統領による麻薬撲滅運動の下での超法規的殺人問題を糾弾。これらの報道が国際社会で評価され、同氏は2021年ノーベル平和賞を受賞。
(注2)スカボロー礁:南シナ海南沙諸島にある環礁で、フィリピン北部ルソン島の西方約230キロメートルにあり、同国EEZ内。但し、2012年から中国が実効支配している。
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南シナ海南沙諸島の中比領有権争い;比側が中国漁船団によるサンゴ礁破壊を糾弾すれば、中国側は比側による意図的座礁の軍艦撤去を要求【米・フィリピンメディア】
フィリピンは、親中政策を貫いた前大統領に代わった新大統領が一部軌道修正したこともあって、南シナ海における中国との領有権争いで頻りに中国批判を繰り返すようになっている。そうした中、比側調査の結果、中国漁船団による無謀な操業によってサンゴ礁が死滅させられていることが判明し、改めて中国側に非難の声を上げている。これに対して中国側は、環境汚染をとやかく言うなら、フィリピンこそ意図的に座礁させた軍艦を早急に撤去すべきだと反論している。
9月18日付フィリピン国営
『Philippine News Agencyウェブサイト』、9月22日付
『CNNニュース』は、フィリピンがこの程、南沙諸島の排他的経済水域(EEZ)内の二つの岩礁のサンゴ群が中国漁船団によって死滅させられたと、ビデオ映像を示して非難したと報じている。
フィリピン沿岸警備隊(PCG、1967年設立)は9月18日、中国の漁船団(実は暗躍する中国軍民兵船)が無謀な操業を行った結果、南シナ海のフィリピンEEZ内の二つの岩礁のサンゴ群が死滅させられていることが判明したと発表した。...
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9月18日付フィリピン国営
『Philippine News Agencyウェブサイト』、9月22日付
『CNNニュース』は、フィリピンがこの程、南沙諸島の排他的経済水域(EEZ)内の二つの岩礁のサンゴ群が中国漁船団によって死滅させられたと、ビデオ映像を示して非難したと報じている。
フィリピン沿岸警備隊(PCG、1967年設立)は9月18日、中国の漁船団(実は暗躍する中国軍民兵船)が無謀な操業を行った結果、南シナ海のフィリピンEEZ内の二つの岩礁のサンゴ群が死滅させられていることが判明したと発表した。
フィリピン西端のパラワン島沖の西フィリピン海にある、イロコイ礁(ローズリーフ)及びサビーナ礁(エスコーダ砂州)付近の海底に生息していたサンゴ礁群で、PCG派遣のダイバーが潜って撮影した映像には、無残にも打ち砕かれたサンゴ礁の死骸が映し出されていた。
PCG報道官のジェイ・タリエラ准将は、“中国軍海上民兵の武装漁船団が、ローズリーフ及びエスコーダ砂州周辺で違法かつ無謀な操業を行ったため、このような惨憺たる結果を招いた”と糾弾した。
同准将は更に、8月9日から9月11日の間に、ローズリーフ周辺で33隻、またエスコーダ砂州周辺に15隻の中国船が確認されていたとも言及している。
フィリピン外務省は、“外国船舶によるEEZ内での生態系に悪影響を及ぼす行為について、再三にわたり警告してきた”との声明を出した。
駐比米国大使のメアリーケイ・カールソン氏(2022年就任)は9月18日、“生息環境の破壊は生態系を脅かすばかりか、我々の生活や命をも危うくしてしまう”と投稿して非難した。
また、駐比日本大使の越川和彦氏(66歳、2020年就任)も、“貴重な生態系を守るためにも、禁止行為の徹底が重要である”と言及している。
一方、中国外交部(省に相当)報道官は9月21日の記者会見席上、“フィリピンは既に南シナ海で生態系を脅かす行為をし続けている”とし、“セカンド・トーマス礁(1999年よりフィリピンが実効支配、パラワン島西北)近海にフィリピンが違法かつ意図的に座礁させた軍艦「シエラ・マドレ(注後記)」を可及的速やかに撤去すべきだ”と反論した。
同報道官は、“座礁艦によって下水が海に流れ出すのを妨げられ、また、同艦の腐食によって海を汚し、取り返しのつかない環境破壊を行っているからだ”と糾弾している。
(注)戦車揚陸船“シエラ・マドレ”:1976年に米海軍から移管された旧名“ハーネット・カウンティ”(1944年就役、1970年退役)で、フィリピンによって1999年、南沙諸島のセカンド・トーマス礁の前哨として使用するため、意図的に座礁させられた軍艦。
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