10月16日付
『環球時報』は、パンダは米中間の架け橋だと称賛する記事を掲載している。
米国側は、中国からのジャイアントパンダの到着を祝っている。
まず、受け入れ先の国立スミソニアン動物園(1891年開園)のブランディ・スミス副園長(2008年入園)は、“新しいパンダの到着は、当動物園での保護プログラムを更に発展させる上での「歴史的な瞬間」だ”と表明した。
一方、中国外交学院(1955年開校、外交部(省に相当)傘下の唯一の大学)の李海東教授(リー・ハイトン)は、“パンダの米貸与は、両国民族間の友情と繋がりが常に存在していたことの表れだ”とした上で、“米中関係の安定と協力の基盤は、市民社会に深く根差しており、それが二国間関係の安定を強化する役割を果たしている”とコメントしている。...
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10月16日付
『環球時報』は、パンダは米中間の架け橋だと称賛する記事を掲載している。
米国側は、中国からのジャイアントパンダの到着を祝っている。
まず、受け入れ先の国立スミソニアン動物園(1891年開園)のブランディ・スミス副園長(2008年入園)は、“新しいパンダの到着は、当動物園での保護プログラムを更に発展させる上での「歴史的な瞬間」だ”と表明した。
一方、中国外交学院(1955年開校、外交部(省に相当)傘下の唯一の大学)の李海東教授(リー・ハイトン)は、“パンダの米貸与は、両国民族間の友情と繋がりが常に存在していたことの表れだ”とした上で、“米中関係の安定と協力の基盤は、市民社会に深く根差しており、それが二国間関係の安定を強化する役割を果たしている”とコメントしている。
更に同教授は、“米国では、米中間の様々な問題を政治化し、安全保障問題化する傾向にある”とし、“文化交流や気候変動等、非政治的な問題を政治化することは二国間関係を損なうだけだ”と非難した。
その上で同教授は、“パンダは中国の国宝であるだけでなく、友情の架け橋として世界中で愛されている”と強調している。
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英国メディアが、9月中旬に発生した中国在日本人学校生徒刺殺事件は、愛国心による外国人嫌悪から発生したと考えられる3件目の事件であるのに、中国政府は「偶発的な個別案件」として黙認しているとして批評している。
10月14日付
『BBCニュース』は、中国在日本人学校生徒刺殺事件等にみるオンラインナショナリズム(ネット上の愛国心運動)を厳しく取り締まらない中国政府の姿勢を批評している。
9月中旬に発生した広東省深センの日本人学校生徒刺殺事件は、6月中旬に吉林省の公園で起こった4人の米国人大学講師の刺傷事件、及び同月下旬に江蘇省蘇州の日本人学校付近で発生した中国人スクールバス案内係の刺殺事件(襲われた日本人母子を守ろうとして犠牲)に続く今年3件目の事件である。
しかし、日本政府が、外国人嫌悪が動機とみられる一連の事件について、原因と考えられる「悪意ある反日投稿」を厳しく取り締まるよう要望するも、中国政府は「偶発的な個別案件」として言わば黙認する対応を示した。
これに対して、中国内外の専門家のみならず、中国国営メディアからも「行き過ぎたオンラインナショナリズム」を非難する声が上がっている。
●南京大学歴史学院(1902年前身設立)の張生教授(チャン・シェン)
・かつては紅衛兵(ホンウェイピン、注1後記)が招集され、今は小粉紅(シャオフェンホン、リトルピンク、注2後記)が招喚されている。
・すなわち、非愛国的と見做される中国人に対して、オンラインナショナリズムによる攻撃を仕掛ける「文化大革命2.0」が展開されていると警鐘を鳴らす。
●国営『環球時報』(1993年創刊)元編集長の胡錫進氏(フー・シージン、64歳)
・ナショナリストのブロガーが、2012年ノーベル文学賞受賞の莫言氏(モー・イエン、69歳)に対して、日本兵を美化している等から非愛国的で中国を侮辱したとして同氏を糾弾していることは国家主義的であり、一般社会に萎縮効果をもたらす可能性があると警告。
●中国社会科学院(1977年設立)社会学者・政治学者の于建嶸教授(ユ・チャンロン、62歳)
・最近の外国人刺殺事件は、危険なポピュリスト主義によって煽られており、最大限の警戒が必須。
●中国共産党機関紙『人民日報』(1949年創刊)
・オンラインナショナリストは、“愛国心を利用してビジネスにしている”と非難。
・すなわち、世論を煽り、火に油を注ぐような投稿をしてアカウントを稼いで個人的利益を貪っていることから厳罰が必要。
●ライデン大学(1575年創立のオランダ最古の大学)オンライン・チャイニーズ・ナショナリズム研究専門のフロリアン・シュナイダー教授
・インフレ、住宅問題、若者の高失業率、年金喪失等、現在中国が抱える経済減速と社会的倦怠感が蔓延する中、ナショナリズムはかかるフラストレーションを発散させる上で重要な思考枠組み。
・また、ナショナリストのブロガーや著名なインフルエンサーは、中国と中国共産党の美徳を称賛する愛国的な投稿を繰り返し、外敵を非難することで何百万人ものフォロワーを集めて個人収入を獲得。
・これらの人たちは革命的な左翼の熱意の名の下に活動するが、彼らの行動は実際には、外国人嫌悪や反動的な運動を主導する他の国々に見られる極右と似ていると分析。
●香港バプティスト大学(1956年創立の公立大)コミュニケーション学部のローズ・ルチウ准教授(55歳)
・国家が支持する愛国心と、外国の影響を嫌悪する中国政府の絶え間ない警告が、我々を取り巻く強烈なナショナリズムを惹起していると非難。
・一方、オンラインナショナリズムを政府が厳しく取り締まらない裏には、現在の経済問題に伴う国民のフラストレーションのはけ口としてネット上の愛国運動を是認しているという解釈が成り立つ。
一方、中国政府としては、2019年の香港での民主化運動、また2022年のゼロコロナ政策に対する白書の抗議活動を成功裏に鎮圧できていることから、オンラインナショナリズムの台頭に伴う危機管理はできると確信していると考えられ、従って、上述のような様々な反発の声が上がっているにも拘らず、今後も黙認していく可能性が高いとみられる。
(注1)紅衛兵:中国の文化大革命時期(1966~1976年)に当時の最高指導者毛沢東(マオ・ツォートン、1893~1976年)によって動員された全国的な学生運動を行った組織・人々。学生が主体であるが、広義には工場労働者を含めた大衆運動と同じ意味で使われる。
(注2)小粉紅:中国における1990年代以降に生まれた若い世代の民族主義者のこと。彼らは、「未熟な共産主義者」であり「完全に赤く染まっていない」という意味で、中国語で小粉紅と呼ばれる。
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