米国務省の世界人身取引報告書で中国を北朝鮮並みの最低評価に【米・英・スペイン・中国メディア】(2017/06/30)
米国務省は毎年、世界の人身取引問題に関わる各国評価を行っているが、2017年版において、中国を北朝鮮・シリア並みの最低ランクに落とした。理由は、中国が北朝鮮出稼ぎ労働者5~8万人に強制労働させていること、更に、当該労働者が北朝鮮に送る資金が、核・ミサイル開発に充てられているとみているためである。これに対して中国は、全く根拠のない報告だと一蹴している。
6月27日付米
『ブライトバート』オンラインニュース:「国務省がリリースした人身取引評価報告書で中国が大幅ランク下落」
国務省が6月27日にリリースした世界の人身売買評価報告2017年版によると、中国の評価が第3段階(人身売買問題が認められるにも拘らず、一切不対応)の最低ランクに落とされたという。
同報告をリリースした際の会見で、レックス・ティラーソン長官も、また、そこに同席したイヴァンカ・トランプ大統領顧問も、中国を名指して批判することはなかったが、この報告の元となった“人身取引被害者保護法2000”提案者のクリス・スミス下院議員(ニュージャージー州選出の共和党議員)は、トランプ政権は、中国が性的・労働搾取でひどい扱いをしている国だと公式に評価したと語った。...
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6月27日付米
『ブライトバート』オンラインニュース:「国務省がリリースした人身取引評価報告書で中国が大幅ランク下落」
国務省が6月27日にリリースした世界の人身売買評価報告2017年版によると、中国の評価が第3段階(人身売買問題が認められるにも拘らず、一切不対応)の最低ランクに落とされたという。
同報告をリリースした際の会見で、レックス・ティラーソン長官も、また、そこに同席したイヴァンカ・トランプ大統領顧問も、中国を名指して批判することはなかったが、この報告の元となった“人身取引被害者保護法2000”提案者のクリス・スミス下院議員(ニュージャージー州選出の共和党議員)は、トランプ政権は、中国が性的・労働搾取でひどい扱いをしている国だと公式に評価したと語った。
同議員はまた、これまで12年間のブッシュ・オバマ政権下で、中国の人権問題について問題提起されてきたが、同国はこれを一切無視しており、今回、親中路線を取っているトランプ政権としても、現実的に厳しい評価を下す必要があったとみるとも付言した。
なお、第3段階の最低ランクには22ヵ国がおり、中国の他は、コンゴ民主共和国(旧ザイール)・北朝鮮・ロシア・イラン・スーダンなどである。
同日付スペイン
『エージェンシアEFE』通信:「米国、人身取引問題国として中国を追加」
米国務省作成の世界人身取引報告で、最低ランクと評価された問題国は、中国の他、ベネズエラ・ベリーズ(中米北東部)・ロシア・北朝鮮・イラン・シリアなどである。
今回の報告で中国を最低ランクと評価したのは、新疆(シンチアン)ウィグル自治区の人々が同自治区内外で強制労働を強いられていることと、北朝鮮から送られた労働者を国境付近で同じく強制労働に就かせていると判断されたからである。
ティラーソン長官の同報告リリースの会見に居合わせたイヴァンカ・トランプ大統領顧問は、世界で2,000万人の人々が人身取引の犠牲になっていると言われており、この問題解決が自身の中では最優先課題のひとつであると語った。
6月28日付英
『Yahooニュース英国版』(
『AFP通信』配信):「米国、人身取引問題が最悪のグループに中国を追加」
ティラーソン長官は会見で、同報告において最低ランクに評価された国においては、人身取引を防止や制限する最低限の基準も設けておらず、また、その問題解決の対応も取っていないと非難した。
今回の報告では、中国によるウィグル民族と北朝鮮人をそれぞれ強制労働に就かせている実態が評価された訳だが、中国の人権問題を公に批判するのは、トランプ政権になって初めてのことである。
中国外交部(省に相当)の陸慷(ルー・カン)報道局長は、同報告書がリリースされる前に、米国による無責任な報告書に断固として反対するとした上で、中国はこれからも、人身取引問題根絶のため、他国とも協力して取り組んでいくと表明した。
なお、ティラーソン長官は、直接的には北朝鮮を非難する形で、同国の5~8万人の労働者を、中国やロシアで強制労働に就かせた上、毎年数億ドル(数百億円)に上る報酬を本国に送金させていると断罪した。
一方、これまで、少年兵部隊(18歳未満)を起用している問題国にランク付けされていたミャンマーとイラクが、今回の同報告で外されたことに対して、人権監視団体は“虚偽の評価”だと非難している。
一方、6月27日付中国
『環球時報』:「中国、米国による人身取引報告書は“無責任”と一蹴」
中国外交部の陸報道官は、中国はこれまで、人身取引問題取り締りに厳しく取り組み、成果を上げてきているにも拘らず、米国が根拠のない評価を下していることに断固として反対すると表明した。
米国は毎年、“人身取引被害者保護法”に基づいて、世界各国の人身取引問題を評価してきているが、今回は対象が自国を含めた187ヵ国で17回目の報告となる。
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習主席、ドゥテルテ大統領を恫喝<米・英・仏・ロシア・フィリピン・中国メディア>(2017/05/20)
5月19日付
Globali「中国、南シナ海問題でのASEAN抱き込みに前進」の中で、“中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は、南シナ海海域で各国の活動を規制する「行動規範(COC)」の枠組みの草案について合意した。ただ、紛争解決の仕組みや法的拘束力については今後の協議課題とする一方、領有権問題は当事国で解決するとし、日米含めた域外国の干渉を許さない原則が含まれていることから、中国の思惑どおりの草案に行きついたものとみられる”と報じた。そして、表向きの合意に対して、裏では中国の武力による圧力-習主席からドゥテルテ大統領に対して、もしフィリピンが南シナ海で石油掘削を始めたら戦争になるとの恫喝-を掛けていることが判明した。
5月19日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』:「フィリピン大統領、中国から戦争を匂わせる脅しを受けたと主張」
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は5月19日、同大統領が5月15日に北京で習近平(シー・チンピン)主席と会談した際、もしフィリピンが南シナ海の領有権争いのある海域で石油探査を始めたら、中比間で戦争になる恐れがあると言われたことを明らかにした。
同大統領は、海洋領有権争いで中国に弱腰だと批判する人達に向けての弁明を試みたものとみられるが、中国側からの反発は必至であろう。...
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5月19日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』:「フィリピン大統領、中国から戦争を匂わせる脅しを受けたと主張」
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は5月19日、同大統領が5月15日に北京で習近平(シー・チンピン)主席と会談した際、もしフィリピンが南シナ海の領有権争いのある海域で石油探査を始めたら、中比間で戦争になる恐れがあると言われたことを明らかにした。
同大統領は、海洋領有権争いで中国に弱腰だと批判する人達に向けての弁明を試みたものとみられるが、中国側からの反発は必至であろう。何故なら、ちょうど同じ時期に中国で、中比代表が両国間の協力関係討議のための対話が正に進められているからである。
同日付英
『Yahooニュース英国版』(
『ロイター通信』配信):「フィリピン大統領、中国の習主席から、もしフィリピンが南シナ海で石油掘削を始めたら戦争になると脅されたと告白」
ドゥテルテ大統領によると、昨年下された常設仲裁裁判所(PCA)裁定に基づき、フィリピンとしても南シナ海海域での石油探査を始めたいと話したところ、習主席からは、中比両国は目下友好関係にあるが、もしそのような行動に出れば、戦争になるかも知れないと、柔らかくしかしきっぱりと言われたという。
同日付フランス
『フランス24』オンラインニュース(
『AFP通信』配信):「フィリピンのドゥテルテ大統領、海洋領有権絡みで中国から“戦争”の脅しをされたと告白」
ドゥテルテ大統領が北京で習主席と李克強(リー・コーチアン)首相と面談した際、フィリピン国内からの突き上げもあり、南シナ海でフィリピン領海とされる地域で石油等天然資源の探査を始めたいと話したところ、中国側からは、今現在中比両国は友人同士だが、もしそのような活動を(中国の意に反し)強行することになれば、戦争は避けられない、と脅されたという。
ただ、同大統領はその際、フィリピンとしてはPCA裁定の遵守を今すぐに中国側に求めていく考えはないとも語った。
同日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「ドゥテルテ大統領:もしフィリピンが南シナ海で石油探査を始めたら戦争になると中国から脅されたと表明」
ドゥテルテ大統領は5月19日にダバオ市(フィリピン南部ミンダナオ島)で開かれた、フィリピン沿岸警備隊全国大会において、訪中時に習主席と会談した際、PCA遵守を強く求めることはしないが、フィリピン領海とされた南シナ海海域で石油掘削を始めたいと話したところ、同主席からは、戦争も避けられない事態となると脅されたと、かなり衝撃的な内情を明らかにした。
5月20日付フィリピン
『マニラ・スタンダード』紙:「中国、戦争となると脅し」
ドゥテルテ大統領は、ロザリオ外相やカルピオ最高裁上級判事は自分が中国に対して弱腰だと批判するが、中国の習主席に対して、南シナ海のフィリピン領海で石油掘削を始めたいときちんと伝えたと話した。しかし、習主席からは、そうなったら戦争に至る可能性もあると脅されたとし、中比間では戦力に大きな差があり、フィリピンが一方的に被害を被ることになる。従って、フィリピンにPCA裁定がある以上、ここは中比間友好関係を保っていくことが肝要だと説明した。
一方、同日付中国
『新華社通信』:「中国・フィリピン、南シナ海問題で半期毎の二国間協議開催で合意」
中国とフィリピン代表は5月19日、南シナ海問題に関して、半年毎に二国間協議(BCM)を開催することで合意した。
中国外交部の劉振民(リゥ・チェンミン)副部長(副大臣に相当)と、在中国フィリピン大使館のホセ・ロマーナ大使との間で合意したのもので、南シナ海問題を友好理に協議していくことで、両国間の連携強化につなげるものと確認した。
BCMの次の協議は、今年後半にフィリピンで開催されることになる。
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