米・英・フィリピン・豪州メディア;日本の捕鯨船の鯨捕殺を国際世論が非難
日本の捕鯨船団が南極海での調査捕鯨を終え、3月31日に山口県下関市に帰港した。日本が当初発表した計画に基づき、ミンククジラを333頭捕獲してきたが、反捕鯨国メディアを中心に、日本が鯨を大量に殺戮したと一斉に非難している。
3月31日付米
『ニューズウィーク』誌:「日本、例年の狩猟で数百頭の鯨を捕殺」
日本の捕鯨船団が、国際世論の捕鯨反対の声にも拘らず、昨年発表した計画どおり、333頭の鯨を捕殺した。
日本の水産庁は、“南極海における生態系を調査するため”としており、5隻の捕鯨船団のうちの3隻が3月31日、下関港に戻ってきたと発表した。
しかし、国際愛護協会(英国の動物愛護グループ)のキティ・ブロック副代表は、日本は毎年不必要な数の鯨を殺戮していると非難した上で、科学の名を借りた“卑猥で無慈悲な”狩猟はすぐにも中止すべきだとの声明を発表している。...
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3月31日付米
『ニューズウィーク』誌:「日本、例年の狩猟で数百頭の鯨を捕殺」
日本の捕鯨船団が、国際世論の捕鯨反対の声にも拘らず、昨年発表した計画どおり、333頭の鯨を捕殺した。
日本の水産庁は、“南極海における生態系を調査するため”としており、5隻の捕鯨船団のうちの3隻が3月31日、下関港に戻ってきたと発表した。
しかし、国際愛護協会(英国の動物愛護グループ)のキティ・ブロック副代表は、日本は毎年不必要な数の鯨を殺戮していると非難した上で、科学の名を借りた“卑猥で無慈悲な”狩猟はすぐにも中止すべきだとの声明を発表している。
なお、国際司法裁判所(ICJ)は2016年、科学的研究に見せかけた商業捕鯨だと認定して、日本側に捕鯨を中止するよう命令している。
日本も加盟している国際捕鯨委員会(IWC)は1986年、商業捕鯨モラトリアムを採択したため、商業捕鯨は一時禁止措置が取られている。
しかし日本は、同措置の例外としての科学的研究との理由付けで、2015年より調査捕鯨と称した鯨の捕殺を再開している。
同日付英
『Yahooニュース英国版』(
『AP通信』配信):「日本の捕鯨船、333頭の鯨を捕殺して南極海から帰港」
日本の水産庁の長谷成人次長は3月31日、調査捕鯨船の下関港帰港を祝う式典で、計画通りの捕鯨を称えた上で、今後も商業捕鯨再開ができるよう調査捕鯨を続けていくと発言した。
水産庁職員の話では、鯨の年齢・栄養摂取・繁殖条件を調査するため捕殺しているとするが、反捕鯨団体は、捕殺せずともかかる調査は可能だと主張している。
同日付フィリピン
『マニラ・スタンダード』オンラインニュース(
『AFP通信』配信):「日本、狩猟で333頭の鯨を捕殺」
昨年11月に南極海での捕鯨に向かった5隻の捕鯨船は、当初計画したとおり、333頭のミンククジラを捕殺した。
そのうちの3隻が3月31日に下関港に帰港したが、水産庁の役人や水産関係者他200人以上が歓迎した。
水産庁は声明で、調査捕鯨によって、南極海における生態系を詳しく調査し、商業捕鯨を再開するのに十分なほど鯨の数が増えているかどうか判断するものだとしている。
しかし、環境保護団体のみならずICJも、鯨肉が市場に供給されていることから、科学的研究に見せかけた商業捕鯨だとして非難している。
山本有二農林水産大臣は、今回は反捕鯨団体シー・シェパードからの妨害行為は強硬ではなかったと語った。
水産庁職員の話では、今回から捕鯨船団を守る監視船を水産庁が派遣したことも関係していると思われるという。
同日付豪州
『ABCニュース』:「日本の捕鯨船団、南極海で333頭のミンククジラを捕殺して帰港」
日本の捕鯨船団は、IWCルールの抜け道である、科学的調査との名目で今年も333頭のミンククジラを捕殺した。
ICJは2014年、豪州の訴えに基づいて日本の捕鯨を審議した結果、“科学的研究のための捕鯨とは認められない”として、日本が計画していた捕鯨を中止するよう指示した。
しかし日本側は、2014年は一旦中止したものの、従来の捕殺数を3分の1程に減じた新たな捕鯨計画(12年間で4,000頭、すなわち年333頭)を提案した上で、捕鯨を再開したものである。
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米・英・ロシア・中国メディア;中国、東・南シナ海で相変わらず厚顔無恥な対応
先週報じたとおり、ティラーソン国務長官の初訪中で、米中双方はお互いの主張を言いっ放しとする一方、総論では、両国が今後とも協力していく姿勢を打ち出すことで、まずは最初のトランプ政権閣僚・中国指導部間会談を終えた。また、中国は、南シナ海の西沙(パラセル)諸島や中沙(スカボロー)礁に、恒久施設や地対空ミサイルの配備を着々と進めていることは棚に上げて、日本の海上自衛隊の潜水艦哨戒ヘリコプター搭載護衛艦の就役に神経を尖らせているとも報じた。そして今度は、米韓合同軍事演習に派遣された米軍爆撃機が、中国が一方的に設定した防空識別圏(ADIZ)に断りもなく侵入したとクレームを付ける一方、国際社会に向けては、南シナ海の恒久施設建設はあくまで民間用で、軍事拠点化する意思などないと厚顔無恥な発言を繰り返している。
3月26日付米
『Foxニュース』(
『CNN』配信):「中国高官、米軍爆撃機の東シナ海上空の“通常の”飛行に対して警告」
「●米太平洋空軍報道官のフィル・ベンチュラ少佐は、米空軍B-1B爆撃機が3月18日に韓国南沖の東シナ海上空を飛行した際、中国航空管制局が同機に対して、中国設定のADIZに許可なく侵入するのは違法ゆえ、すぐにも退去するよう要求してきたが、同機は、米国が認めていないADIZの制約は受けないと返答したことを公表。...
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3月26日付米
『Foxニュース』(
『CNN』配信):「中国高官、米軍爆撃機の東シナ海上空の“通常の”飛行に対して警告」
「●米太平洋空軍報道官のフィル・ベンチュラ少佐は、米空軍B-1B爆撃機が3月18日に韓国南沖の東シナ海上空を飛行した際、中国航空管制局が同機に対して、中国設定のADIZに許可なく侵入するのは違法ゆえ、すぐにも退去するよう要求してきたが、同機は、米国が認めていないADIZの制約は受けないと返答したことを公表。
●中国は2013年11月、東シナ海上空にADIZを設定したと宣言したが、日米両政府は当時、中国の一方的な通告は一切認められないと拒否。
●中国外交部の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は3月23日、米空軍機のADIZ侵入のニュースは承知していないが、もし事実とすれば看過できないとした上で、米国が独自のADIZを設定しているように、中国も主権擁護のために設定したADIZを尊重すべきだとコメント。」
一方、同日付英
『Yahooニュース英国版』(
『ロイター通信』配信):「中国、南シナ海のミサイル配備は軍事拠点化を意味しないと宣言」
「●中国の李克強(リー・コーチャン)首相は3月24日、訪問先の豪州での記者会見で、中国が南シナ海の島々に防衛設備を配備したが、それはあくまで“航行の自由”を維持するためだと表明。
●同首相はまた、人工島に建設した設備は主として民間用だとも付言。」
3月24日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「中国の南シナ海に関わるコメントは米国に向けたものではなく“豪州内の懐疑論者”に宛てたもの」
「●中国の李首相は3月24日、訪問先の豪州のマルコム・ターンブル首相との会談後、南沙(スプラトリー)諸島の人工島に、港湾・灯台・滑走路などを建設したのは主として民間用であり、中国としては決して軍事拠点化の意図がある訳ではないと言明。
●この発言に対して中国研究専門家は、李首相は米国の新政権に向けたものではなく、豪州政府内にいる中国海洋活動への懐疑論者に宛てたものだと分析。
●豪州政権の中では、例えばジュリー・ビショップ外相などは、中国の人工島建設に批判的で、フィリピンが領有権問題でハーグ(オランダ)在常設仲裁裁判所に申し立てた際、フィリピンを支持する旨発言。」
また、3月26日付中国
『チャイナ・デイリィ』(
『新華社通信』配信):「中国、南シナ海周辺国に協力体制構築を呼び掛け」
「●中国海南省博鰲(ボアオ)で開催されたボアオ・アジア経済フォーラム(BFA、注後記)において、中国の劉振民(リゥ・チェンミン)副部長(副大臣に相当)は3月24日、南シナ海周辺国は、相互信頼・協力体制・権益共有を強化していくため、基盤造りをしていくことを提案すると演説。
●同副部長は、目下中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)間で協議している行動規範もその一環で、同海域関係当事国だけで対話を促進していくことが肝要とも付言。
●BFAに参加した専門家の多くは、劉副部長の提案を受けて、南シナ海周辺国に対して、関係当事国間の対話と交渉によって領有権問題を平和裏に解決していく基盤を造っていく必要があると主張。」
(注)BFA:スイスのダボスで開催されている、世界の政治家・財界人・知識人が集まる国際会議(ダボス会議)を主催する世界経済フォーラムに倣い、そのアジア版を目指して、中国政府の全面的支援を受けて構想された非政府・非営利国際組織。2001年2月の設立時には、アジアの25ヵ国及び豪州が参加。2010年4月、福田康夫元首相が同フォーラムの新理事長に就任。
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