米・英・ロシア・中国メディア;サウジ及びロシアがついに原油減産?(2016/02/01)
1月28日付
Globali「世界銀行(WB)も原油価格見通しを下方修正」の中で、“経済制裁解除に伴うイラン原油の市場復帰、米国のシェール・オイルの生産好調、そして冬季を迎えている北半球が例年以上に温暖で、石油需要が弱いことなどを理由として、WBが2016年の原油価格予想値を前回(昨年10月)より▼27%(▼14ドル)引き下げ、1バレル(約159リットル)当り37ドルとした”と報じた。ところが、WBの下方修正公表直前に、米東海岸と東アジアを歴史的な暴風雪と大寒波がそれぞれ襲って、暖冬との理由付けに疑問符を打ったばかりであるが、今度は、減産の“ゲの字”をおくびにも出さなかったサウジアラビアとロシアが、ついに減産に向けて話を始めようとしていると、WBの価格下方修正公表を皮肉るようなニュースが各国で報じられている。
1月29日付米
『ロイター通信米国版』は、「ロシア主導の減産の話題で、原油価格再上昇」との見出しで、次のように伝えた。
「・ロシアは1月28日、石油輸出国機構(OPEC)の最大産油国のサウジアラビアが、5%までの減産について提案してきたことを公表。
・このニュースに反応して、ブレント原油先物市場(北海産油田対象)8.2%上昇。
・1月20日に27.10ドルの最低値を記録して以来、1月29日には35.84ドルまで反発。...
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1月29日付米
『ロイター通信米国版』は、「ロシア主導の減産の話題で、原油価格再上昇」との見出しで、次のように伝えた。
「・ロシアは1月28日、石油輸出国機構(OPEC)の最大産油国のサウジアラビアが、5%までの減産について提案してきたことを公表。
・このニュースに反応して、ブレント原油先物市場(北海産油田対象)8.2%上昇。
・1月20日に27.10ドルの最低値を記録して以来、1月29日には35.84ドルまで反発。
・ロシアのドヴォルコーヴィチ副首相は1月29日、減産について複数の産油国と打合せしていることを公表。
・西テキサス原油先物市場(WTI)も1月29日、前日比+84セントの34.06ドルまで値戻し。」
同日付米
『NYSEポスト』オンラインニュースは、「OPEC減産かとのニュースで原油価格反発」との見出しで、以下のように報じた。
「・2008年から2014年にかけて、非OPEC産油国の生産量は1日当り600万バレル増えてきているが、OPECは逆に生産規模が縮小傾向。
・従って、OPECだけで原油価格低迷打開のための減産方針を立てても、影響力に限界。」
同日付英
『メール・オンライン(デイリィ・メール電子版)』は、「ロシアの原油減産、決意あれば道は開ける」との見出しで、次のように伝えた。
「・2002年の原油急落を受けて減産を実施して以来、これまでロシアは、原油価格が2014年半ば以降急落してきていても、他産油国と協議して減産する話には消極的。
・2003年にプーチン大統領が、石油業界を牛耳っていた、新興財閥で石油会社ユコス社のホドルコフスキー社長を脱税容疑等で逮捕して以降、ロシア石油企業の半分を政府傘下に収めたことから、政府主導でなければ何もできない状態。
・しかし、原油価格の暴落が中々止みそうもないこともあって、サウジアラビアからの減産提案の打診を受け、ロシアのノバク・エネルギー相は1月28日、他産油国と減産につき協議していくことを表明。」
なお、同日付ロシア
『ロシア・ヘラルド』英字紙は、「サウジアラビアが5%の原油減産を提案」との見出しで、以下のように報じた。
「・非OPEC産油国の中では最大規模のロシアにとって、5%減産とは1日当り50万バレルに相当(日産1,000万バレル規模)。
・過去1年半(原油価格急落以降)、サウジアラビアとロシアは随時協議を続けてきたが、
これまで何ら進展なし。
・なお、OPEC関係者は、1月28日のノバク・エネルギー相の発表以降も、ロシアとOPEC側との具体的会談は何も決まっていないとコメント。」
また、同日付中国
『グローバル・タイムズ(環球時報)』(
『新華社通信』記事引用)は、
「減産提案のニュースで原油価格が上昇」との見出しで、次のように伝えた。
「・OPECのエル・バドゥリ事務局長は1月25日、現行の原油価格低迷を打開するため、非OPEC産油国の協力が必要と発言。
・その後、1月28日のロシアのノバク・エネルギー相の発言のニュースを受けて、同日のニューヨークWTI原油先物価格は前日比+92セントの33.22ドルに、また、ロンドンのブレント原油先物価格も+79セントの33.89ドルまで上昇。」
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米・英・中国メディア;世界銀行も原油価格見通しを下方修正(2016/01/28)
1月27日付
Globali「石油輸出国機構(OPEC)の原油供給削減は可能か?」の中で、“OPECの中心サウジアラビア、非OPECの中心ロシア各政府の減産に向けての動きは未だ表に出てきていない。原油価格及び産油国の動きに世界全体が一喜一憂する、ある意味では異常な状態が続いている”と報じた。そうした中、この程世界銀行(WB)も、2016年の原油価格予想値を▼27%減の、37ドル(約4,400円)に下方修正したと各国メディアが伝えた。
1月26日付英
『メール・オンライン(デイリィ・メール電子版)』(
『ロイター通信』記事引用)は、「WB、2016年原油価格予想値を大幅下方修正」との見出しで、次のように報じた。
「・WBは1月26日、毎年公表する“一次産品価格予想”の中で、今年の原油価格予想値を前回(昨年10月)より▼27%(▼14ドル)引き下げ、1バレル(約159リットル)当り37ドルと予想。
・経済制裁解除に伴うイラン原油の市場復帰、米国のシェール・オイルの生産好調、そして冬季を迎えている北半球が例年以上に温暖で、石油需要が弱いことなどが要因。...
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1月26日付英
『メール・オンライン(デイリィ・メール電子版)』(
『ロイター通信』記事引用)は、「WB、2016年原油価格予想値を大幅下方修正」との見出しで、次のように報じた。
「・WBは1月26日、毎年公表する“一次産品価格予想”の中で、今年の原油価格予想値を前回(昨年10月)より▼27%(▼14ドル)引き下げ、1バレル(約159リットル)当り37ドルと予想。
・経済制裁解除に伴うイラン原油の市場復帰、米国のシェール・オイルの生産好調、そして冬季を迎えている北半球が例年以上に温暖で、石油需要が弱いことなどが要因。
・全46産品のうち、原油も含め37品目の価格を下方修正したが、新興国経済減速で需要減退が継続すると予想したため。
・2000年以降、一次産品の需要は新興国経済成長に支えられてきた。」
1月27日付米『インターナショナル・ビジネス・タイムズ(NY在国際オンラインニ
ュース)』は、「WB及びクレディ・スイス(注1後記)が2016年の原油価格予想値を大幅
カット」との見出しで、以下のように伝えた。
「・WBは、原油先物市場(注2後記)のブレント原油・ドバイ原油・西テキサス原油市場
(WTI)価格の平均値を使用して、2016年価格を37ドルと予想。
・クレディ・スイスは、ブレント原油市場価格を36.25ドル、また、WTIを37.75ドルと予想。
・前回、WBは今年の原油価格を51ドルと、また、クレディ・スイスはブレント原油市場価格を51.25、WTIを47.50ドルと予想していた。
・WBのエコノミストは、原油価格は今後少しずつ値を戻していこうが、1986年、1998年、2008年の原油暴落(注3後記)後に値を戻したほどペースは速くないとコメント。
同日付中国
『チャイナ・デイリィ・アジア』オンラインニュース(
『新華社通信』記事
引用)は、次のように報じた。
「・WBは、原油価格以外でも、供給過剰と新興国の需要減退の理由で多くの一次産品価格を前回予想より下方修正。
・資源価格を除いた一次産品の予想価格は▼3.7%。
・特に金属価格(銅・鉄・ニッケルなど)は、2015年に▼21%下落後、更に2016年も▼10%と予想。
・農産物価格も、エルニーニョ現象による生産減が発生しているが、新興国経済減退等に伴って、▼1.4%下落と予想。」
(注1)クレディ・スイス:チューリッヒ(スイス)に本社を構える、世界最大規模の金
融コングロマリット。プライベート・バンキング、インベストメント・バンキング、アセ
ット・マネジメントの3部門から成り立ち、証券・投資銀行業務、富裕層向け資産管理業
務、資産運用業務などを行う。創業は1856年。
(注2)原油先物市場:ブレント原油市場は、北海のブレント油田他の原油を扱い、ドバ
イ原油市場はペルシャ湾岸の中東産油国の原油を、また、WTI原油市場は、米テキサス州
se産の原油を扱う先物市場。
(注3)1986年原油暴落:サウジアラビアが仕掛けた価格戦争で、13ドル台まで急落。こ
の結果、米国産原油はその後25年程生産減少に苦しみ、サウジアラビアの台頭を許す結果
となる。
1998年:1997年発生のアジア通貨危機に伴う原油需要大幅減少、また、ロシアや
中南米で新油田が発見されて供給過剰となり、歴史的低価格の12ドル台まで急落。
2008年:リーマンショックと言われる世界金融危機の発生で、90ドル台から30
ドル台に急落。
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