習近平(シー・チンピン)国家主席は、7月19日からアラブ首長国連邦(UAE)及びアフリカ4ヵ国を歴訪している。特にアフリカは、同主席就任以来5年間で4度目の訪問である。その狙いは、将来の経済発展が期待されるアフリカ諸国を、自身が推進する「一帯一路(シルクロード)経済圏構想」(OBOR)に取り込むことである。そして、その中でもアフリカの雄であり、かつ、新興国グループBRICSの一員である南アフリカに、147億ドル(約1兆6,200億円)の投資を行う旨決定した。
7月25日付米
『ロイター通信米国版』:「習国家主席、南アフリカ訪問時に147億ドルの投資を約束」
習近平国家主席は7月24日、訪問先の南アフリカに対して、147億ドルの事業投資を行うことを約束した。
同国は目下、新任のシリル・ラマポーザ大統領(ジェイコブ・ズマ前大統領の辞任を受けて今年2月選出、任期は前大統領の2019年5月まで)の下で、十有余年続く経済停滞を脱する政策に取り組み中である。...
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7月25日付米
『ロイター通信米国版』:「習国家主席、南アフリカ訪問時に147億ドルの投資を約束」
習近平国家主席は7月24日、訪問先の南アフリカに対して、147億ドルの事業投資を行うことを約束した。
同国は目下、新任のシリル・ラマポーザ大統領(ジェイコブ・ズマ前大統領の辞任を受けて今年2月選出、任期は前大統領の2019年5月まで)の下で、十有余年続く経済停滞を脱する政策に取り組み中である。
両首脳会談後の共同記者会見で同大統領は、当国の事業・経済・貿易を発展させていくことで当国の市民生活向上をするべく、中国側支援を得て努めていくと表明した。
習国家主席は、アフリカ内で最も工業化が進んだ南アフリカからの輸入を増やすため、“具体的な行動”を取っていくと発言した。
中国側からの事業投資には、中国銀行団による南アフリカ国営発電所エスコムや物流企業トランスネットへの28億ドル(約3,080億円)の融資も含まれる。
一方、機関投資家は、スキャンダルで辞任したズマ前大統領を引き継いだラマポーザ現大統領に期待したものの、思ったほど好転していない同国経済が、今回の中国資本の後押しで懸念が払拭されるものとみている。
なお、ラマポーザ大統領は今週後半、ヨハネスバーグで開催されるBRICS新興国グループ首脳会議(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)を主催する。
7月24日付中国『中国テレビ・グローバル・ネットワーク(中国国営中央テレビ傘下)』:「中国が南アフリカ向けに150億ドル近い投資を決定」
習国家主席が今年3月に再選され、また、ラマポーザ大統領が今年2月に就任して以来、両首脳は初めて会談を持ち、総額150億ドル近くの中国事業投資につき合意した。
習国家主席は、中国・南アフリカ両国は20年以上もの間、包括的・戦略的パートナーシップ関係を継続してきているが、次の時代への大きな飛躍のため、中国側から更なる南アフリカへの投資が必須と考えていると表明した。
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訪欧中のトランプ大統領の思惑どおり、北大西洋条約機構(NATO)諸国に国防費の国内総生産(GDP)比2%までの引き上げを認めさせた。ただ、欧州各国は、同大統領の威圧的態度も、また、国防費増額の対象であるロシアによるクリミア併合違法論に賛同しないという矛盾した姿勢等、大いに不満を持っている。そこで、米ロ関係改善のためとして設定された7月16日の米ロ首脳会談について、トランプ大統領は前のめり気味だが、米国内はもとより、欧州諸国からも批判的な見方が強い。一方、欧米諸国からの経済制裁でかなりダメージを受けているプーチン大統領にとって、トランプ大統領と会談するという事実だけで追い風となると踏んでいる模様である。
7月12日付米
『ロイター通信米国版』:「プーチン大統領にとって、ヘルシンキでのトランプ大統領との会談に臨むだけで大きな収穫」
ドナルド・トランプ大統領は7月16日、欧州歴訪の途上、ヘルシンキ(フィンランド)でウラジーミル・プーチン大統領と首脳会談を持つ予定である。
ロシアは、米国民や同盟国から半ば嫌われ者とされているが、その首脳との会談に積極的なトランプ大統領に対して、米国内外からの批判は少なくない。...
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7月12日付米
『ロイター通信米国版』:「プーチン大統領にとって、ヘルシンキでのトランプ大統領との会談に臨むだけで大きな収穫」
ドナルド・トランプ大統領は7月16日、欧州歴訪の途上、ヘルシンキ(フィンランド)でウラジーミル・プーチン大統領と首脳会談を持つ予定である。
ロシアは、米国民や同盟国から半ば嫌われ者とされているが、その首脳との会談に積極的なトランプ大統領に対して、米国内外からの批判は少なくない。
すなわち、クリミア併合、シリア/アサド政権擁護、更には、2016年米大統領選不当介入容疑と、これら諸問題が何ら解決・改善されない状況下、米大統領がロシア首脳と会うことの意義について懐疑的である。
しかし、ロシアにとっては、悪化の一途を辿っている米ロ関係について、少しでも風向きを換える機会になるのではないかとして、期待されている。
すなわち、プーチン大統領にとっては、会談の中味ではなく、トランプ大統領と首脳談を持ったという事実だけで、地政学的に言って勝利を得ることになるとみられる。
与党・統一ロシア党の傑出した政治家であるアレクセイ・プシコフ上院議員は、米ロ首脳会談の画期的な成果は、米国はロシアを孤立化できないし、無視もできないということが明らかになることである、と語っている。
ロシア外務省に近い外交問題シンクタンク、ロシア国際評議会のアンドレー・コーツノフ議長は、米ロ首脳会談が持たれることで、少なくとも安全保障上、ロシアは米国と対等の立場にあることが証明される、とコメントした。
また、政治問題著者のビタリー・トレチャコフ氏は、ロシア国営テレビの番組で、プーチン大統領は今回、“国際政治初心者”の米首脳に対して、クリミア併合の背景やロシアの政策について噛んで含めるように説明できる機会だと捉えていると言及した。
更に、公正ロシア党のセルゲイ・ミロノフ下院議員は、首脳歴18年のプーチン大統領は、昨年就任したばかりでまだ再選されたこともないトランプ大統領との会談では、間違いなく上座に座って会談をリードすることになろう、と表明した。
ロシアにとって、経済関係の観点からは、中国・インド・欧州との関係の方が大切であろうが、ロシアの政治家にとっては、国際社会におけるロシアの力を米国と対峙することで推し量る傾向にある。
一方、ロシア国民の多くは、今回の首脳会談で、欧米による対ロ制裁の解除等に繋がることはあるまいとみている。
ロシア公共世論センターが7月9日、1,600人の成人に対して行った調査の結果、半分以上が今回の首脳会談で目に見える成果が得られるとは思っていないという。
一方、同日付ロシア『イタル・タス通信』:「ロシア政府、ヘルシンキでの米ロ首脳会談ほど複雑なものはないと表明」
ロシア大統領府のドミートリィ・ペシコフ報道官は7月12日、7月16日に予定されている米ロ首脳会談ほど複雑なものはないとコメントした。
何故なら、トランプ大統領が直前に、ノルド・ストリーム2プロジェクト(注後記)の件でドイツ等を非難するコメントしていることでもあり、米ロ首脳会談での協議事項に両国で折り合えない可能性が大きいからだとしている。
すなわち、同会談に臨むトランプ大統領は7月11日、NATO事務総長と会談した際、米国が多額の国防費を払ってロシアから守っているNATO加盟国が、ロシア企業とのノルド・ストリーム2を支持しているのは矛盾していると批判した。
更に同大統領は、同パイプラインのお蔭でドイツは、60~70%のエネルギーをロシアに頼ることになっており、ロシアにすっかり牛耳られていると言った上に、同プロジェクト事業会社のノルド・ストリーム社の会長にドイツのゲアハルト・シュレーダー前首相が就任していることも不適切だと厳しく非難しているからである。
(注)ノルド・ストリーム2プロジェクト:バルト海海底を経由してロシア・ドイツ間を繋ぐ天然ガスパイプライン敷設計画。ロシア国営企業ガスプロムとドイツ・フランス等の合弁事業として2011年に稼働開始したノルド・ストリームを増強するもので、2019年完工予定。
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