米・英・豪州メディア;豪州向け日本製潜水艦商談の成果は?(2)
4月22日付
Globali「豪州向け日本製潜水艦商談の成果は?」の中で、“豪州ABCニュースが、豪州国家安全保障会議(NSC)が新型潜水艦の調達先をフランス、ドイツに絞り込んだ模様と報道したことに対して、安倍首相自らがターンブル首相に直接電話攻勢に出るとの日本政府関係筋情報がある”と報じた。そうした中、NSCの討議内容についての機密情報が漏洩した疑いがあるとして、国防省の依頼を受けた豪州連邦警察が捜査に乗り出すという新展開をみせている。
4月23日付米
『Yahooニュース』(
『ロイター通信』記事引用)の報道記事「豪州警察、潜水艦調達商談に関わる情報漏洩の疑いで捜査」:
「・豪州
『ABCニュース』は4月22日、豪州政府が調達を予定している次期潜水艦商談に関わる機密情報が漏洩した疑いで、豪州連邦警察が捜査に乗り出したと報道。
・
『ABCニュース』が今週(4月20日)、日本の入札提案が除外されたと報道したことに関し、NSCに絡む情報漏洩を問題視した国防省が、同警察に捜査を要請。...
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4月23日付米
『Yahooニュース』(
『ロイター通信』記事引用)の報道記事「豪州警察、潜水艦調達商談に関わる情報漏洩の疑いで捜査」:
「・豪州
『ABCニュース』は4月22日、豪州政府が調達を予定している次期潜水艦商談に関わる機密情報が漏洩した疑いで、豪州連邦警察が捜査に乗り出したと報道。
・
『ABCニュース』が今週(4月20日)、日本の入札提案が除外されたと報道したことに関し、NSCに絡む情報漏洩を問題視した国防省が、同警察に捜査を要請。
・なお当初、調達決定は年末の予定であったが、マルコム・ターンブル首相が7月2日に総選挙を実施することになり、選挙対策の一環で、今月末の決定に早められた模様。」
同日付英
『メール・オンライン(デイリィ・メール電子版)』の報道記事「豪州連邦警察が
(潜水艦調達に関わる)機密情報漏洩事件で捜査」:
「・今回のNSC関連情報の漏洩は二度目であるため、国防省が特に問題視して警察が関与することになったもの。
・豪州では3月にも、同潜水艦調達に関わる機密情報の一部が豪州地元紙に漏洩した疑い。」
4月22日付豪州
『ABCニュース』の報道「豪州連邦警察、二度目の機密情報漏洩の疑いで
捜査開始したことを認める」:
「・豪州連邦警察は当社(ABCニュース)に対して、次期潜水艦調達に関わる二度目の情報漏洩があったことから捜査に乗り出したことを確認。
・今年3月にターンブル首相は、トニー・アボット前首相時代に作成された潜水艦調達に関わる文書の一部が漏洩した疑いがあることから、豪州連邦警察が捜査することになろうと公表(編注;漏洩したのは、アボット内閣が次期潜水艦の投入時期を2020年代としていた情報。ターンブル内閣は2030年代と時期を延期する計画)。
・当社が今週(4月20日)、日本の入札提案が却下されたと報道したことを受けて、日本側から当社に対して、安倍首相がターンブル首相に直接電話をかけ、依然日本の提案が俎上にあることを確認する考えとの連絡。」
豪州地元紙では、フランスやドイツと違って、日本がこれまで武器の輸出や海外現地生産
の経験に欠けるため、これが重大なリスクと捉えられて選から漏れることになった模様と
報道されている。しかし、かかる事実は以前から判っていたことであるので、今さらこの
理由を以て日本提案が落とされるのは、腑に落ちない。
また、豪州が望む潜水艦のタイプは、4,000トン級の通常動力型である。これは正に日本側
提案の“そうりゅう型”潜水艦であり、一方、フランスの提案は、原子力潜水艦をディー
ゼルエンジン駆動に改造するという複雑な技術を伴うものであるし、また、ドイツのもの
は、現有2,000トン級の潜水艦を、豪州希望の4,000トン級に大型化するという、言わば
青写真上の提案である。
従って、三社の提案にはいずれも一長一短があることから、豪州側の最終評価、絞込みに
は、総コストも含めて、豪州国内の雇用確保がどれだけ活かされるかに依るものと思われ
る。
但し、豪州の同盟国である米国にとって、公式には中立の立場を取るとしているものの、
日本製潜水艦の採用によって、日米豪間の同盟強化ばかりか、最新鋭情報が共有できるこ
とになるいうメリットがある。更には、日本製潜水艦の採用を公に反対している中国に対
して、アジアにおけるリバランス政策を取る意味でも、日米豪の結束を見せ付けるという
意義も出てこよう。
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米・英・中国メディア;南シナ海での中国のしたたかな戦略(2)
3月31日付
Globali「南シナ海での中国のしたたかな戦略」の中で、“中国はベトナムとの間で、両国間の(南シナ海における)領有権問題は対話で解決することとし、軍事的緊張を和らげる旨両国国防相間で合意した”と報じ、また、4月13日付同「中国がG7の海洋安保声明を批判(2)」の中で、“中国外交部は、G7外相会合が出した東・南シナ海に関する声明に対して、G7は世界経済の低迷をどう協力して対応していくか等に注力すべきなのに、領土や主権の争いについて偏った見解を出したことは非常に遺憾なことと批判した”と報じた。そして、日本やエクアドルで発生した大地震の被害に世界が注目している最中に、中国は南シナ海の人工島に軍用機を初めて着陸させて、更に一歩軍事拠点としての既成事実化を進めている。
4月18日付米
『ワシントン・ポスト』紙(
『AP通信』記事引用)の報道記事「中国が領有権を争う岩礁の上に建設した人工島に軍用機を派遣」:
「・中国外交部がウェブサイト上で明らかにしたところによると、中国軍の軍用機(Y-8輸送機と推測)を南シナ海のファイアリークロス岩礁上に築いた人工島に派遣。
・詳細を明らかにしていないが、掲載された写真からは、人工島から怪我人か病人を海南島の病院まで搬送した模様。...
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4月18日付米
『ワシントン・ポスト』紙(
『AP通信』記事引用)の報道記事「中国が領有権を争う岩礁の上に建設した人工島に軍用機を派遣」:
「・中国外交部がウェブサイト上で明らかにしたところによると、中国軍の軍用機(Y-8輸送機と推測)を南シナ海のファイアリークロス岩礁上に築いた人工島に派遣。
・詳細を明らかにしていないが、掲載された写真からは、人工島から怪我人か病人を海南島の病院まで搬送した模様。
・人民日報が発行する
『環球時報(英文ニュース)』の4月18日報道によると、中国軍用機の初着陸であるが、中国の長期戦略の一環で南シナ海を監視飛行させていた際の出来事と説明。
・なお、同岩礁上の人工島には滑走路が建設されていて、今年1月、3機の民間機が試験着陸を実施済み。」
同日付米
『Yahooニュース』(
『AFP通信』記事引用)の報道記事「中国軍用機が初めて領
有権争いの岩礁に着陸」:
「・中国国営メディアの
『人民解放軍報』は4月18日、中国軍用機が4月17日に初めて、フィリピンとベトナムと領有権を争っているファイアリークロス岩礁上の人工島に着陸と報道。
・同メディアによると、同人工島の重病人を緊急搬送するため。
・軍用機の初飛行の数日前、米国防総省のアシュトン・カーター長官が、フィリピンとの共同演習のため南シナ海を訪問中。」
同日付英
『メール・オンライン(デイリィ・メール電子版)』(
『ロイター通信』記事引用)
の報道記事「中国軍用機、領有権争いの人工島に公式初飛行」:
「・
『人民解放軍報』は、南シナ海を監視飛行中、ファイアリークロス人工島から急病人が出たとの緊急無線連絡が入ったため、救助の一環で着陸したと説明。
・中国外交部の陸康(ルー・カン)報道官は、軍によるかかる緊急救助は昔から行っていることで、中国の主権の範囲内のごく自然な行動と発言。
・しかし、軍事専門家は、かかる軍による行動によって、今後も同海域に軍が関与することが歴然とコメント。」
同日付中国
『中華日報(英字紙)』の報道記事「(人民解放軍の)軍用機が永暑礁(ヨンシ
ュー)に初着陸」:
「・中国軍用機が初着陸した永暑礁(編注;ファイアリークロス岩礁の中国名)には、3千メーター級の滑走路が建設済み。
・同機は、同礁で働く作業員の中に、腹部出血の急病人1名と怪我人2名が出たことから、海南島の病院まで緊急搬送するため着陸したもの。」
なお、以前も報じたが、南沙(スプラトリー)諸島において中国が埋め立てた、7つの人工
島における軍備配備状況は以下のとおりである。
・ファイアリークロス岩礁、ミスチーフ岩礁、スービ岩礁:滑走路
・ヒューズ岩礁、ジョンソン南岩礁、クアテロン岩礁、ガベン岩礁:レーダー施設
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