中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は2月1日、人民解放軍の幹部たちを前にして、人民解放軍を、これまで長く分かれていた7つの軍区から、新たに設けた5つの軍区に再編すると発表し、今後習主席が直接統括する体制を整えている。その際習主席は、21世紀の戦争は、陸・海・空・天(宇宙間部隊)・電(サイバー攻撃部隊)の5軍によって決まるとも発言したという。すなわち、従来型の陸・海・空3軍の戦いでは、到底米国に歯が立たないので、宇宙空間とサイバー攻撃で、世界の覇権を狙おうとしているとみられる。そして、更に米国に対抗する政策として、武器輸出にも注力し、米国に追い付こうとしていると各国メディアが伝えている。
2月22日付米
『CNNニュース』の、「中国の武器輸出が急増」と題した報道:
「・ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が2月22日に発表したレポートによると、中国の2011~2015年間の武器輸出額は、2006~2010年間より88%も急増。
・同期間の米国、ロシア、英国も伸ばしているが、中国程増加したところはなく、一方、ドイツ、オランダ、フランスは中国急増の煽りを受けて激減。
・中国の主要輸出先はアジア太平洋地域で、パキスタン、バングラデシュ、ミャンマー向けが大。
・21世紀初め、中国は最大の武器輸入国であったが、直近では、サウジアラビア、インドに抜かれ、武器輸入量は減少中。
・一方、IHS Jane’s誌(ジェーン・ディフェンス・ウィークリィ、英国の軍事と軍需産業情報に関する週刊誌)の2月21日号によると、アジア太平洋地域での緊張状態の高まりの影響で、同地域諸国の防衛費用は、2010年の20%から2020年代初めには33%まで上昇と予想。
・中国の他、フィリピン、インドネシア、日本、ベトナムの国防費も増加。」
2月21日付英
『メール・オンライン(デイリィ・メール電子版)』(
『ロイター通信』記事引用)の、「中国の武器輸出、直近5年で急増」と題した報道記事:
「・中国は、南シナ海やインド洋での覇権を狙ってか、国内の軍需産業発展に数十億ドル(数千億円)投資して活発化させており、2015年の国防費予算は前年比+10%の8,869億人民元(1,414.5億ドル、約16兆円)に増額。
・中国の直近5年間の武器輸出増額は+88%で、米国の+27%、ロシアの+28%を遥かに上回るものの、依然両大国には遠く及ばず、シェアは僅か5.9%。
・ただ、SIPRIの主任研究員によれば、中国製の武器は10年前に比べて格段に技術革新されており、今後武器市場での引き合いが高まると予想。」
2月23日付ロシア
『スプートニク』国際オンラインニュースの、「中国、武器輸出額をほぼ倍増」と題した報道記事:
「・SIPRIレポートによると、中国の武器輸入額は直近5年で▼25%減少しているが、輸出額は+88%、特に2015年では+143%の伸び。
・中国の国防費予算も前年比+10%増となっており、特に南シナ海における米国との緊張の高まりによると推測。
・一方、世界最大の武器輸入国はサウジアラビアであって、イエメンでの空爆開始等、中東地域での緊張の高まりもあり、同国は今後も大量の武器を輸入していくと予測。」
同日付中国
『人民日報』の、「中国のFC-20戦闘機、西側と余り武器取引がない諸国への輸出期待」と題した報道記事:
「・軍事専門家は、中国製の成都(チョントー)FC-20戦闘機は、西側と余り武器取引がない国々への輸出が期待されるとコメント。
・これまでFC-20戦闘機は、例えば北大西洋条約機構(NATO)加盟国には情報管理制限のみならず、米国製のF-16戦闘機の市場ということもあって販売できず、また、裕福な国家ほど、FC-20より割高でも総合的に優れた戦闘機を購入する傾向。
・しかし、中国国営航空工業集団公司(AVIC)幹部は、今後は西側と余り武器取引がない、アジア、アフリカ、中東、南米諸国にFC-20を積極的に売り込んでいるとコメント。
・米国が武器輸出する場合、同盟関係や政治的戦略等が優先されるが、中国の場合は、輸出先と技術、メインテナンス等で対等の関係を構築する方針であるため、それを歓迎する国が多いとする。
・ただ、依然戦闘機市場では、米国製F-16とロシア製MiG-29が圧倒的シェアを保有。」
(注)SIPRI:1966年5月、スウェーデン議会によって設立された国際平和研究機関。記述内容の客観性、正確性から国際的にも評価が高い「軍備・軍縮年鑑」の刊行で知られる。
閉じる
2024年夏季オリンピック・パラリンピック開催都市については、ボストン(米国)やハンブルグ(ドイツ)が市民の反対等で立候補を断念する事態があったが、このほど最終的に4都市が正式に立候補届を提出した。
2月17日付英
『メール・オンライン(デイリィ・メール電子版)』(
『AFP通信』記事引用)の、「2024年大会の候補都市出揃う」と題した報道記事:
「・2024年夏季オリンピック・パラリンピック開催について、国際オリンピック委員会(IOC)は2月17日、ブダペスト(ハンガリー)、ロス・アンゼルス(LA、米国)、パリ(フランス)、ローマ(イタリア)から立候補の届け出があったと発表。
・パリが凱旋門でスペシャル・イベントを開いてから1週間後、LAが2月16日にオリンピック・ロゴを披露。
・LAの目玉は、2020年オリンピック・アジェンダに沿った倹約オリンピックで、既存の設備;ステイプルズセンター(大規模屋内競技場)、LAコロシアム(屋外競技場)、ローズボウル・スタジアム(多目的球技場)、カリフォルニア大学LA校キャンパス(選手宿泊)等を最大限活用。
・パリも、2012年大会開催でロンドンに敗れたこともあり、グラン・パレ(大規模展覧会場)、トロカデロ・パレス等パリの記念建造物を利用することで、インフラ予算を32億ユーロ(約4,060億円)に抑えると強調。
・一方ブダペストは、経費膨張を理由とした住民の反対運動で立候補断念に追い込まれたハンブルグの二の舞とならないよう、セレモニーは一切行わず、予算も24億ユーロ(約3,050億円)に抑えると発表。
・各立候補都市は、更に詳細な開催計画書を今年10月までに提出するよう求められ、来年早々、IOC評価委員会メンバーの訪問審査を受ける。
・開催都市決定は、2017年9月13日リマ(ペルー)で開催されるIOC総会。」
同日付米
『シカゴ・トリビューン』紙の、「LA、2024年大会は好天と倹約を約束」と題し
た報道記事:
「・LAオリンピック招致委員会は2月16日、同大会招致ロゴを発表-夕日色の天使が羽ばたき、胸部から太陽が輝くというロゴ。
・LA大会は倹約をモットーとし、同市内に点在する20余りの既存の設備を利用と強調。」
また、同日付米
『デンバー・ポスト』紙(
『AP通信』記事引用)の、「ローマ、コロッセオ
やチルコ・マッシモをも活用と発表」と題した報道記事:
「・ローマオリンピック招致委員会は2月17日、ローマ市内に数多くある遺跡等を最大限活用と発表。
・自転車競技はフェロ・ロマーノ(古代ローマ時代の遺跡)側で、ビーチ・バレーはチルコ・マッシモ(古代ローマの戦車競技場跡)で、マラソンは、サン・ピエトロ広場を抜けて、ゴールはコンスタンチヌスの凱旋門、そして選手のパレードは夜にコロッセオ(古代ローマ時代の円形競技場)で、という具合。
・必要となる施設・競技場などの7割は、1960年ローマ大会の設備を活用とするが、予算は53億ユーロ(約6,730億円)を計上。
・しかし、同招致委員会は、17万7千人の新たな雇用と29億ユーロ(約3,680億円)の経済効果を生むと強調。」
閉じる