中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)はこの程、南シナ海海域で各国の活動を規制する「行動規範(COC)」の枠組みの草案について合意した。ただ、紛争解決の仕組みや法的拘束力については今後の協議課題とする一方、領有権問題は当事国間で解決するとし、日米含めた域外国の干渉を許さない原則が含まれていることから、中国の思惑どおりの草案に行きついたものとみられる。
5月19日付米
『Yahooニュース』(
『ロイター通信』配信):「中国とASEAN、南シナ海問題に関わるCOC枠組み合意」
中国外交部は5月18日、中国とASEANが、南シナ海領有権問題に関わるCOC枠組みについて合意したと発表したが、COC詳細については言及しなかった。関係国代表が、中国の貴陽(クイヤン、中国南西部貴州省の省都)で協議して草案をまとめたもの。
シンガポール外務省のチー・ウィー・キォング事務次官は、当該草案は8月にフィリピンで開催されるASEAN外相会議で承認されるとした上で、COCがより意味のある内容となるよう協議していくことになると語った。...
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5月19日付米
『Yahooニュース』(
『ロイター通信』配信):「中国とASEAN、南シナ海問題に関わるCOC枠組み合意」
中国外交部は5月18日、中国とASEANが、南シナ海領有権問題に関わるCOC枠組みについて合意したと発表したが、COC詳細については言及しなかった。関係国代表が、中国の貴陽(クイヤン、中国南西部貴州省の省都)で協議して草案をまとめたもの。
シンガポール外務省のチー・ウィー・キォング事務次官は、当該草案は8月にフィリピンで開催されるASEAN外相会議で承認されるとした上で、COCがより意味のある内容となるよう協議していくことになると語った。
一方、中国外交部の劉振民(リゥ・チェンミン)副部長(副大臣に相当)はテレビのインタビューで、中国・ASEAN全ての関係国にとって実りのある草案合意だったと述べる一方、今後のCOC協議には域外国の干渉は許さないと、米国を想定して釘をさすコメントを行った。
米国務省のアンナ・リッチー=アレン報道官は、今回合意したのはCOCの枠組みのみと了解しており、今後国際法、特に“海洋法に関する国連条約(UNCLOS、注後記)”に則ったCOC取決めがなされることに期待すると表明した。
同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「中国とASEAN、南シナ海に関わるCOC枠組み草案に合意」
今回のCOC枠組み草案の合意は、2002年に中国・ASEAN双方が「行動宣言(DOC)」を締結してから15年後のことで、第14回中国・ASEAN高官会議でなされたものである。
ただ、シンガポール外務省のキォング事務次官は、COC枠組み草案について、当初6月末とした目標よりは早く合意に至ったとコメントした。
同日付シンガポール
『ザ・ストレーツ・タイムズ』:「ASEAN・中国間の南シナ海に関わるCOC枠組み草案が完成」
2002年のDOC締結以来15年も経ったが、今回のCOC枠組み合意に向けての本格的交渉は、業を煮やしたフィリピン前政権が、2013年に領有権問題を常設仲裁裁判所に提訴したことを契機に始められたものである。
ただ、今回のCOC枠組み草案には、法的拘束力が含まれているか不詳である。中国外交部の劉副部長はこの点を問われて、詳細につきコメントすることはできないと回答している。
なお、シンガポールは、2015年からASEAN・中国間の仲介役の任に当っていて、今回中国とともに共同議長を務めた。
同日付中国
『チャイナ・デイリィ』:「南シナ海に関わるCOC枠組みに合意」
今回のCOC枠組み草案合意に当り、中国外交部の劉副部長とシンガポール外務省のキォング事務次官が共同議長を務め、関係国の総意をまとめるに至ったものである。
一方、中国外交部の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は5月18日、今週日本とニュージーランドが発表した南シナ海に関わる声明について、“域外国の全く不適切な声明”とした上で、日本は南シナ海含めて余計な緊張を高める行動に出ているだけだと非難した。
なお、今回の中国・ASEAN高官会議の共同議長を務めたシンガポール外務省のキォング事務次官は、関係国の努力が実ったもので、今回のCOC枠組み合意が、南シナ海海域の平和と安定に寄与していくものと期待すると語った。
(注)UNCLOS:海洋法に関する包括的・一般的な秩序の確立を目指して、1982年4月に第3次国連海洋法会議にて採択され、1994年11月に発効した条約。165の国・地域と欧州連合が批准。日本は1996年6月に批准。しかし、米国の他、トルコ、ペルー、ベネズエラなどは未締結。
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