米・英・フィリピン・中国メディア;南シナ海をめぐる動き(2)
6月3日付
Globali「南シナ海をめぐる動き」の中で報じたとおり、中国の一方的な海洋活動を攻撃する米国と、米国の航行の自由作戦と称した軍事的圧力を非難する中国との間で、南シナ海をめぐる対立の構図が更に強まってきている。そして、先週シンガポールで開催された“シャングリラ・ダイアローグ(SLD、注1後記)”においても、南シナ海をめぐって両国の非難合戦が繰り広げられた。
6月5日付米
『NYSEポスト』オンラインニュースの報道記事「カーター氏、中国は“万里の長城で孤立”と非難」:
「・SLD出席中のアッシュ・カーター国防相は6月4日、中国の海洋活動が関係国の懸念と反発を招き、結果として自国を“孤立させる万里の長城”を築くことになると非難する演説。
・中谷元防衛相も、関係国は国際法に基づいて秩序ある行動が求められると演説。
・これに対して中国代表団副団長の高官は、米国こそ南シナ海において軍事的緊張を高める行動を慎むべきであると主張。...
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6月5日付米
『NYSEポスト』オンラインニュースの報道記事「カーター氏、中国は“万里の長城で孤立”と非難」:
「・SLD出席中のアッシュ・カーター国防相は6月4日、中国の海洋活動が関係国の懸念と反発を招き、結果として自国を“孤立させる万里の長城”を築くことになると非難する演説。
・中谷元防衛相も、関係国は国際法に基づいて秩序ある行動が求められると演説。
・これに対して中国代表団副団長の高官は、米国こそ南シナ海において軍事的緊張を高める行動を慎むべきであると主張。
・同高官はまた、中国が孤立することは有り得ず、南シナ海における問題は関係国間の対話で解決していくことで合意しているともコメント。」
同日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』の報道記事「孫(スン)海軍上将、中国は孤立していないと強調」:
「・SLD出席中の中国の孫建国(スン・ジェングオ)中央軍事委副参謀長は6月5日、カーター長官の発言は誤っており、これまでも現在も、また将来も中国が孤立することはないと演説。
・また孫氏は、米国が南シナ海の中国主権地域において中国と対峙しようとすることは、“新たな冷戦”を引き起こすおそれがあり、断固反対するし、如何なる国も中国を公然と非難する権利はないとも主張。」
同日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュースの報道記事「米国と中国、SLD安保サミットの場において南シナ海問題で誹謗中傷合戦」:
「・SLDにおいて、南シナ海問題に関する米国側非難に対して、中国側が真っ向から反論。
・カーター長官が、中国の海洋進出やサイバー攻撃で関係国に懸念と反発を招いていると述べたのに対して、孫副参謀長は、南シナ海域外の国々は悪戯に事を荒立てることなく、建設的な対応をするべきだと対抗。」
同日付フィリピン
『ザ・マニラ・タイムズ』(
『AFP通信』記事引用)の報道記事「中国、米国の“挑発”は全く問題外と発言」:
「・SLDにおいて孫副参謀長は、米軍が行っている航行の自由作戦と称した軍事的圧力によって、中国をして国際仲裁裁判所の審理結果に従うよう無理強いしていると非難。
・一方、モンゴル訪問中のジョン・ケリー国務長官は6月5日、中国が南シナ海に防空識別圏(ADIZ、注2後記)を設定しようとしており、これは同海域の安定を損なうもので断固反対と発言。
・なお、香港の
『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』は、中国が、フィリピンの230キロメーター西の中沙(スカボロー)礁にも恒久設備を建設する計画と報道。
・これに対してカーター長官は、中国がこれ以上一方的な海洋活動を行うならば、更に最新鋭兵器(次世代ステルス戦闘機や無人潜水艇)を南シナ海に派遣すると警告。」
同日付中国
『チャイナ・デイリィ』(
『新華社通信』記事引用)の報道記事「中国、日米両
国に南シナ海関連で中国を公然と非難するのを止めるよう警告」:
「・中国外交部の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は6月4日、SLDにおいてカーター長官と中谷防衛相がそれぞれ、中国の海洋活動を公然と非難したことに反発して、日米は中国の主権を脅かすような発言や行動を慎むべきと表明。
・同報道官はまた、両国は歴史的事実を無視して、相変わらず独断的解釈を押し通し、そして、当事者でもないのに南シナ海問題に口を挟んで、同海域の平和と安定を脅かしているとも非難。
・更に、中国は東南アジア諸国連合(ASEAN)との合意どおり、南シナ海問題を当事者間の対話で解決していくことに努めているともコメント。」
(注1)SLD:2002年設立のアジア安全保障会議の通称。日米中ロ等アジア太平洋地域の28ヵ国の国防相等が年に一度、シンガポールのシャングリラ・ホテルで一堂に会し、同地域の安全保障について討議。
(注2)ADIZ:各国が防空上の必要性から、領空とは別に設定した空域。常時、防空監視が行われ、(通常は)強制力はないが、予め飛行計画を提出せずここに進入する航空機には、識別と証明を求める。更に、領空侵犯の危険がある航空機に対しては、軍事的予防措置などを行使することもある。
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米・英・香港・中国メディア;米労働市場、いよいよ行き詰まり?
5月9日付
Globali「米労働市場、陰りが見え始めるも引き続き堅調(2)」の中で、“4月の就業者数は、前月比+16万人増えたものの、専門家が予想した20万人を下回り、昨年9月以来の低い伸びとなっている”と報じた。そしてこの程発表された5月の就業者数実績は、僅か+3万8千人増に留まり、2010年9月以来の低調な結果となり、米連邦準備制度理事会(FRB)が期待した6月の追加利上げ気運が遠のくものとみられる。
6月3日付米
『CBSニュース』の報道「5月の就業者数、僅か+3万8千人と期待値より大幅減少」:
「・米労働省が6月3日に発表した5月の雇用統計によると、(景気の動向を敏感に反映するとされる)非農業部門の就業者数(季節調整済み)が前月比+3万8千人増と、2010年9月以来最低の伸び。
・失業率は4.7%と2007年11月以来の最低値。」
6月4日付米
『NYSEポスト』オンラインニュースの報道記事「就業者数僅か+3万8千人
ながら失業率は4.7%に下落」:
「・医療関係が唯一+5万5千人増と好調であったが、通信業界で▼3万7,200人減、また、建設業界でも5月の悪天候の影響で減少。...
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6月3日付米
『CBSニュース』の報道「5月の就業者数、僅か+3万8千人と期待値より大幅減少」:
「・米労働省が6月3日に発表した5月の雇用統計によると、(景気の動向を敏感に反映するとされる)非農業部門の就業者数(季節調整済み)が前月比+3万8千人増と、2010年9月以来最低の伸び。
・失業率は4.7%と2007年11月以来の最低値。」
6月4日付米
『NYSEポスト』オンラインニュースの報道記事「就業者数僅か+3万8千人
ながら失業率は4.7%に下落」:
「・医療関係が唯一+5万5千人増と好調であったが、通信業界で▼3万7,200人減、また、建設業界でも5月の悪天候の影響で減少。
・就業者数大幅減速に嫌気して、ニューヨークダウ平均株価は▼32ドル(▼0.2%)下落。」
同日付英
『ロイター通信英国版』の報道記事「米就業者数大幅減速で、FRBの利上げ遠の
く」:
「・米大手電機通信事業者のベライゾン・コミュニケーションズにおける1ヵ月のストライキで、情報分野の就業者が3万4千人減ったことも影響。
・失業率低下も、45万8千人が求職を断念(失業率より除外)したことが背景。
・FRBはこれまで、就業者数増が堅調で第2四半期(4~6月期)も経済成長が期待できるならば、追加利上げも辞さじと発言。
・しかし、米金融市場は、就業者数大幅減速で、6月14~15日開催予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、追加利上げが決定される可能性はなくなるだろうとの見方。」
同日付香港
『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』紙の報道記事「米就業者数大幅減
速でFRBの追加利上げ気運を吹き飛ばす」:
「・エコノミストも機関投資家も、米就業者数大幅減速で、FRBの追加利上げの話が雲散霧消したとの見方。
・FRBのジャネット・イエレン議長は5月27日に続いて5月30日も、雇用統計や経済成長率が好調を維持すれば、追加利上げもあり得ると発言したばかり。」
6月3日付中国
『新華社通信』の報道記事「米失業率、2007年以来の最低値」:
「・就業年齢層人口に対し、就業者及び求職者が占める割合は62.6%と、過去2ヵ月で▼0.4%となっており、失業率減少の理由のひとつ。
・時間当り賃金は+5セント増の25.59ドル(約2,740円)で、4月の+9セント増に続き、年率換算では+2.5%。」
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