EU、インドとの自由貿易協定の交渉を8年ぶりに再開(2021/05/10)
欧州連合(EU)とインドは8日、ビデオ会議を行い、貿易協定の交渉を再開することで合意した。EUとインドは、中国の台頭を背景に互いに経済関係を強化したいと考えている。
仏メディア
『RFI』は、13億人の人口を抱え、パンデミック前には6%近い力強い成長を遂げていたインドが、EUにとって重要な市場であると伝えている。
EUとインドの間の経済関係は、この10年間でますます強まっており、EUはインドにとって最大の貿易相手国になっている。欧州議会の資料によると、2019年にEUはインドの貿易の11.1%を占め、中国と米国をわずかに上回っていた。貿易額は1,150億ドル(約12兆5千億円)に達し、4,500社ほどの欧州企業がインドで事業を展開し、600万人の直接・間接雇用を生み出している。...
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仏メディア
『RFI』は、13億人の人口を抱え、パンデミック前には6%近い力強い成長を遂げていたインドが、EUにとって重要な市場であると伝えている。
EUとインドの間の経済関係は、この10年間でますます強まっており、EUはインドにとって最大の貿易相手国になっている。欧州議会の資料によると、2019年にEUはインドの貿易の11.1%を占め、中国と米国をわずかに上回っていた。貿易額は1,150億ドル(約12兆5千億円)に達し、4,500社ほどの欧州企業がインドで事業を展開し、600万人の直接・間接雇用を生み出している。ヨーロッパからのインドへの投資は外国投資の18%を占め、EUはインドで最大の外国投資家となっている。
EUとインドは、これまでも自由貿易協定のための交渉を進めてきた、しかし5年に及ぶ話し合いの末、2013年に交渉が中断された。インド側が産業や農業を保護するために巨大な国内市場の開放に消極的だったことが一因としてあげられる。
しかし、最近の中国の拡張主義的な政策に直面して、EUもインドも自由協定を進め、共に近づいていこうと決意しているようだ。世界経済が非常に低迷していることや、インドで大流行している新型コロナウイルスも、EUとインドが経済的・戦略的な関係を強化したいという願望を強める要因となっている。
また、この10年間で、EUとインドの間の貿易は約72%増加していることから、EUは、インドとの自由貿易協定の確立に向けて、これまで以上に意欲的に取り組んでいる。
仏金融紙『レゼコー』によると、8日の会議には、EU加盟国の全首脳が参加し、インドの首相は、新型コロナウイルスのパンデミックのため、オンラインで参加したという。EUのある外交筋は、インドのEUに対する関心の低さは長年続いていたが、ここに来てインドのEUに対する態度が「急激に変化」したと指摘している。ブリュッセルに駐在するインドの外交官たちは、ここ数週間、EUに対し積極的な話し合いを求めて活動しているという。
香港の『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』によると、インドは現在、中国に次いで世界で2番目に人口の多い国で、13億人以上の人口を抱えているが、EUにとっては10番目に大きな貿易相手国に過ぎないという。
EU委員長は、インドのナレンドラ・モディ首相との会談後、記者団に対し、投資協定と地理的表示に関する交渉も開始すると述べた。
今回のオンライン会議では、バスマティ米、ロックフォールやパルメザンチーズ、ダージリン紅茶などの原産地表示の保護に関する合意を目指すことや、投資、デジタル技術、輸送に関する協定の模索などについても話し合われた。
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中国人口、半世紀ぶりに減少に転じる見通し(2021/04/29)
中国が2020年の国勢調査の結果を発表する予定となっている。しかし、出生率の低下に歯止めがかからない中、半世紀ぶりに人口の減少が発表と予想されている。インドが世界で最も人口の多い国になる可能性が出てきた。
英
『ファイナンシャルタイムズ』は27日付の記事で、中国政府が60年ぶりの人口減少を発表すると報じた。2020年の国勢調査の結果は、4月上旬に発表される予定となっていたが、国家統計局が「追加の準備作業」があったとして発表を延期した。ソーシャルネットワークでは、世界に公表したくない不都合な数字があるのではないかとの憶測を呼んでいる。
専門家は、中国の人口が減少すれば、消費から高齢者介護まであらゆる面で影響を及ぼし、アジア最大の経済大国に大きな打撃を与える可能性があると指摘している。...
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英
『ファイナンシャルタイムズ』は27日付の記事で、中国政府が60年ぶりの人口減少を発表すると報じた。2020年の国勢調査の結果は、4月上旬に発表される予定となっていたが、国家統計局が「追加の準備作業」があったとして発表を延期した。ソーシャルネットワークでは、世界に公表したくない不都合な数字があるのではないかとの憶測を呼んでいる。
専門家は、中国の人口が減少すれば、消費から高齢者介護まであらゆる面で影響を及ぼし、アジア最大の経済大国に大きな打撃を与える可能性があると指摘している。また、人口が13億8,000万人と推定されるインドが中国の人口を超える可能性も出てきた。
北京のシンクタンク、「Center for China and Globalization」の特別研究員であるHuang Wenzheng氏は、「中国の人口減少のペースと規模は、想像していたよりも速く、大きく、中国に壊滅的な影響を与える可能性がある。」と指摘している。
中国の出生率は、2015年に数十年続いた一人っ子政策が緩和された後も低いままとなっている。公式発表では、若い女性の数が減っていることと、子育てにかかる費用が急増していることが減少の原因とされている。
中国人民銀行は「中国が出生率を過大評価していたことはほぼ事実である」と述べている。「中国の人口動態の変化によってもたらされる課題は、(予想よりも)大きくなる可能性がある」と述べている。北京在住のある政府顧問は、このような過大評価は、教育や治安などの予算を決定するために人口動態の数字を使用している財政システムにも起因すると述べている。地方自治体にとってはより多くの資源を得るために、人口数を誇示するインセンティブとなっているためだ。
香港の英字紙『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』によると、ウィスコンシン大学マディソン校の上級研究員であるFuxian Yi氏は、「アメリカの経済学者や政府関係者は、中国が世界一の経済大国となり、アメリカと競争することになると考えている。しかし実際には、中国は彼らが期待したほど強くはない。」と述べている。
専門家によれば、中国政府は必ずしも正直に人口データを発表してこなかったという。Yi氏は、「データが間違っているということは、政策立案が間違っているということであり、中国は非常に深刻な高齢化問題に直面している。」と指摘している。
先月、中国政府の有力な研究者は、中国政府が労働者の定年を徐々に引き上げ始めるだろうと述べた。これは、高齢者が通常の年齢で退職できるほど中国の労働人口が十分ではないことを示している。
仏金融紙『レゼコー』によると、コンサルティング会社の「Capital Economics」は、「国勢調査前のデータに基づく当社の予測では、すでに中国は2030年までに毎年0.5%ずつ労働力が減少し、GDPにも同様の影響が出ることが示唆されていた。成長が鈍化すると、経済的に米国に追いつくことが難しくなる。」と指摘している。
中国人民銀行は、中国政府が、人口動態が変化したことを認識し、「教育や技術の進歩は、人口減少を補うことはできないことを理解しなければならない」と警告している。
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