米・英・中国メディア;中国国営メディア、文化大革命を過ちと断罪!
中国共産党機関紙の
『人民日報』が5月17日、文化大革命(文革、注後記)の発動50年に際した論評を掲載し、その中で文革を否定した1981年の党の決議を正しい結論とし、改めて文革は過ちであったと強調した。文革を否定することは、現在の中国発展の基礎を築いた鄧小平(ドン・シャオピン)元主席の改革開放経済政策を肯定することを意味するため、当然の帰結ではあろうが、一方で、中国共産党の始祖である毛沢東(マオ・ツォートン)初代主席の政策を否定することを意味することになるため、中国共産党にとっては大きな決断である。習近平(シュー・チンピン)指導部が、文革に対する姿勢と評価を始めて鮮明に打ち出した点で注目されている。
5月19日付米
『NYSEポスト』オンラインニュースの報道記事「中国国営メディア、文革が甚大な被害をもたらしたと断罪」:
「・文革発動の50年目に当り、中国国営の
『人民日報』が5月17日、10年も続いた悲惨な文革の過ちから多くを学び、二度と同様の事態を許してはならないとの論評を掲載。
・同紙は、文革が理論と実践の上で完全な誤りだったことは、歴史が十分に説明していると断罪。
・ただ、文革を先導した毛氏の中国共産党創立・発展への寄与は評価されていて、依然北京の中心部である天安門広場に同氏の肖像画が掲示。...
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5月19日付米
『NYSEポスト』オンラインニュースの報道記事「中国国営メディア、文革が甚大な被害をもたらしたと断罪」:
「・文革発動の50年目に当り、中国国営の
『人民日報』が5月17日、10年も続いた悲惨な文革の過ちから多くを学び、二度と同様の事態を許してはならないとの論評を掲載。
・同紙は、文革が理論と実践の上で完全な誤りだったことは、歴史が十分に説明していると断罪。
・ただ、文革を先導した毛氏の中国共産党創立・発展への寄与は評価されていて、依然北京の中心部である天安門広場に同氏の肖像画が掲示。」
5月18日付米
『ジ・エポック・タイムズ』(在外中国人向けオンラインニュース)の報道記事「文革後50年で、中国の若者の多くは不詳」:
「・50年前の5月16日、結果として数千万人の犠牲者を出した文革が発動。
・特に悪名高い紅衛兵が、中国各地の史跡や伝統の文化財を破壊。
・中国本土で活動が許されている数少ない民間テレビ局の
『フェニックスTV』が中国の若者にインタビューしたところ、多くが文革時代に何が起きて、そもそも何故始まったかを不詳と回答。
・家族から昔話として聞いている者もいたが、現在の教育システム上、文革自体を教えられていないことが大きな背景で、一部の若者は、1937年に日本軍が起した南京大虐殺が文革時代に発生したものと誤解。」
同日付英
『メール・オンライン(デイリィ・メール電子版)』(
『AP通信』記事引用)の報道記事「軍服をまとったゴミ拾い人が毛主席賛歌を熱唱」:
「・旧都の洛陽(ルオヤン、河南省西部)在住のゴミ拾いの趙(ツァオ、63歳)さんは、元人民解放軍兵士。
・週に何度か、軍服をまとい、毛主席の肖像画などを携えて、毛氏賛歌を歌いながら広場を行進。
・文革で、地域の農民など少なくとも100万人が犠牲になったが、見捨てられた奥地の農民まで救おうとした毛氏の運動を評価。
・ところが、道半ばで毛氏死去に伴い、その後多くの腐敗したリーダーが生き残り、中国をだめにしたと非難。
・特に、農村戸籍の趙さんは人民解放軍退役後定職に就けず、都市戸籍の人達との明白な差別に憤っており、習指導部が数百万人の貧困層を救うとの政策を推進しているものの、依然不十分とコメント。」
同日付中国
『チャイナ・ナショナル・ニュース』の報道記事「中国、文革の繰り返しは不可能と声明」:
「・文革発動後50年を迎え、一部に文革時代の政策の蒸し返しを唱える人達がいるが、中国共産党政府は明確に、文革の成果を否定し、二度と繰り返してはならないと声明。
・中国共産党は1981年、文革が党と国家・人民に深刻な災難をもたらした内乱だと総括。
・しかし、文革で多くの犠牲者を出した共産党そのものの責任を問おうとする改革派が出てきていることもあって、文革の否定を共産党の否定に結び付けることも間違っていると強調。
・習指導部の下で、党と全国民が一致団結するよう訴え。」
(注)文革:1966年から1976年まで続き、1977年に終結宣言がなされた社会的騒乱で、プロレタリア文化大革命とも呼ばれる。名目は「封建的文化、資本主義文化を批判し、新しく社会主義文化を創生しよう」という政治・社会・思想・文化の改革運動だった。しかし実際は、大躍進政策の失敗によって政権中枢から退いた毛沢東共産党主席が自身の復権を画策し、民衆を扇動して政敵を攻撃させ失脚に追い込むための、中国共産党の権力闘争。これにより1億人近くが何らかの損害を被り、国内の大混乱と経済の深刻な停滞をもたらした。
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米・英・ロシア・韓国・中国メディア;米大統領の広島訪問の評価(2)
5月11日付
Globali「米大統領の広島訪問の評価」で、オバマ氏が現職の米大統領として初めて広島を訪問することになったと報じた。ホワイトハウスが予め、オバマ氏訪問が日本に対する謝罪の目的とはせず、核なき世界をアピールするという立場で臨むと寝回していたためか、米国内で大きな批評は出ていない。一方、中国や韓国では、予想どおり、日本が侵略戦争の加害者から被害者へのイメージ転換に使われかねないとの懸念の声が上がっている。
5月12日付米
『NYSEポスト』オンラインニュースの報道記事「日本側、オバマ氏の謝罪の言葉はなくとも広島訪問を歓迎」:
「・広島市の松井一實市長は、オバマ大統領の広島訪問について、偉大な決断であり、核兵器廃絶に向けて歴史的な前進となると歓迎の意を表明。
・ホワイトハウスの安全保障担当のベン・ロウズ副顧問は、大統領が原爆投下の決定ついて評価や謝罪等に言及することはなく、あくまで犠牲者の慰霊と核なき世界創出をアピールするものとコメント。...
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5月12日付米
『NYSEポスト』オンラインニュースの報道記事「日本側、オバマ氏の謝罪の言葉はなくとも広島訪問を歓迎」:
「・広島市の松井一實市長は、オバマ大統領の広島訪問について、偉大な決断であり、核兵器廃絶に向けて歴史的な前進となると歓迎の意を表明。
・ホワイトハウスの安全保障担当のベン・ロウズ副顧問は、大統領が原爆投下の決定ついて評価や謝罪等に言及することはなく、あくまで犠牲者の慰霊と核なき世界創出をアピールするものとコメント。
・しかし、安倍首相や広島市民は、オバマ氏の謝罪の言葉はなくとも広島訪問を歓迎。
・なお、米国内には、安倍首相も真珠湾を慰霊訪問すべきとの声。」
5月10日付英
『ザ・ガーディアン』紙の報道記事「ホワイトハウス、オバマ氏の広島訪問は謝罪目的ではないと言明」:
「・ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト報道官は記者会見で、大統領の広島訪問を謝罪目的と解釈するのは誤りと言明。
・ただ同報道官は、大統領は原爆投下について、世界で唯一原爆を使用した国として責任を負っていると感じているし、だからこそ核なき世界創出のため率先して行動する必要があると考えているともコメント。
・一方で、原爆投下を契機に、第二次世界大戦を終結させ、結果として米国のみならず世界の国々の多くの命を救ったということも強調。」
5月11日付ロシア
『スプートニク』国際オンラインニュースの報道記事「広島の被災者、
オバマ氏に原爆の悲惨さの理解を望む」:
「・原爆の被災者は、オバマ大統領に原爆による悲惨な事態を知ってもらうことが大切で、謝罪の言葉より、平和記念公園の慰霊碑の前で哀悼の意を示すことが、核兵器廃絶の一歩となるとコメント。」
同日付韓国
『ザ・コリア・ヘラルド』紙の報道記事「韓国政府、オバマ氏の広島訪問を理
解」:
「・韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長(外相に相当)は5月11日、オバマ大統領の広島訪問について、原爆投下の謝罪と解釈されるおそれがあるものの、訪問の意義を了解すると表明。
・韓国は以前から、1910~1945年の間日本による植民地とされていた歴史があることから、日本が(原爆による被害等を訴えることで)第二次大戦当時の侵略の歴史を洗い流そうとしていると非難。」
5月12日付中国
『人民日報』の報道記事「日本政府、オバマ氏の広島訪問を拡大解釈」:
「・これまでどの国も、オバマ大統領がアピールした核なき世界という理念に真摯に応えておらず、また、同大統領が主導する“核安保サミット(NSS)”会議においても何ら進展なし。
・更に、同大統領の任期切れが近づいたこともあって、NSS開催も消滅。
・しかしながら、日本側は同大統領の広島訪問を拡大解釈し、特に右翼政治家は、原爆の犠牲を前面に出すことで、侵略戦争の歴史自体を洗い流そうと画策。
・同大統領の広島訪問は、ホワイトハウスの公式発表どおり、原爆犠牲者の慰霊と核なき世界創出のアピールのみが目的であるのに、安倍首相はそれだけでは留めない考え。」
なお、ホワイトハウスのその後の発表によると、広島訪問時、オバマ大統領は多くの聴衆
を集めての大々的な演説は予定せず、ただ慰霊碑に献花する等静かな慰霊訪問になるとい
う。哀悼の意を公に表すだけでも、米国内では謝罪と受け止められる恐れがあることから
の措置で、但し、メモリアルデイ(注後記)に合せて、初の広島訪問を踏まえ、核軍縮や
強固な日米関係を構築した成果などを織り込んだ大統領所見を発表するとしている。
(注)メモリアルデイ:米国の連邦政府の定めた祝日で、5月の最終月曜日(今年は5月
30日)。戦没将兵記念日、戦没者追悼記念日などとも呼ばれる
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