FIFAワールドカップ2026年北米大会;NJ州とテキサス州のNFL専用スタジアムが決勝戦開催呼び込みで鍔迫り合い【米メディア】(2024/01/07)
国際サッカー連盟(FIFA、1904年設立)主催のワールドカップ2026年(W杯2026)は、米・メキシコ・カナダ3ヵ国の共催で行われる。一昨年、米11市・メキシコ3市・カナダ2市の競技場での開催が決定されたが、予選含めた試合日程・場所については未定である。そこでニュージャージー州とテキサス州在の米2大競技場が、決勝戦の開催権を獲得すべく鎬を削っている。
1月5日付
『AP通信』、1月6日付
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース等は、W杯2026の決勝戦の開催権を獲得すべく、NJ州のメットライフ・スタジアムとテキサス州のAT&Tスタジアムが鍔迫り合いをしていると報じた。
W杯2026は、米・メキシコ・カナダの3ヵ国共催となるだけでなく、参加チーム数が従来の32から48チームに1.5倍増する。
そのため、試合数が一挙に104試合になること及び3ヵ国の分散開催に当たって、2022年にFIFAが承認した計16の開催都市-米11(NJ州・NY、テキサス州ヒューストン及びアーリントン、カリフォルニア州LA及びサンフランシスコ、シアートル、ジョージア州アトランタ、カンザス州カンザスシティ、ボストン、フィラデルフィア、マイアミ)、メキシコ3(メキシコシティ、モンテレイ、グアダラハラ)、カナダ2都市(トロント、エドモントン)の各競技場が使われることになる。...
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1月5日付
『AP通信』、1月6日付
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース等は、W杯2026の決勝戦の開催権を獲得すべく、NJ州のメットライフ・スタジアムとテキサス州のAT&Tスタジアムが鍔迫り合いをしていると報じた。
W杯2026は、米・メキシコ・カナダの3ヵ国共催となるだけでなく、参加チーム数が従来の32から48チームに1.5倍増する。
そのため、試合数が一挙に104試合になること及び3ヵ国の分散開催に当たって、2022年にFIFAが承認した計16の開催都市-米11(NJ州・NY、テキサス州ヒューストン及びアーリントン、カリフォルニア州LA及びサンフランシスコ、シアートル、ジョージア州アトランタ、カンザス州カンザスシティ、ボストン、フィラデルフィア、マイアミ)、メキシコ3(メキシコシティ、モンテレイ、グアダラハラ)、カナダ2都市(トロント、エドモントン)の各競技場が使われることになる。
米開催競技場は全て、同国で最も人気の高いアメリカンフットボール(NFL、1869年設立、計30チームが所属)の専用競技場が使用される。
ただ、NFL用のフィールドは53.3ヤードx120ヤード(49メートルx110メートル)だが、FIFAが基準としているフィールドの広さは70ヤードx115ヤード(64メートルx105メートル)であるため、改修工事が必要となる。
更に、8万人以上収容可能な競技場1つ、6万人以上が2つ、4万人以上が11以上あることが必要条件となっているため、座席数を減らしてフィールドを広げるだけの改修では不十分である。
かかる背景の下、NJ州・NYの候補競技場であるメットライフ・スタジアム(2010年開場、NFL所属のNYジェッツ及びNYジャイアンツの本拠地)と、テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアム(2009年開場、NFL所属のダラス・カウボーイズの本拠地)が、2026年7月19日開催予定のW杯決勝戦の候補地に名乗りを上げて鎬を削っている。
まず、メットライフ・スタジアムのあるNJ州のフィル・マーフィー知事(66歳、2018年就任)は昨秋、『AP通信』の電話インタビューに答えて、“NJ州及びNY市民を代表して、W杯決勝戦を含めて、開催場所として相応しい競技場に整備していく”と宣言している。
同知事は、“当スタジアムはフィールド角の座席を取外すことで、FIFAが求める条件に適したフィールドの広さを確保できるが、他のほとんどのスタジアムは外周全体を後退させる等してフィールドを広げる必要がある”として、NFLシーズン終了後に取り掛かるべき改修工事の程度によって自州のスタジアムが抜きん出ていると強調している。
同スタジアムの広報担当ヘレン・ストラス氏は、“当スタジアムでは昨年10月、本拠としているNYジェッツとNYジャイアンツとの試合に8万3,367人の観客を動員しているが、先のサッカー用フィールドの広さを確保するため、角の1,740席を取り外すため、収容人数は7万4,895人になると推定される”とコメントした。
同氏は、“当該工事は大規模ではなく、かつW杯終了後は、同角に取外し可能な座席を設置することになる”として運用の利点も強調している。
同スタジアムは米最大都市のNYに近接していることより、FIFA幹部はもとより海外からの観戦者等にとって最もアクセスが優れている、との利点を有する。
一方、2009年のNFLレギュラーシーズンの最多観客動員数10万5,121人の記録を保有するテキサス州のAT&Tスタジアムも当然のことのように、W杯決勝戦の開催地獲得を目指している。
しかし、同スタジアムを本拠とするダラス・カウボーイズ広報担当のジョー・トゥラハン氏は、W杯関連の整備計画等に関わるメディアの質問に応えようとせず、FIFAやダラス・スポーツ委員会(W杯試合運営等取り纏め機関)に照会すべきだとのみコメントしたが、2つの機関とも『AP通信』の照会メールに回答してきていない。
なお、W杯の試合会場にするためには、サッカー用の広さの確保に加えて、現在人工芝となっているピッチを天然芝に変更する工事が必要となり、上記の2スタジアムもこの工事は必須である。
(編注)日本のW杯招致:2022年大会招致に失敗したが、2002年日韓共催に続いて2050年までにもう一度開催するという長期プランを掲げている。しかし、肥大化したW杯の新たな開催基本条件である、‘8万人以上収容の競技場1つ、6万人以上2つ、4万人以上11ヵ所’を中々満たすことができない状況である。因みに日本の同競技場の収容規模は、①日産スタジアム7万2千人、②埼玉スタジアム6万3千人、③新国立競技場6万人、また4万人以上は他に3ヵ所のみ。
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オランダ国王、奴隷解放記念日に過去の奴隷貿易仕業を初めて公に謝罪【米・英国メディア】(2023/07/04)
オランダ国王が同国の「奴隷記念日(SRD、注1後記)」に、17~19世紀後半における同国の違法な奴隷貿易の仕業について初めて公に謝罪した。ただ、市民の中には“やり過ぎ”という声が上がる一方、国際人権団体は被植民地の被害の重さを十分認識した上で賠償していく責任があると主張している。
7月3日付
『ワシントン・ポスト』紙、
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース、7月2日付英国
『BBCニュース』、
『ジ・エクスプレス』紙等は、オランダ国王が過去の奴隷貿易の仕業について、初めて公に謝罪したと報じている。
第7代オランダ国王のウィレム=アレクサンダー(56歳、2013年即位)は7月1日、同国のSRD式典において、過去の違法な奴隷貿易の仕業について初めて公に謝罪すると表明した。
同日は、オランダが正式に南米スリナム(1975年オランダから独立)、カリブ海オランダ領(アルバ島、クラサオ島、ボネール島等)に対する奴隷貿易を、1863年7月1日に廃止する旨表明したことを記念する日である。
同国王は、“奴隷制は人の自由を奪い、尊厳を傷つける最も非人間的な仕業だ”とした上で、“国王として、また政府の一員として、心から詫びたい”と沈痛に語った。
オランダの植民地政策は、南米スリナムから南アフリカ、そして東インド(現在のインドネシア)まで及んでおり、政府は、過去300年余りの間、植民地のプランテーション(注2後記)での労役のために60万人余りの奴隷をアフリカから送り込んだことを認めている。
航海途上で約7万5千人の奴隷が死亡していて、また、植民地の先住民も奴隷に駆り出されていた。
スリナム出身の第二院(下院に相当)シルバナ・シモンズ議員(52歳、2021年就任、左派反人種主義政党党首)は、国王自らの謝罪表明を“歴史的なこと”として歓迎するとした上で、潮目は変わりつつあるとツイートした。
マーク・ルッテ首相(56歳、2010年就任)も政府を代表して陳謝しており、奴隷制度の実態を国民に理解してもらうためのカルチャー施設用に2億1,800万ドル(約316億円)を投じることを決定している。
ただ、国民の意識は少々違っていて、国王自身も、1世紀以上も前のことを謝罪することは“行き過ぎだ”と考える人がいることを承知している旨付言した。
英国のデータ収集・分析専門のYouGov(2000年設立、本部ロンドン)が2019年に実施した、欧州列強や日本が行った帝国主義政策についてのアンケートによると、オランダ市民の回答者のうち半分以上が、恥じることではなくむしろ誇り高いことだったとコメントしており、他のどの国より支持する声が多かった。
過去の帝国主義や奴隷制度に対して謝罪すべきかどうかは、他の欧州諸国にとっても悩ましい問題で、ベルギーのフィリップ国王(63歳、2013年即位)は2020年、アフリカ中部のコンゴ民主共和国(旧ザイール、1960年にベルギーから独立)への植民地政策に“深い悔恨”の意を表明したが、謝罪の言葉は控えた。
英国のチャールズ三世国王(74歳、2022年即位)は昨年、奴隷制について“個人としての哀悼の意”を明らかにしていて、5月の戴冠式時にも英国の帝国主義について謝罪するよう求める声が上がっていた。
しかし、リシ・スナク首相(43歳、2022年就任)は、上記の求めにも、また、英国議員の一部からの奴隷制被害者に対する賠償の支払いの要求に対しても同意していない。
なお、国際人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(1978年設立、本部ニューヨーク)は昨年12月、“奴隷制や搾取等の植民地主義の罪を心から悔い改めるとするなら、植民地主義がもたらした被害の重さと責任を十分認識した上で、賠償金を支払うことが必要である”との声明を発表している。
(注1)SRD:奴隷貿易とその廃止を記念する日。国連教育科学文化機関(ユネスコ、1945年設立)がSRD国際デーと定めたのは8月23日。なお、オランダが奴隷貿易廃止を決定したのは1863年で、米国でエイブラハム・リンカーン大統領(1809~1865年、1861~1865年在任)が南北戦争勝利を受けて発信した奴隷解放宣言と同年。その他、英国は1833年、フランスは1848年、ポルトガル及びスペインは1860年。
(注2)プランテーション:熱帯、亜熱帯地域の広大な農地に大量の資本を投入し、国際的に取引価値の高い単一作物を大量に栽培する大規模農園。植民地主義によって推進され、歴史的には先住民や黒人奴隷などの熱帯地域に耐えうる安価な労働力が使われてきた。
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