米・英・ドイツ・ロシア・中国メディア;トヨタの世界販売首位陥落が確定(2017/01/31)
1月12日付
Globali「VW、初世界販売トップ奪取も米当局への重い罰金支払い」の中で、“ドイツのフォルクスワーゲン(VW)グループが、2016年の世界販売台数で1,031万台を達成し、2015年まで4年連続首位だったトヨタ自動車を抜いて初めてトップに躍り出る見通しとなった”と報じた。そしてこの程、トヨタの2016年販売実績が1,017万5千台であることが判明したため、VWの世界販売トップが確定した。
1月30日付米
『NBCニュース』:「スキャンダルに襲われた自動車メーカーが世界販売トップ」
「●排ガス不正問題に襲われていたVWが、2016年に全世界で1,031万台販売し、トヨタに15万台以上の差を付けて首位を奪取。
●2015年のスキャンダル発覚で辞任に追い込まれたマーティン・ヴィンターコルン前最高経営責任者(CEO)が、当初2018年までに首位奪取との目標を立てていたが、2年早く達成。...
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1月30日付米
『NBCニュース』:「スキャンダルに襲われた自動車メーカーが世界販売トップ」
「●排ガス不正問題に襲われていたVWが、2016年に全世界で1,031万台販売し、トヨタに15万台以上の差を付けて首位を奪取。
●2015年のスキャンダル発覚で辞任に追い込まれたマーティン・ヴィンターコルン前最高経営責任者(CEO)が、当初2018年までに首位奪取との目標を立てていたが、2年早く達成。
●しかし、後任のマティアス・ミューラー現CEOは、販売台数トップ目標より、企業倫理の改善と排ガス不正の汚名返上に主眼。
●VWが販売好調だったのは、欧州市場回復で421万台に到達しただけでなく、中国市場で前年比+12.2%増の398万台と、同国最大の自動車メーカーとなったためだが、業界専門家は、間もなくVWの主たる市場は欧州から中国にシフトすると予想。
●一方、トヨタは2016年世界1の収益を上げる自動車メーカーと見込まれるが、販売台数は前年の1,015万台から1,018万台に微増に留まる。」
同日付英
『ザ・サン』紙:「VW、トヨタを抜いて世界販売トップに君臨」
「●VWは、2015年まで4年連続首位のトヨタを抜いて初の世界販売トップ。
●2015年9月にVWの排ガス不正が発覚した際、英国販売の120万台含めて、欧州全域で合計1,100万台が違法回路搭載車だったことが判明。
●日本の業界専門家は、あと数年VWが販売首位を堅持しようと予測。
●なお、米最大のGMの2016年実績は来週確定数値が発表されるが、VW実績を上回ることはないことが判明済み。」
同日付ドイツ
『DPA(ドイツ通信)ニュース』:「VWが2016年世界販売台数でトヨタに競り勝ち」
「●トヨタの2016年実績が前年比僅か+0.2%だったが、VWは+3.8%と大躍進。
●トヨタは、2011年の東日本大震災による部品等供給体制崩壊危機で首位を明け渡したが、2012年以降は4年連続首位堅持。」
同日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)』テレビニュース:「VW、トヨタを抜いて世界販売首位奪取」
「●VWは、ブラジル向けで▼34%減、米国で▼3%減、しかし、欧州で+4%増、更に排ガス不正に関わるディーゼル車を一切販売していなかった中国向けで+12.2%増と躍進したため、世界販売トップを獲得。
●ドイツの業界専門家は、北米市場が主流のトヨタは、目下トランプ・リスク(新大統領からの無理難題要求)を抱えて伸び悩み、一方、VWは欧州・中国で更に伸びると期待されるため、2017年も世界トップを維持すると予想。」
同日付中国
『上海日報』:「トヨタ、2016年世界販売首位から陥落」
「●1月30日の実績値発表で、トヨタが世界販売首位から陥落することが確定。
●また、トヨタは、トランプ新大統領よりメキシコ工場建設計画を非難され、対応に苦慮。
●更に、同大統領は、日本の自動車メーカー含めて、米労働者雇用に悪影響を与えるとして、対米輸出について見直すとも発言。
●
『共同通信』の1月30日報道によると、トヨタの豊田章夫社長は2月3日、来週訪米して同大統領と首脳会談予定の安倍晋三首相と面談し、日米貿易の実情等を詳しく打合せ予定。」
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米・英・ロシア・中国メディア;米大統領選、選挙人が正式にトランプ氏選出(2016/12/21)
今年11月8日実施の一般有権者による投票で、すでにトランプ氏の大統領選勝利が確実となっていたが、米国憲法に基づく選挙人制度(注1後記)に基づく投票によって、全投票数(計538)の過半数の304票を獲得したトランプ氏が、正式に次期大統領として選出されることになった。一方で、史上初めて、一般有権者の投票結果に抗って造反投票した選挙人が7人も出ており、改めて米国の間接選挙制度のひずみが浮き彫りになっている。
12月20日付米
『ザ・タイム』誌:「月曜実施の選挙人投票で史上最多の造反投票現出も大勢に影響なし」
「●12月19日実施の各州選出選挙人の投票の結果、ドナルド・トランプ氏が過半数270票を超える304票を獲得して、正式に次期大統領に選出。
●民主党クリントン陣営の淡い期待に背き、共和党選出選挙人でトランプ氏以外に投票したのは僅か2人。
●これに反して、民主党選出の選挙人の内、ヒラリー・クリントン氏以外に投票したのが5人にも上り、合計7人の造反者は、1808年に6人を記録して以来史上最多。...
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12月20日付米
『ザ・タイム』誌:「月曜実施の選挙人投票で史上最多の造反投票現出も大勢に影響なし」
「●12月19日実施の各州選出選挙人の投票の結果、ドナルド・トランプ氏が過半数270票を超える304票を獲得して、正式に次期大統領に選出。
●民主党クリントン陣営の淡い期待に背き、共和党選出選挙人でトランプ氏以外に投票したのは僅か2人。
●これに反して、民主党選出の選挙人の内、ヒラリー・クリントン氏以外に投票したのが5人にも上り、合計7人の造反者は、1808年に6人を記録して以来史上最多。」
12月19日付米
『ロス・アンゼルス・タイムズ』紙:「選挙人304票の得票でドナルド・トランプ氏が正式に大統領に選出」
「●共和党選出の選挙人でトランプ氏以外に投票した2人はテキサス州(選挙人全38名)の選挙人。
●一方、民主党選出の選挙人中、ワシントン州(選挙人全12名)の4人が造反-3人がパウエル元国務長官に、また1人がアメリカ原住民活動家フェイス・スポッティッド・イーグル女史に投票-そして、ハワイ州(全4名)の1人がバーニー・サンダース氏に投票。
●全50州・ワシントン特別区の内、29州の選挙人は、一般有権者投票で予め選出された候補者に投票することが同州法で義務付けられており、ワシントン州では造反選挙人に1千ドル(約11万8千円)の罰金刑。
●なお、一般有権者の投票では、クリントン候補がトランプ候補より約290万票(全体の約0.2%)多く獲得。
●なおまた、選挙人投票の最終結果は1月6日の連邦議会両院合同会議で正式認証。」
12月20日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「トランプ氏、選挙人投票で正式に勝利」
「●トランプ候補は12月19日、支援者のお蔭と感謝のツイート。
●最終得票数は、トランプ氏304票(造反2票)に対して、クリントン氏227票(同5票)。」
同日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「史上初:クリントン民主党の
“造反”選挙人、アメリカ原住民活動家のフェイス・スポッティッド・イーグル氏に投票」
「●アメリカ原住民の環境保護活動家のフェイス・スポッティッド・イーグル氏(65歳)は、ダコタ・アクセス・パイプライン建設プロジェクト(注2後記)の反対運動を展開するグループ代表。
●イーグル氏に投票した民主党選挙人は、同じくアメリカ原住民活動家のロバート・サティアカム氏で、元々クリントン氏ではなくバーニー・サンダース上院議員を支援。
●ワシントン、ハワイ両州以外にも民主党選挙人でクリントン氏に投票しないと表明していた人が数人いたが、当該州法によって交代させられたため、結局民主党の造反選挙人は合計5人。」
同日付中国
『上海日報』(
『新華社通信』配信):「抗議行動にもめげず、トランプ氏が正式
に次期大統領に選出」
「●12月19日実施の選挙人による投票は、半ば形骸化されているが、共和党選挙人は投票日以前から、トランプ氏以外に投票するよう求める反トランプ派による抗議行動に遭遇。
●何故なら、米情報当局幹部の多くが、米中央情報局(CIA)がリリースした、(トランプ氏を支持する)ロシアが関わるサイバー攻撃によって米大統領選が妨害されたとの調査結果を支持。
●よって、一般有権者投票の結果獲得した共和党選挙人306人の内、37人が造反すれば、大統領選出に必要な過半数の270票に届かなくなると反トランプ派が期待。
●しかし、結果はテキサス州の2人が造反投票したのみ。」
(注1)選挙人制度:1787年9月発効の米国憲法制定のときに導入。当時はラジオ・テレビ放送などはなく、新聞はあったが識字率も低く、大統領候補の政策や主張を知る方法がなかった。更に、国土の広大さに対して交通も通信も未発達であり、全土で直接選挙を行うことは物理的に困難。そこで、いずれかの候補者の支持を表明する地元や地域の信頼に値する名士や知識人を前もって複数の選挙人として指名しておき、選挙で候補者への支持を託す選挙人を選び、間接的に託された選挙人が大統領を選ぶという方法を採用したもの。選挙人が行う選挙によって、国家主権を有する州ごとに大統領候補の中から一人だけを選択することとなる。
(注2)ダコタ・アクセス・パイプライン建設プロジェクト:ノース・ダコタ州内油田から、サウス・ダコタ、アイオワ両州を貫けてイリノイ州までの全長約1,900キロメーターの地下埋設パイプライン建設計画で、総工費37億8千万ドル(約4,460億円)。2017年1月完成を目指していたが、ノース、サウス・ダコタとアイオワ州のアメリカ原住民が環境破壊等を理由に反対。8割方完成しているが、今年12月初め、オバマ政権がノース、サウス・ダコタ両州にまたがるオアへ貯水池通過を認めなかったため、別ルートにつき環境調査中。
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