ドナルド・トランプ前大統領(76歳、2017~2021年在任)は既報どおり、自身に対する起訴事態をむしろ逆手にとって、共和党大統領予備選での追い風にしようとしている。そうした中、同前大統領がテレビ報道番組で、あろうことかウラジーミル・プーチン大統領(70歳、2000年就任)や金正恩最高指導者(キム・ジョンウン、39歳、2011年就任)を礼賛するコメントをしたことを受けて、米著名ニュースキャスターが“愚かな男”と酷評し嘲笑している。
4月12日付
『ハフポスト』紙は、ドナルド・トランプ前大統領がテレビ報道番組で、ウラジーミル・プーチン大統領や金正恩最高指導者を礼賛するコメントをしたことを受けて、元共和党員の米著名ニュースキャスターが、同前大統領を“愚か者”呼ばわりして嘲笑したと報じている。
ドナルド・トランプ前大統領は4月11日、『Foxニュース』報道番組に出演して、習近平国家主席(シー・チンピン、69歳、2012年就任)、金正恩最高指導者、及びウラジーミル・プーチン大統領を称して“彼らは全て最高だ”と表明した。
同前大統領は、同メディア報道番組の司会者タッカー・カールソン(53歳)のインタビューに答えたもので、更に、習国家主席は“素晴らしい男”で、金最高指導者及びプーチン大統領は“非常に賢い”とも称賛している。
これを受けて、『MSNBCニュース』の元共和党員のニュースキャスター、ニコール・ウォレス(51歳、注後記)は4月12日、同メディア報道番組で、普段はトランプや『Foxニュース』について極端なコメントをすることは避けていると断った上で、“(今回のトランプのコメントは看過できず)共和党は現在、世界で最も凶悪な権威主義者らを称賛する男を指導者として仰いでいる”と非難した。
更に、“(このようなひどいコメントを垂れ流す)トランプは、愚か者であり、(テレビ報道上)ピー音で消される言葉で表現される馬鹿者だ”とした上で嘲笑している。
(注)ニコール・ウォレス:2005~2006年にジョージ・W.・ブッシュ大統領(2001~2009年)のメディア対応主任、また、2008年大統領選時にはジョン・マケイン候補(1936~2018年)の選対上級アドバイザーを務めた。2014年に『ABCニュース』、『MSNBCニュース』報道番組に関わり、2017年より後者メディアのニュースキャスターに就任。1996年に大学卒業以降、共和党員として長年政治活動に関わってきたが、近年のトランプ主導の共和党政策に嫌気し、2021年に共和党を脱退。
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米中関係は、2月初めの中国偵察気球の撃墜以来、更に緊張度が増している。そうした折り、南シナ海を飛行中の米軍哨戒機に対して、中国戦闘機が異常接近してきて1時間余りも挑発飛行を行ってきた。なお、同哨戒機は、同海域を更に南下したところで、今度は中国軍艦からも脅しの警告を受けている。
2月25日付
『Foxニュース』は、「中国戦闘機、米軍哨戒機に500フィートまで異常接近して中国領空からの退去を要求」と題して、異常接近事態について詳報している。
米海軍機が2月24日、南シナ海上空を飛行中に、中国空軍の地上局からスクランブル発進をかけるとの警告を受信した。
『NBCニュース』報道によると、米海軍P-8哨戒機は、南シナ海の中国領空外を飛行中であったにも拘らず、“これ以上近づくと、それ相応の対応を仕掛ける”と脅す警告であった
という。
警告から間もなく、中国軍戦闘機が異常接近してきて、当該哨戒機の左翼から僅か500フィート(約150メートル)の至近距離を1時間余りも並進したという。
米軍高官によれば、このような異常接近は南シナ海でしばしば起こっているという。
この背景には、中国が南シナ海の広い範囲に点在する多くの無人島を自国の主権内領土だと強硬に主張していることがある。
同機のウィル・トラ-ソン機長は、同乗している『NBCニュース』記者のインタビューに答えて、“(接近してくるに当たって)我々の問いかけに何ら返答してこないことがよくある”とコメントした。
また、嘉手納米軍基地のマーク・ハインズ司令官は、“米海軍に所属して18、19年経つが、最近南シナ海ではこのような事態が異常なくらい多く発生している”とし、中国が同海域に人工島上に滑走路を建設して以来の事態につき言及している。
更に、米国が今月初め、米領空上を飛行していた中国偵察気球を撃墜して以来、米中間の緊張度が高まっている。
そこで、アントニー・ブリンケン国務長官(59歳、2021年就任)が撃墜から約2週間後に王毅中央外事工作委員会弁公室主任(ワン・イー、69歳、外交部門トップ、2023年就任)と面談した際、“(偵察気球の米領空侵入という事態は)二度と引き起こしてはならない”と釘を刺している。
王氏から何ら謝罪の言葉はなかった模様であるが、中国はこれまで、米国側の撃墜事態について、“ヒステリック”で国際法上“道理を欠いた”行為だと公に非難している。
同日付『ニューヨーク・ポスト』紙は、「中国戦闘機、米軍哨戒機に中国領空から退去を要求」として、当該哨戒機が中国軍艦からも警告を受けた旨報じている。
米哨戒機に同乗していた『CNNニュース』記者の報道によると、同機が2月24日、南シナ海の中国領空より30マイルほど離れた空域を飛行中、中国軍戦闘機が突然接近してきて、中国領空から即時退去するよう要求してきたという。
中国軍パイロットは、“米軍機は中国領空の12海里(約22キロメートル)内に入っているので、即刻退去しない場合、それ相応の事態が起きることになる”と脅してきたという。
米哨戒機のパイロットのニッキー・スローター大尉は、中国軍機が空対空ミサイルを搭載していることを見咎めたことから、“こちらは米海軍機P-8Aだが、西方に飛行していくので、左翼を並進しないよう求める”と送信した。
しかし、同大尉によると、中国軍機からは何の応答もなく、それから15分余りも米軍機の左翼から数百フィート近くを並進し続けたという。
これに関し、嘉手納基地のハインズ海軍司令官は『CNNニュース』のインタビューに答えて、“南シナ海におけるいつもの金曜午後の事態だ”と軽視するコメントをした。
しかし、今回の事態はまだ続きがあった。
同哨戒機が更に南下して、フィリピン沖まで飛行していったところ、中国軍のミサイル駆逐艦を見咎めたので、スローター大尉が同機を1千フィート(約300メートル)まで近づけたところ、同艦から警告無線を受信したという。
すなわち、同艦から、“米軍機に告ぐ、こちらは中国海軍艦173であるが、かなり接近してきているので、その意図を明らかにせよ”と言ってきた。
同大尉は、安全な距離を保っていると即答したが、同艦は更に、“米軍機は明らかに当艦を危険に曝している”と反論してきた。
そこで同大尉は、“当機は貴艦から十分安全は距離を保って飛行している”とした上で、“当機はこのまま任務を続ける”と強調したという。
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