上海では2012年初、超高層ビル群における深刻な地盤沈下が発生していると大きく報道された。爾来、地下水の汲み上げ制限等で対応してきているが、以降も超高層ビル建築が後を絶たず、同ビル群の自重による地盤沈下が問題を深刻化させていた。そうした中、この程米学術誌に掲載された研究論文によると、中国主要都市の約半分(約1億3千万人居住)が深刻な地盤沈下に遭っているという。
4月19日付
『ロイター通信』等は、米学術誌がこの程、中国主要都市の半分近くが深刻な地盤沈下に遭っているとの研究論文を掲載していると報じた。
米学術誌『サイエンス』(1880年創刊の週刊誌)は4月19日、中国の主要都市の約45%で、年間3ミリ以上の地盤沈下問題が発生しているとの研究論文を掲載した。
更に、そのうち16%が、年間10ミリ以上沈下するという深刻な状況になっているという。...
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4月19日付
『ロイター通信』等は、米学術誌がこの程、中国主要都市の半分近くが深刻な地盤沈下に遭っているとの研究論文を掲載していると報じた。
米学術誌『サイエンス』(1880年創刊の週刊誌)は4月19日、中国の主要都市の約45%で、年間3ミリ以上の地盤沈下問題が発生しているとの研究論文を掲載した。
更に、そのうち16%が、年間10ミリ以上沈下するという深刻な状況になっているという。
同論文を投稿したのは、サウスチャイナ・ノーマル・ユニバーシティ(華南師範大学、1933年設立の広東省立大)敖祖瑞教授(アオ・チュールイ)の率いる研究チームで、人口200万人以上の都市計82市の2015~2022年の間の地盤沈下状況を調査した結果だとする。
敖教授は、“中国では既に9億人余りが大都市圏に居住しており、それに比べると地盤沈下が引き起こされている都市はまだ少ないと言われるが、同様の問題は他の都市にも波及していくことは避けられない”とコメントしている。
何故なら、主たる原因は、地下水の汲み上げや、高層ビル群の建設に伴う自重による地盤沈下であるからだとする。
更に同研究チームは、中国最大都市の上海では過去100年で3メートル以上地盤沈下している一方、首都北京も地下鉄や高速道路近辺では年間45ミリも沈んでいることが判明したという。
中国政府はこれまで、洪水等の自然災害によって年間75億人民元(10億400万ドル、約1,600億円)の損失を出している。
しかし、このまま進むと、来世紀には沿岸都市部の4分の1近くが海水面より下になるため、台風・大雨等による洪水被害が益々増大し、数億人が被災することになるという。
また、同研究チームの一員である英イースト・アングリア大(1963年設立の国立大学)気候変動問題専門のロバート・ニコルズ教授は、“地盤沈下は、建物や重要インフラを危険にさらし、特に海面上昇を強める沿岸都市では、地球温暖化に伴う洪水の影響を更に深刻かつ頻繁に受けることになる”と表明した。
同教授は更に、“中国の都市で起こっていると同様の問題は、他国の沿岸都市でも十分発生しうる”と警鐘をならした。
実際問題、今年2月にリリースされた別の研究論文によると、世界全体で合計630万平方キロメートル(240万平方マイル)の土地が危険に曝されていて、最も深刻な国はインドネシアで、首都ジャカルタのほとんどの土地が海水面以下になっているという。
なお、ニコルズ教授は、約5メートル(16フィート)という深刻な地盤沈下問題に遭って、1970年代以降に地下水の揚水禁止措置を行った東京都の例を参考にすべきだと言及している。
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