中国国営メディア、コロナ起源論争を補強するために偽のスイス人科学者を捏造したと指摘される(2021/08/12)
北京のスイス大使館は、中国の国営メディアが新型コロナウイルスの起源に関する論争で中国政府の見解を後押しするために、スイスの偽の科学者を捏造したと発表した。
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『テレグラフ』によると、中国国営メディアはここ数日、ウィルソン・エドワーズというスイスの生物学者とされる人物が、新型コロナウイルスの起源に関する世界保健機関(WHO)の調査を米国が政治的に利用していると批判しているとして広く報道してきた。
しかし、スイス大使館は、そのような名前のスイス市民は存在せず、その名前の学者による生物学の分野での学術論文も存在しないという声明を出した。さらに、エドワーズという生物学者のフェイスブックアカウントは7月24日に開設されており、投稿は1件、友達は3人だけだと指摘した。...
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『テレグラフ』によると、中国国営メディアはここ数日、ウィルソン・エドワーズというスイスの生物学者とされる人物が、新型コロナウイルスの起源に関する世界保健機関(WHO)の調査を米国が政治的に利用していると批判しているとして広く報道してきた。
しかし、スイス大使館は、そのような名前のスイス市民は存在せず、その名前の学者による生物学の分野での学術論文も存在しないという声明を出した。さらに、エドワーズという生物学者のフェイスブックアカウントは7月24日に開設されており、投稿は1件、友達は3人だけだと指摘した。大使館は、「このアカウントは、SNS目的で開設されたものではないと思われる」と述べた。
チャイナ・デイリー紙は、「生物学者として、私はこの数ヶ月間、新型コロナウイルスの起源に関する調査が如何に政治利用されているか、困惑している」というエドワーズ氏とされる人物の言葉を伝えている。上海日報のデジタルプラットフォーム「Shine」に掲載された別の記事では、「米国は起源調査で中国を攻撃することに執着しており、データや調査結果に目を開こうとしない」というコメントをエドワーズ氏の発言として報じた。
スイス大使館は、この科学者の引用を「フェイクニュース」であると指摘し、中国国営メディアに対し、同氏を取り上げた記事やソーシャルメディアの投稿を訂正または削除するよう求めた。大使館の声明がツイッターに投稿されてから数時間後、中国の国営メディアはエドワーズ氏に関する引用を削除した。
米『CNN』によると、中国では、デルタ株の感染が拡大する中、新型コロナウイルスの起源を米軍とする報道が再び拡散されているという。
米軍の研究所からウイルスが流出したのではないかという説は、昨年の3月以降、中国政府や国営メディアによって繰り返し報じられてきた。しかし、ここ1週間、中国はこの説をさらに強め、外交官と国営メディアを動員して、メリーランド州フォート・デトリックにある米陸軍感染症医学研究所に対する世界保健機関(WHO)の調査を要求し始めた。中国は、先月WHOの提案した新型コロナウイルスの起源に関する第2段階目の調査を拒否したばかりであった。この調査は、パンデミックの元々の震源地である武漢の研究所や市場の監査が行われることを要求していた。しかしこれが中国政府の怒りを買い、中国の保健省トップはWHOを「常識を無視し、科学を無視している」と非難した。
WHOは3月に中国で実施した起源調査の報告書を発表し、研究所からの流出説は「極めてあり得ない」と結論づけた。しかし、欧米諸国や科学者の間では、この報告書の徹底性を疑問視する声が高まっており、中国が 「オリジナルデータやサンプルへのアクセスを拒否している 」と非難している。
中国政府は、新型コロナウイルスが武漢研究室から流出したという説を断固否定しており、米国が新型コロナウイルスの起源を政治的に利用しようとしていると主張している。その一方で、他国での起源説を積極的に宣伝している。
先月、国営の「環球時報」は、フォート・デトリック研究所の調査を求めるWHO宛ての公開書簡に署名するよう呼びかけるキャンペーンを開始した。この手紙は、オンラインでワンクリックするだけで「署名」できるものであり、2500万の「署名」が集まった。中国外務省はWHOに対し、フォート・デトリック研究所と、米国の新型コロナウイルス専門家の第一人者であるラルフ・バリック氏が率いるノースカロライナ大学の研究所の両方を調査するよう求めた。中国外務省は、2019年10月に武漢で開催された世界軍事大会に参加した米軍選手が、新型コロナウイルスを中国に持ち込んだ可能性も示唆した。
中国の国営放送であるCCTVも今週、「フォート・デトリックの暗い内幕」と題した30分間の番組を放送した。中国版ツイッターであるウェイボーでは、この番組に関連したハッシュタグがトレンドトピックスのトップとなり、4億2000万回も閲覧された。
中国は、昨年頭の最初の感染拡大を収束させた後、感染者が確認される度に、海外からの航空便や冷凍食品などを介して新型コロナウイルスが輸入されたとする様々な説を繰り返し報道してきた。なお今回の感染拡大の原因は、ロシアからの航空便が原因だと報じている。
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対立が深まる中、米中両軍がアジア太平洋軍事衛生国際協議会を共同主催【米・中国メディア】(2018/07/28)
7月22日付
Globali「米CIA高官;中国は“密かに”対米冷戦を仕掛けてきていると警告」で触れたとおり、米国内では、国家安全保障担当や中央情報局(CIA)の高官らが異口同音に、中国が新しい形の冷戦を米国に仕掛けてきていると警鐘を鳴らしている。しかし、中国側としては、米国からの輸入品に報復関税を賦課する決定をしたりしているが、内実は米国との対立をこれ以上大きくしたくないとみられる。直近でも、7月26日に在北京米国大使館前で発生した爆発事件について、即座に単独犯による犯行だと発表し、政治問題化しないよう火消しに努めている。そして、軍側も同様で、9月に中国で開催される予定の「アジア太平洋軍事衛生国際協議会」について、米中両軍が共催する旨発表している。
7月26日付米
『ロイター通信』:「対立が深まる中、米中両軍が軍事衛生国際会議を共催」
中国国防部(省に相当)の任国強(レン・コーチアン)報道官は7月26日の定例記者会見で、米中両軍が9月17~21日、中国中央部の西安(シーアン)で開催される「アジア太平洋軍事衛生国際協議会」を共催する旨公表した。
同報道官によれば、同国際会議には、28ヵ国から軍関係者含めて600人余りが参加する。...
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7月26日付米
『ロイター通信』:「対立が深まる中、米中両軍が軍事衛生国際会議を共催」
中国国防部(省に相当)の任国強(レン・コーチアン)報道官は7月26日の定例記者会見で、米中両軍が9月17~21日、中国中央部の西安(シーアン)で開催される「アジア太平洋軍事衛生国際協議会」を共催する旨公表した。
同報道官によれば、同国際会議には、28ヵ国から軍関係者含めて600人余りが参加する。国連、赤十字、また、東南アジア諸国連合(ASEAN)からも代表が出席するとし、中国側からは、医療目的の飛行機や車両等、様々な装備品を陳列するという。
米中両軍は昨年11月、米オレゴン州で共同災害救助訓練を実施している。
しかし、最近の両国関係は緊張が高まっている。
貿易不均衡問題に端を発した関税賦課合戦しかり、一つの中国原則を蔑ろにしかねない米国による台湾向け武器装備品支援、更には、南シナ海領有権問題における軍事対立等である。
特に、中国が南シナ海の人工島に、更に一方的に軍事拠点化を促進していることを非難して、米国側は今年5月、2年に一度ハワイ沖で実施している世界最大級の「環太平洋合同演習(RIMPAC)」に中国軍を招待しないことを決定している。
この決定に対して、中国側は、米中両国の信頼・協力関係を毀損するものだと強く反発した。
ただ、中国側としては、米中関係の緊張緩和を希望しているともみられる。
冒頭の、軍事衛生国際協議会の共催もさることながら、先月に訪中したジム・マティス米国防長官との協議は実のあるものだったとした上、今年中に魏鳳和(ウェイ・フォンホー)国防部長(国防相に相当)を米国に派遣する旨発表している。
一方、7月27日付中国『上海日報』(『新華社通信』配信):「中国、対中戦費を含む米国国防費に反発」
中国外交部(省に相当)の耿爽(コン・シュァン)報道官は7月25日の定例会見で、この程米議会が発表した「2019年米国防費授権法」に対して、大いなる不快感と反対の意思を表明した。
同国防費承認案によると、中国の政策に真っ向から挑む費用-例えば、一つの中国原則を無視して台湾に対する国防支援や、南シナ海における中国の“威圧的な活動”に対抗する手段に関わる費用を計上している。
ただ、一方で、国防部の任報道官は7月26日、9月17~21日に西安で開催される「2018年アジア太平洋軍事衛生国際協議会」について、米中両国が初めて共催する旨発表している。
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