米・英・ロシア・韓国・中国メディア;北朝鮮の再度のミサイル発射で米朝間は一触即発
北朝鮮は4月15日、故金日成(キム・イルソン)主席の生誕105周年を祝賀する軍事パレードにおいて、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM、射程距離6,400キロメーター超)とみられるものを含めて各種ミサイル兵器を公開した。時を同じくして、4月16日からマイク・ペンス米副大統領が韓国・日本他を歴訪して、北朝鮮問題を協議するだけでなく、米軍の原子力空母“カール・ビンソン”も朝鮮半島沖に接近中である。そこで北朝鮮は、米国との対決姿勢を更に鮮明にするためか、またしても4月16日早朝に弾道ミサイルを発射した。ドナルド・トランプ大統領の、対北朝鮮強硬政策発言が熱を帯びてきている中、今回のミサイル発射は失敗した模様であるが、米朝間の武力衝突が避けられない状況になりつつある。
4月16日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「北朝鮮、ミサイル発射でトランプ政権に対抗」
北朝鮮は4月16日早朝、ドナルド・トランプ政権の強硬姿勢に対抗するように再度ミサイル発射に踏み切ったが、発射直後に爆発し、挑発行為は失敗したとみられる。
米韓両軍によると、ペンス副大統領の韓国到着の数時間前に、北朝鮮東岸部の新浦(シンポ)付近から発射された弾道ミサイルは、ICBMではなく中距離弾道ミサイル(射程1,000~3,000キロメーター)とみられる。...
全部読む
4月16日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「北朝鮮、ミサイル発射でトランプ政権に対抗」
北朝鮮は4月16日早朝、ドナルド・トランプ政権の強硬姿勢に対抗するように再度ミサイル発射に踏み切ったが、発射直後に爆発し、挑発行為は失敗したとみられる。
米韓両軍によると、ペンス副大統領の韓国到着の数時間前に、北朝鮮東岸部の新浦(シンポ)付近から発射された弾道ミサイルは、ICBMではなく中距離弾道ミサイル(射程1,000~3,000キロメーター)とみられる。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長は前日の4月15日、故金日成主席生誕祭の軍事パレードを観閲したが、米国との対決姿勢を益々鮮明にしている。
ジェームズ・マティス国防長官は、ミサイル発射についてトランプ大統領も承知しているが、特に追加のコメントはなかったとしている。
なお、米朝間に軍事衝突が起こり、北朝鮮が実際にミサイル攻撃を仕掛けてきた場合、米同盟国の日韓にも被害が及ぶ恐れが高い。
同日付英
『ミラー』紙:「元英国外相、北朝鮮のミサイル発射は米国のサイバー攻撃で“妨害されたはず”と発言」
英国で2010~2015年の間、安全保障委員会の委員長を務めたマルコム・リフキン元外相は、4月16日朝に北朝鮮が発射した弾道ミサイルは、米国のサイバー攻撃で妨害されたとみられると発言した。
リフキン氏は、真偽の程は不詳としながらも、米軍のサイバー技術は卓越したものなので、北朝鮮のミサイルを制御不能にすることは可能と思うとコメントした。
ボリス・ジョンソン外相は、北朝鮮による国連制裁決議違反の挑発行為を深刻に受け止めているが、引き続き同盟国と協調して監視していく意向である、とのみコメントした。
一方、英国メディアは、米軍が北朝鮮の核施設やミサイル発射場に向けて、先制攻撃を仕掛けることも考えられるとの関係筋の情報を流している。
同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「米国の対北朝鮮強硬姿勢は“中国向けの警告”も意味」
先週初め、トランプ大統領が北朝鮮問題について深刻と捉えていると発言し、原子力空母“カール・ビンソン”率いる空母打撃群を朝鮮半島に派遣している。
これらの強硬姿勢に対抗して北朝鮮人民軍高官は、もし米軍の侵犯が認められれば、在日及び在韓米軍基地はもとより、韓国の青瓦台(大統領官邸)を攻撃して破壊するとコメントした。
なお、軍事専門家は、今のところ米朝全面戦争に突入することはないとみられるものの、北朝鮮が次の核実験を実施次第、米軍が北朝鮮の核施設を攻撃する可能性があると分析している。
同日付韓国
『聯合(ヨナプ)ニュース』:「北朝鮮のミサイル発射は失敗」
韓国の統合参謀本部高官は4月16日、同日早朝に北朝鮮が発射した弾道ミサイルとみられる飛翔体は、発射後数秒してから爆発したと発表した。
韓国政府関係者は、今回発射したミサイルは、4月5日発射の中距離弾道ミサイル(60キロメーター程飛翔)と同型とみられるというが、専門家は、固形燃料の使用が失敗に終わったか、あるいはICBM開発実験途上の話とも考えられると分析している。
同日付中国
『環球時報』:「北朝鮮のミサイル発射は挑発行為で、不合理な外交政策だと専門家はみる」
軍事専門家によると、4月15日の軍事パレードで、北朝鮮は様々なミサイル兵器を披露したが、必ずしも実戦使用できるとは限らず、4月16日早朝発射の弾道ミサイルが失敗に終わったように、依然北朝鮮のミサイル技術は遅れているとみられるという。
また、米軍のミサイル迎撃システムは卓越しており、北朝鮮のミサイルはいつでも撃ち落とされるとみているが、まだ米朝間で戦争が始まった訳ではないので、今回のミサイル発射失敗は、米軍による妨害行為とまでは考えられないと分析している。
なお、韓国政府は4月16日午前、国家安全保障会議常任委員会を開き、対応を協議している。
閉じる
米・英・ロシア・韓国・中国メディア;米国務長官、東アジアを初歴訪
米石油メジャー最大手のエクソンモービル前会長のレックス・ティラーソン氏が3月15日から、2月1日に米国務長官に就任して以来初めて日本を含む東アジアを歴訪する。同氏は就任前から、ロシア寄りだとの批判が高かったが、就任後にはロシアに対しても毅然とした対応(例えば、シリアの反政府勢力をテロリストと扱う限り、ロシアとは軍事協力しないと表明)をしており、むしろ、ドナルド・トランプ大統領の行き過ぎた中国批判を諌めるべく、「一つの中国」原則の尊重や、春節時の習近平(シー・チンピン)主席への祝電送信等を進言している。そこで今回の日韓中3ヵ国歴訪で、今後の米国の対アジア政策の行方がみえてくると期待される。
3月14日付米
『CNNニュース』:「レックス・ティラーソン国務長官の初のアジア訪問は北朝鮮問題が中心か」
「●レックス・ティラーソン氏が国務長官に就任した際、ドナルド・トランプ大統領は、外交政策への彼の洞察力に期待すると発言。
●そのティラーソン長官が3月15日から、日韓中3ヵ国を初訪問。
●特に、北朝鮮問題で緊張が増々高まり、中国が猛反発している終末高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)韓国配備の準備が進む中、トランプ政権初の閣僚の中国訪問に注目。...
全部読む
3月14日付米
『CNNニュース』:「レックス・ティラーソン国務長官の初のアジア訪問は北朝鮮問題が中心か」
「●レックス・ティラーソン氏が国務長官に就任した際、ドナルド・トランプ大統領は、外交政策への彼の洞察力に期待すると発言。
●そのティラーソン長官が3月15日から、日韓中3ヵ国を初訪問。
●特に、北朝鮮問題で緊張が増々高まり、中国が猛反発している終末高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)韓国配備の準備が進む中、トランプ政権初の閣僚の中国訪問に注目。
●一方、米同盟国である日韓が、従軍慰安婦問題でぎくしゃくしていることもあり、それぞれとどう対応するかも関心の的。
●なお、同長官の中国訪問は、習近平主席とトランプ大統領の米中首脳会談のお膳立ても課題の一つ。」
3月15日付英
『ニューズウィーク欧州』誌(
『ロイター通信』配信):「ティラーソン長官、中国初訪問で対北朝鮮圧力強化を迫る」
「●ティラーソン長官は3月18、19日に初めて中国を訪問し、習主席、楊潔篪(ヤン・チエチー)外交担当国務委員、王毅(ワン・イー)外交部長と面談予定。
●米国は目下、北朝鮮のミサイルの脅威に対抗するためとして、THAADを韓国に配備すべく作業を進めているが、中国はこれに猛反対。
●一方で、北朝鮮の核・ミサイル技術は格段に進歩しており、この脅威に対抗するため、中国の更なる対北朝鮮圧力は必須にて、THAADについて米国の妥協はありうるのかという点でも、米中会談は注目。
●なお、3月13日の米メディア報道どおり、目下習主席が訪米して、4月6、7日米中首脳会談の予定が取沙汰されており、この点の事前協議も同長官の訪中の目的。」
同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「ティラーソン米国務長官が初のアジア訪問に出発」
「●ティラーソン国務長官は3月14日、日本(3月15日)、韓国(3月17日)、中国(3月18日)それぞれの首脳と会談するため出発。
●米国務省のスーザン・ソーントン副長官代行は3月13日、同長官の3ヵ国訪問の主目的は、北朝鮮の核の脅威にどう対応するかについて各国首脳と協議することだと発表。
●同副長官代行はまた、アジア太平洋地域の経済及び安全保障についての米国の役割についても再確認する意向とも表明。
●なお、同省のマーク・トナー報道官代行は3月14日、今回のアジア訪問はティラーソン長官の判断で、経費節減のため小型専用機を使用することとなったため、米メディアの随行は制限されると発表。」
同日付韓国
『聯合(ヨナプ)ニュース』:「ティラーソン長官、北朝鮮及びTHAAD問題で緊張高まる中、初のアジア訪問に出発」
「●米国務省のソーントン副長官代行は、ティラーソン長官のアジア訪問は、北朝鮮による核・ミサイルの脅威が高まる中、米同盟国の日韓両国を支援することを確認するためと発表。
●また同代行は、米国は国連安全保障理事会制裁決議を何度も無視する北朝鮮に、然るべき責任を取らせることが重要と考え、そのための方策について関係国と協議することも目的だとも付言。
●同長官は3月17日に訪韓し、尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長、黄教安(ホァ・キョアン)大統領代行と会談予定。
●なお、米軍が進めるTHAAD配備について、受諾した朴槿恵(パク・クネ)大統領が失職したこともあり、これに反対する中国から韓国への様々な嫌がらせもあって、5月初めの大統領選挙の結果で話が覆る可能性もあり。」
一方、同日付中国
『チャイナ・デイリィ』:「米中、両国首脳会談に向けて緊密に連携」
「●中国外交部の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は3月14日、米中両国が様々な面で協力体制を取っていくべく、両首脳から事務方まで、いろいろなレベルでの対話・連携を図っていく考えだと発表。
●王毅外交部長も先週、米中両首脳がこれまで協議したとおり、一切武力衝突することなく、お互いに尊重し合い、相互利益を図っていくことで、両国間の緊密な関係が構築されていくので、そのためにお互いが努力することが肝要と発言。
●一方、米大統領府のショーン・スパイサー報道官は3月13日、目下米中首脳会談の設定に向けて両国間で協議中だと表明。
●ただ、具体的日程は未定とも付言。
●また、米国務省のソーントン副長官代行は3月13日、ティラーソン長官の訪中で、米中両国首脳会談設定のための“地ならし”を行うとし、また、両国間の協力体制構築に向けて、様々な協議がなされる予定だと発表。」
閉じる
その他の最新記事