北朝鮮、中国による国境封鎖の脅しにめげずに再び弾道ミサイル発射(米・英・フランス・韓国メディア)
トランプ政権が、北朝鮮問題解決のために、対中国批判から親中路線に方針を転換したことから、習指導部としても、北朝鮮にこれ以上勝手な真似をさせてはならじと、次に核実験を行った場合、国境を封鎖して兵糧攻めを行うと、北朝鮮宛に厳しく通告した。しかし、弾道ミサイル発射はこの対象ではないと勝手に解釈したのか、北朝鮮がまたも新たなミサイル発射(移動発射台からの発射とみられる)を実施した。なお、中国主導の“一帯一路”サミット開催日初日に合せたのかのような北朝鮮の暴挙に対して、中国の猛反発が予想される。
5月14日付米
『AP通信』:「北朝鮮、韓国の新大統領を試すべくミサイル発射」
日米韓軍部関係者は5月14日、北朝鮮が同日早朝に再度ミサイル発射実験を行ったと発表した。日本政府高官によると、同ミサイルは30分程飛翔し、距離は約800キロメーター(500マイル)、高度は2,000キロメーター(1,240マイル)に到達した後、日本海に落下したという。軍事専門家の分析では、4月15日の北朝鮮軍事パレードで披露の、移動式発射台から発射された二段式液体燃料補給の新型ミサイルの可能性があるとした。...
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5月14日付米
『AP通信』:「北朝鮮、韓国の新大統領を試すべくミサイル発射」
日米韓軍部関係者は5月14日、北朝鮮が同日早朝に再度ミサイル発射実験を行ったと発表した。日本政府高官によると、同ミサイルは30分程飛翔し、距離は約800キロメーター(500マイル)、高度は2,000キロメーター(1,240マイル)に到達した後、日本海に落下したという。軍事専門家の分析では、4月15日の北朝鮮軍事パレードで披露の、移動式発射台から発射された二段式液体燃料補給の新型ミサイルの可能性があるとした。
北朝鮮側の意図としては、今回就任した韓国の文在寅(ムン・ジェイン)新大統領が、どういう出方をするのか試すことと、また、太平洋で展開される日米英仏の共同軍事訓練への対抗姿勢を示したものとみられる。しかし、従来の政権と異なり、北朝鮮への柔軟な対応を取ると言われた文新大統領であるが、今回の暴挙に対しては、国連安全保障理事会による制裁決議の違反行為であり断じて許されないとして、厳しく非難した。
なお、稲田朋美防衛相は、今回の発射は、高度2,000キロメーターにも達する“新型ミサイル”とみられると発表したことから、
『共同通信』は、“ロフテッド軌道(通常より高い角度で、より高高度まで打ち上げる方法)”で打ち上げられたミサイルとみられ、実際には飛翔距離が4,000キロメーター(2,500マイル)にも達するものと思われると報道している。
同日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「北朝鮮が再度のミサイル発射で朝鮮半島の緊張が更に昂揚」
韓国統合参謀本部は5月14日、北朝鮮が同日朝に北西部の亀城(クソン)付近から弾道ミサイル1発を発射したと発表した。北朝鮮は、4月に発射したミサイルは2度とも失敗したにも拘らず、性懲りもなく再び発射したことになるが、今回の発射は成功だったとみられるという。
今回のミサイル発射の前日、北朝鮮は国連に対して、これ以上制裁を科すことは止めるよう警告を発していた。
同日付フランス
『フランス24』オンラインニュース(
『AFP通信』配信):「北朝鮮が弾道ミサイル発射」
北朝鮮が再度のミサイル発射を行った平壌(ピョンヤン)北西の亀城では、今年2月の中距離弾道ミサイルの発射を成功させていた。米太平洋軍は、発射されたミサイルの種類を特定すべく分析中であるが、大陸間弾道ミサイルではないと思われると発表した。
なお、北朝鮮外交部の崔善姫(チェ・ソンヒ)北米局長が5月13日、条件が整えばトランプ政権代表と対話する選択肢はあると語っていた。
同日付韓国
『聯合(ヨナプ)ニュース』:「文新大統領、北朝鮮のミサイル発射を非難、また対話のための挑発行為は即刻止めるよう勧告」
文新大統領は5月14日、朝鮮半島の緊張を高め、また、国連安保理制裁決議の違反でもあるとして、北朝鮮の再度のミサイル発射実験を非難した。そして同大統領は、北朝鮮がこのような挑発行為を繰り返す限り、対話の再開はできないともコメントした。
更に、同大統領は、北朝鮮の軍事的脅威に対して、米軍と協力して然るべく対応するよう韓国軍に命令するとともに、韓国独自のミサイル防衛システムの開発・設置を急ぐようにも指示した。
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パキスタン・韓国・中国メディア;アジア開発銀行年次総会開会も欧米メディアは無関心(?)
日本が主導するアジア開発銀行(ADB)の50周年となる年次総会が横浜で開催された。中国主導のアジア・インフラ投資銀行(AIIB)との連携等、アジア太平洋圏では今後のADBの活動方針に興味が寄せられているが、欧米メディアは関心がないようで、目下のところ目立った報道はない。
5月5日付パキスタン
『ザ・ニュース・インターナショナル』:「日本主導のADB、インフラ建設計画増強のためAIIBと協調」
日本主導のADBの中尾武彦総裁は5月4日、中国が推進する“一帯一路”政策に則ってアジア地域の大インフラ・プロジェクト具現化を目指すため、ADBはAIIBと協調していく方針であると表明した。
5月4~7日に横浜で開催される、第50回ADB年次総会の初日に語ったもので、同総裁は、AIIBは競争相手などではなく、アジア地域のインフラ開発に必要不可欠な膨大な資金を融資できるよう、協働していくことが重要であると付言した。...
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5月5日付パキスタン
『ザ・ニュース・インターナショナル』:「日本主導のADB、インフラ建設計画増強のためAIIBと協調」
日本主導のADBの中尾武彦総裁は5月4日、中国が推進する“一帯一路”政策に則ってアジア地域の大インフラ・プロジェクト具現化を目指すため、ADBはAIIBと協調していく方針であると表明した。
5月4~7日に横浜で開催される、第50回ADB年次総会の初日に語ったもので、同総裁は、AIIBは競争相手などではなく、アジア地域のインフラ開発に必要不可欠な膨大な資金を融資できるよう、協働していくことが重要であると付言した。
なお、1966年に創設されたADBは日米が主導してきていて、中国も1986年に加盟、そして2016年には合計融資額が317億ドル(約3兆5,500億円)にも上り、前年比+18%も伸びている。一方、中国主導のAIIBには日米は加盟していない。
同日付中国
『チャイナ・デイリィ』:「アジア開発銀行2行の目指すところは同じ」
中国主導のAIIBと日米主導のADBの棲み分けについて憂慮されているが、ADBの中尾総裁は、ここ2年間でAIIBの金立群(ジン・リーチュン)総裁と9度も議論を重ねたことに言及した上で、両行は相互協力していけるし、それが必要だと語った。
金融アナリストも、インフラ開発支援におけるADBの長い歴史、一方、設立間もないAIIBには欧州・南米・アフリカ諸国というアジア外の加盟国がいるというそれぞれの長所を以て、相互に補完し合えるものと評価している。
中尾総裁はまた、中国は1986年にADBに参加して以来、重要な加盟国となっているともコメントした。なお、中国は1986~2015年の間に、ADBから合計340億ドル(約3兆8,100億円)の融資を受けている。
一方、同日付韓国
『聯合(ヨナプ)ニュース』:「日中韓3ヵ国、保護主義に対抗していくと宣言」
日中韓3ヵ国の財務省及び中央銀行代表は5月5日、米国のドナルド・トランプ大統領等が唱える保護主義政策について、相互に協力してこれに対抗していくことで合意した。5月4日から横浜で開催されているADB年次総会の機会を捉えて、3ヵ国代表が会合を持ったもので、自由貿易が経済成長・開発にとって最も重要な事項の一つであるとする考えで一致した、と共同声明で触れている。
今年3月に開かれた主要20ヵ国財務相・中央銀行総裁会議においては、出席した米国代表の手前、保護主義に対抗するとの直接的表現の使用を避けていた。
なお、日韓からは財務相及び中央銀行総裁が出席したが、中国からは財政部副部長(副大臣に相当)及び中央銀行幹部のみの出席であった。肖捷(シャオ・ジエ)財政部長(大臣に相当)が欠席した理由は明らかにされていないが、目下中国と他2国とは不和となっている-すなわち、韓国は中国の意に反して米国製最新ミサイル迎撃システム配備を決定しているし、また、日本とは歴史の解釈及び安全保障問題を抱えている。
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