米・英・韓国・中国メディア;北朝鮮、米国のみならず同盟支援国の中国にまで噛みつくほど迷走
5月4日付【
風の流れ:中国の圧力が効き始めているのか】で述べられているとおり、北朝鮮は国営メディアを通じて、初めて同盟支援国中国を名指しで非難した。米国の武力による威圧、そして中国による石炭・重油等重要物資の供給制限に音を上げたためか、自暴自棄に陥ったとしか思われない。海外メディアも今後の行方に注目している。
5月4日付米
『CNBCニュース』:「中国が北朝鮮から“裏切り者”と、これまでにない叱責を受ける」
北朝鮮国営メディアの
『朝鮮中央通信』(KCNA)は5月3日、中国の政治家やジャーナリストが問題行動を起こし、あからさまな“裏切り”を行っていると糾弾するという、これまでにない激しい報道をした。
KCNAは、これまで北朝鮮は、多大な犠牲を払っても中国の革命を支援してきたにも拘らず、あろうことか中国は、北朝鮮の仇敵の米国に与して、北朝鮮の国家権益を侵害するという“裏切り行為”に走っていると非難した。...
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5月4日付米
『CNBCニュース』:「中国が北朝鮮から“裏切り者”と、これまでにない叱責を受ける」
北朝鮮国営メディアの
『朝鮮中央通信』(KCNA)は5月3日、中国の政治家やジャーナリストが問題行動を起こし、あからさまな“裏切り”を行っていると糾弾するという、これまでにない激しい報道をした。
KCNAは、これまで北朝鮮は、多大な犠牲を払っても中国の革命を支援してきたにも拘らず、あろうことか中国は、北朝鮮の仇敵の米国に与して、北朝鮮の国家権益を侵害するという“裏切り行為”に走っていると非難した。そして同メディアは、北朝鮮は核開発を止めることは決してないと強調した。
なお、これに先立って、中国国営メディアの
『人民日報』は、北朝鮮が安全保障政策を取ることに文句はないが、核・ミサイル開発を以てそれを達成しようとするのは、国を破滅に導く恐れがあって明らかに間違いであると論評していた。
一方、米国は5月3日早朝、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ空軍基地から、今週2度目となる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を行い、米国の核抑止力を北朝鮮に見せ付けている。
同日付英
『ロイター通信英国版』:「北朝鮮メディア、核開発への中傷を理由に中国を異例な非難」
KCNAは論評で、中国はこれまでの中朝関係を踏みにじる結果を招く自身の行動について、深く憂慮すべきであると酷評した。そして同メディアは、中朝間の“関係悪化”並びに米国による兵器の朝鮮半島配備は、北朝鮮側がもたらしたと責任転嫁する論調を始めたとして、中国メディアを非難した。
更にKCNAは、“愚かな中国の政治家やジャーナリスト”が、北朝鮮が核・ミサイル開発を断念せねば更なる制裁を科すと脅しているが、それらは“大国の身勝手な押付け”でしかないと断罪した上で、国益を守るために北朝鮮は、核・ミサイル開発計画を“決して変更しないし後退させることもしない”と主張した。
5月3日付韓国
『聯合(ヨナプ)ニュース』:「KCNA:北朝鮮は中国に支援を求めることは断じてないと論評」
KCNAは、中国メディアが、北朝鮮の核実験によって、国境から100キロメーター以内にある中国北東部3省が危機に陥っているとか、北朝鮮によって東アジアの安全保障が脅かされている等々、勝手な言い掛かりをつけていると非難した。
そしで同メディアは、北朝鮮が中国の支援を乞うために、核・ミサイル開発を放棄するだろうなどと考えるのは愚かなことだと断言した上で、中国こそ、歴史ある中朝関係を壊すことになる点について、深く憂慮すべきであると主張した。
同日付中国
『環球時報』:「中朝友好条約は時代遅れ?」
1961年に締結された“中朝友好協力相互援助条約”は、これまで1981年、2001年と2度自動延長されており、現在は2021年まで有効である。しかし、現在の北朝鮮の核・ミサイル開発に端を発した朝鮮半島の緊張、特に米韓の武力による威圧問題について、中国は同条約に基づいてどう対応すべきか。
外交部の耿爽(ゲン・シュアン)報道官は5月2日、同条約は中朝間の友好と相互援助を謳ったもので、地域の平和と安全保障のために協力しあうことを目的としている、とのみコメントした。
しかし、前回自動延長された2001年当時と比べて、中朝間の関係や考えの隔たり、また、米韓の武力の威圧等、明らかに事態は変わっている。従って、同条約の精神を適用するとするならば、北朝鮮は、結果として中国の安全保障をも脅かしている核・ミサイル開発を即刻止めるべきである。
また、同時に中国は、米韓に対しても、これ以上北朝鮮を挑発するような武力による威圧を中止するよう強く主張する。何故なら、中国は朝鮮半島を含めて、地域の平和と安定を脅かすような、いかなる行為も容認しないからである。
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米・英・フランス・中国メディア;北朝鮮、拘束した韓国系米国人を外交の盾にして米国と交渉か、一方、同盟国中国は軍事的にどう対応するのか(?)
4月23日付Globali「北朝鮮の再度のミサイル発射で米朝間は一触即発(2)」の中で、“北朝鮮が4月22日、北朝鮮に人道支援のために滞在していた韓国系米国人を拘束した模様”と報じた。そして10日余り経った5月3日、北朝鮮はようやく、国家転覆の容疑で拘束したと公表したが、トランプ政権との外交交渉の盾に使うのではないかとみられている。一方、北朝鮮の後ろ盾となっている中国は、1961年締結の「中朝友好協力相互援助条約」に基づき、米軍の侵攻があった場合に、どこまで軍事的支援をすべきか憂慮していると報じられている。
5月3日付米
『AP通信』:「北朝鮮、米国市民の拘束を認める」
国営メディアの
『朝鮮中央通信』は5月3日、北朝鮮当局が4月22日、平壌(ピョンヤン)国際空港で一人の米国人を、国家転覆を画策した容疑で拘束したと報道した。
拘束されたのは韓国系米国人の金サンドク(58歳)氏で、かつて中国の延吉(イエンチー、中国北東端の吉林省)の延辺(イエンビエン)科学技術大で韓国語を教えており、同大と姉妹関係にある平壌科学技術大(PUST)において、会計学の専任講師をしていたという。...
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5月3日付米
『AP通信』:「北朝鮮、米国市民の拘束を認める」
国営メディアの
『朝鮮中央通信』は5月3日、北朝鮮当局が4月22日、平壌(ピョンヤン)国際空港で一人の米国人を、国家転覆を画策した容疑で拘束したと報道した。
拘束されたのは韓国系米国人の金サンドク(58歳)氏で、かつて中国の延吉(イエンチー、中国北東端の吉林省)の延辺(イエンビエン)科学技術大で韓国語を教えており、同大と姉妹関係にある平壌科学技術大(PUST)において、会計学の専任講師をしていたという。
北朝鮮研究専門家によると、これまで北朝鮮は滞在中の米国人を拘束して、米国の高官などを引っ張り出して、交渉を有利に進める手立てとしてきており、今回もその可能性を否定できないとする。
同日付英
『メール・オンライン』(
『AFP通信』配信):「北朝鮮国営メディア、米国人教授を逮捕したと報道」
PUSTがリリースした声明によると、韓国系米国人の金教授の逮捕はPUSTの授業等に関わっていないとしており、また、北朝鮮と国交のない米国に代わって、平壌在スウェーデン大使館が北朝鮮当局とのコンタクト等“能動的に関与している”としている。
韓国の
『聯合(ヨナプ)ニュース』は、金教授が北朝鮮の農村で働かされている子供たちを解放する運動に関わっていたと報道している。
なお、金氏を含めて、北朝鮮に拘束された米国人は3人となり、最初の2人は既に、スパイ活動や“国家反逆罪”の容疑で、それぞれ10年、15年の禁固刑を言い渡されている。
一方、同日付フランス
『AFP通信』:「中国、北朝鮮との軍事協定適用に懐疑的」
1961年に毛沢東(マオ・ツォートン)と金日成(キム・イルソン)両主席の間で“中朝友好協力相互援助条約”が締結されて以来、既に半世紀以上が経過しているだけでなく、両主席の死後かなりの時間が経っていることもあって、同条約は中国にとってほぼ忘れ去られたものとなっている。
特に、中国の意思に反して、北朝鮮が既に何度もミサイル発射を実行し、また6度目の核実験の可能性まで取り沙汰されており、このため中国は米国からの突き上げに遭っていることから、中国として北朝鮮を軍事的に支援することは考えづらいとみられる。
更に、習近平(シー・チンピン)国家主席と金正恩(キム・ジョンウン)委員長は、未だに会談したことさえないという状況である。
なお、同条約には20年毎の自動延長条項が付いており、前回2001年に自動延長され、現行では2021年まで有効である。
また、同日付中国
『環球時報』:「トランプ大統領は北朝鮮に混迷深まるメッセージを送っている」
ドナルド・トランプ大統領は北朝鮮に対して、混迷深まるメッセージを送っている。すなわち、5月1日に、正常な条件が整えば、金委員長と会うことは厭わない、と言ったかと思えば、翌日には、必要に応じて武力行使も辞さないと脅しているからである。
なお、中国外交部の耿爽(ゲン・シュアン)報道官は5月2日、5月1日のトランプ大統領の発言を受けて、米朝間で協議が再開されたことを承知しており、中国としては、朝鮮半島の問題解決には、関係国の対話しかないと考えているとコメントしている。
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