韓国検察は31日、朴槿恵大統領から機密文書を受け取り、国政に介入した疑惑が持たれている朴氏の親友、チェ・スンシル容疑者を証拠隠滅の恐れがあるとし緊急逮捕した。非営利財団の資金横領疑惑や大統領の演説原稿に手を加えた疑いも持たれている。韓国メディアによると、チェ容疑者は海外に住居を持ち(ドイツの住居も資金疑惑がある)で精神的に不安定で病気がちだと報道されている。ソウルでは週末は大規模なデモがあり、責任追及の声の高まりから支持率も底をつき任期1年を残した朴政権の危機は必至となる。
10月31日付
『ロイター通信』は「韓国検察は政治危機で渦中の女を逮捕」との出しで以下のように報道している。
韓国の大統領制度を危機に陥らせるほどの問題の中、朴氏との友情を利用し政治に介入した疑惑がもたれている。チェ・スンシル氏が検察で尋問の後逮捕された。極秘文書を受けとり、非営利財団から資金を受けていたともみられている。
「ヨンハップ」紙によると、チェ氏が証拠隠滅を図る恐れがあるとされ、検察は逮捕状なしに緊急逮捕した。...
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10月31日付
『ロイター通信』は「韓国検察は政治危機で渦中の女を逮捕」との出しで以下のように報道している。
韓国の大統領制度を危機に陥らせるほどの問題の中、朴氏との友情を利用し政治に介入した疑惑がもたれている。チェ・スンシル氏が検察で尋問の後逮捕された。極秘文書を受けとり、非営利財団から資金を受けていたともみられている。
「ヨンハップ」紙によると、チェ氏が証拠隠滅を図る恐れがあるとされ、検察は逮捕状なしに緊急逮捕した。
チェ氏の身柄は火曜朝拘置所のバスでソウル拘置所に送られたが、詳細は明かされていない。同氏の弁護士のコメントは得られなかった。韓国の法律では、逮捕状なしの拘束は48時間が上限でそれ以降は正式な逮捕状が必要となる。
「朝鮮日報」紙によれば、チェ氏は朴大統領就任後、演説原稿を受け取ったと認めてたが、公式文書へのアクセスは否定したという。
先週、朴大統領はチェ氏に演説原稿を渡した事を認め、国民の混乱を招いた事を謝罪した。5年任期の4年目で、レームダック政権の最後のかじ取りに苦戦することとなる。土曜夜、朴大統領の辞任を求め、数千人がソウルでデモを行った。
10月31日付米
『ウォールストリートジャーナル』は「韓国のクリントン風スキャンダル」との出しで以下のように報道している。
大統領の相談役が非営利財団への資金協力の見返りに機密文書へのアクセス権を得て政治に影響力をもっていた証拠が浮上し、検察は政府と財団で汚職捜査に乗り出した。
これはヒラリークリントン政権発足後100日間 の予測ではない。支持率14%に落ちた韓国の朴槿恵大統領についてである。利権政治改革者として2012年就任、1970年代父朴正熙政権時代の再来と期待された。その槿恵氏と40年以上親友で「永遠の命の教会」会長のチェ・スンシル氏は、昨年、韓国文化を海外に広める目的で「ミール・Kスポーツ財団」を設立、数か月で7200万ドルの資金を集めたが、文化省や韓国産業連盟の援助があったと見られている。朴大統領の引退後の活動が目的ともみられており、チェ氏が資金をドイツの自宅購入に充てたかが捜査対象となっている。両氏は容疑を否定。また、チェ氏が朴大統領の演説原稿に注釈をつけ側近に渡したと報道され、その政治関与が疑われている。
韓国は北朝鮮の核やミサイルの脅威で緊張が高まる中、経済改革と競争力維持のため強いリーダーが求められているが、朴大統領の父の時代からの負の遺産への対処が課題となる。
同日付韓国
『コリアタイムズ』は「我々はチェ共和国で暮らしているのか?」との見出しで次のように報道している。
朴大統領の高校の同期だというチェ・スンシル氏は本当に黒幕なのか?「朝鮮日報」紙は違うと報道。陰で糸を引くのはチェ氏の姉、チェ・スンドゥクだという。姉が指示し、スンシルが実行していたと知人は語っているという。
姉は、2006年当時ハンナラ党(サヌリ党の前身)党首だった朴槿恵氏が街頭選挙活動中ナイフで刺された際、朴氏が家に滞在したと自慢していたという。この姉の娘には「ウィンタースポーツエリートセンター」の幹事を務めた際政府から58,4万ドルの賄賂を受け取ったという疑惑があるとされる。姉は先月利益誘導が明るみになって以来、ソウル南部の高級マンションの籠っており、また数年前から病気で外出も稀だったと報道されている。
同日付韓国
『ヨンハップ』は以下のように報道している。
政治介入疑惑で朴氏の親友が尋問の後逮捕された。刑法上、捜査機関は容疑者を死刑や終身刑に匹敵する容疑の証拠がある場合や証拠隠滅の恐れがある場合などに緊急拘束できる。当局者によるとチェ氏は容疑を全面的に否定しており、証拠隠滅の懸念があるとされる。
過去に海外移住しており、韓国国内に住所がない。精神的にも非常に不安定で、釈放されると何をするか分からないという。同氏は検察に到着し、「本当に申し訳ない、大きな罪を犯してしまった。許してください。」とリポーターらに述べた。朴大統領は、チェ氏の家族とは1974年の父と母の暗殺後に親しくなった。
「ギャロップ」の調査によると、スキャンダルで朴政権の支持率は2013年の発足以来最低の10%台まで落ち込み、土曜にはソウルで多くの市民が辞任を求めてデモ行進した。
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サムスン電子は10月11日最新の高級スマートフォンであるギャラクシーノート7の生産打ち切りを発表した。ノート7は発売開始後発火問題を起こしたため同社は電池の不具合として製品の交換で対応してきたが、交換後の製品も問題を起こしたため収拾困難となり最悪の生産打ち切りに追い込まれた。生産打ち切りの損害は100億ドルにも上るという見方もあるが、ノート7以外のサムスン製品についての同様の問題はないのかと消費者に不信感も生まれており、ブランドのイメージダウンは大きい。サムスンがこの苦境をどう乗り切るかが注目される。
10月11日付
『ニューヨークタイムズ』は、「サムスン、ギャラクシーノート7の問題究明が出来ず、生産打ち切り」という見出しで、ノート7が生産打ち切りとなったと報じた。問題発生以来サムスンは何百人もの従業員を投じて原因究明に乗り出し、当初は一部サプライヤーの電池の不具合として、他のサプライヤーの電池で生産を続けて来たが、またしても問題が発生し原因究明が出来なかった。ある匿名の従業員からの情報によるとサムスンは訴訟を恐れて原因究明に当たる従業員間の電子メールを禁止したため、従業員間のコミュニケーションに問題を生じたという。
同社がこの苦境からいつ抜け出せるかは不明であり、既に財務面で大きな打撃を受けている。火曜日韓国の株式市場でサムスン株は8%下落し170億ドルの市場価値が消滅した。アナリストによれば、スマートフォン事業は同社の半導体や液晶部門の製品を使っているため、同社全体では100億ドル以上の損失を被ることになるという。韓国の朝鮮日報の社説は消費者の信頼喪失は金では測れない損害を与えると警告している。会社の評判を専門とするコンサルタントは、決定が遅れたら会社の信用を完全に喪失していたかも知れず、今回の迅速な打ち切り決定は長い目で見ると賢い決定であったと評価する。
ノート7の発売前には徹底した検査を行ったが、その過程では問題は発見されなかった。業界専門家は強敵アップルが新アイフォンを発売したため、ノート7の販売を急ぎ過ぎて技術的な問題か手抜きを生じたのではないかと調査中である。ある従業員は技術の現場を理解していないトップからのトップダウン経営手法という企業文化に問題があると言う。ある技術者は、サムスンはアイフォンに勝る製品を作るため多くの新機軸を詰め込み過ぎて制御不能になったのではないかと疑っていると伝えている。
10月11日付
『ブルームバーグビジネス』は、「ノート7の打ち切りでサムスンブランドに危機」という見出しで、サムスンがノート7生産打ち切りという劇的なステップを踏んだと報じた。サムスンのイメージは知性を市場化し、機知を技術化する会社というもので、コンサルティング会社インターブランドは2016年の調査で世界7位のブランドにランクし、アマゾン、ベンツを上回った。しかし発火問題発覚以来米国、欧州、中国のメディアやネットが厳しい評価で溢れた。特に中国ではイメージ悪化が著しく顧客や政府系メディアが同社の対応を酷評している。「サムスンは中国では終わった」という者もいる。一方韓国では愛国精神から未だサムスン製品を買うという消費者がいる。香港のアナリストは、これはスマートフォンだけの問題に止まらない。全社の製品群がこの背後にある。スマートフォンが売れなくなれば集積回路や液晶画面も売れなくなりスパイラル現象を起こすと語っていると報じている。
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