韓国・朝鮮日報によると、2月にベトナムで行われた米朝首脳会談の調整に当たり、ホワイトハウスを訪問したこともある米国特使やその他側近が、交渉決裂の責任を問われ処刑されたり、強制労働に従事しているとの報道があるという。
5月30日付米国
『FOX』は「米朝首脳会談の決裂により北朝鮮が高官5人処刑:韓国メディア」との見出しで以下のように報道している。
韓国紙によると、北朝鮮がトランプ大統領と金正恩党委員長の2度目の会談が失敗したことにより、5人の高官が処刑された。金革哲( Kim Hyok Chol)米国特使と他4人の北朝鮮外務省高官が、2月にベトナム・ハノイでおこなれた米朝会談後の3月に処刑されていたという。
トランプ氏が大きな期待を寄せて望んだ金委員長との会談では、核兵器関連の合意には至らず会談は早急に終了した。金革哲( Kim Hyok Chol)米国特使は、この責任を取って強制労働に従事していたという。同氏は、昨年金委員長からの書簡を持ってきた際、ホワイトハウス撮られたトランプ大統領との写真にも写っている。北朝鮮の核交渉担当のトップで、米朝が核交渉を始めてから、米国のポぺイオ国務長官に匹敵する人物であった。
5月31日付ロシア『スプートニク』は「米朝会談決裂で北朝鮮の特使が処刑される」との見出しで以下のように報道している。
北朝鮮の金正恩党委員長と政府が、米朝首脳会談後に、米国特使を含む少なくとも5人の外務省高官を粛清したと言われている。韓国紙「朝鮮日報」は、金革哲米国特使が数カ月前に死亡したと報道。匿名筋によると、労働党中央委員会第1副部長の金英哲(キム・ヨンチョル)については、ジャガン州での強制労働が課せられたという。また、ハノイ首脳会談での金正恩氏の通訳(Shin Hye Yong)も、誤訳によって委員長に不利益を与えたとして政治強制労働所送りになったと報じられている。
金正恩と政府は、国内の不満を逸らす目的で粛清を行っており、処罰には、“イデオロギー教育プログラム”履修も含まれているという。
北朝鮮の国営・労働新聞は、「党首を担ぎつつ、裏で別の事を企む者は、反逆者である。反逆行為により、忠誠心は捨て去られ、このような者どもへは改革のための厳しい処置を避けられない。」との声明を掲載。
側近処刑の報道を受け、韓国リスクグループのCEOはツイッターで、今回の報道とは違う内容を情報筋から今週頭に聞いていたと主張。
朝鮮日報は、2013年金正恩の義理の叔父チャン・ソンテク氏が処刑されて以来、北朝鮮国内の報道で“厳しい処置”や“反逆”のような言葉が使用されたのは初めてだとしている。
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かつて、近くて遠い国同士であった日本と韓国は、2015年末の「慰安婦問題日韓合意」を契機に、近くて近い国同士になってきていた。
当時の北朝鮮が、核・ミサイル開発を促進し、日韓両国にとって大変な脅威となっていたことから、相互に助け合うためにも必要不可欠な動きとみられていた。
しかし、2代続いた保守政権を倒して政権を奪還した文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、北朝鮮との融和政策及び対中関係重点方針を掲げたことから、2015年の日韓合意の不履行、徴用工に対する個人損害賠償是認判決支持含めて、これまでの対日政策と異なる対応をしてきている。...
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かつて、近くて遠い国同士であった日本と韓国は、2015年末の「慰安婦問題日韓合意」を契機に、近くて近い国同士になってきていた。
当時の北朝鮮が、核・ミサイル開発を促進し、日韓両国にとって大変な脅威となっていたことから、相互に助け合うためにも必要不可欠な動きとみられていた。
しかし、2代続いた保守政権を倒して政権を奪還した文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、北朝鮮との融和政策及び対中関係重点方針を掲げたことから、2015年の日韓合意の不履行、徴用工に対する個人損害賠償是認判決支持含めて、これまでの対日政策と異なる対応をしてきている。
そうした中で12月下旬、韓国軍艦による海上自衛隊哨戒機に対する火器管制レーダー照射問題が発生した。
これまでのところ、日韓双方は自国の主張が正しいとして徹底抗戦の構えをみせている。
本邦メディアは、日本政府及び防衛省発表内容を伝え、日本側主張が正しいと報道している。
一方、韓国メディアも、公共放送の『KBSニュース』含めて、韓国国防部(省に相当)の公式見解を支持する報道に徹している。
ただ、海外メディアをみてみると、他に大きく報道すべき事案・事件が数多あることからか、レーダー照射問題を取り上げているところは、次のとおり余り多くなく、かつ、どちらの主張が正しいとの論調もない。
1月17日付米『ボイス・オブ・アメリカ』:「日韓外交問題は地域安全保障の関係から長期化はしまいと専門家は分析」
・徴用工への個人賠償判決に基づく日系企業の資産差し押さえ、また、レーダー照射問題から、現下の日韓関係はかなりギクシャクしている。
・しかし、大方の専門家は、東アジア地域の安全保障のため、日韓の相互協力が不可欠なことを理解しているため、この問題が長期化することはないとみる。
・すなわち、日韓双方にとって、朝鮮半島の非核化は大きな共通認識及び達成不可欠なゴールであるからである。
1月19日付香港『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』:「日本、韓国軍のレーダー照射問題で新たな証拠を示す予定」
・韓国国防部の発表が事実に則していないとして、日本政府は、韓国軍によるレーダー照射を裏付ける新たな証拠を公表するとしている。
・最終的には、訪米中の岩屋毅防衛相が、1月20日に帰国してから判断する。
これに関して、1月18日付韓国『朝鮮日報』は、訪米中の岩屋防衛相が1月16日、米国防総省のパトリック・シャナハン長官代行と面談し、レーダー照射問題について日本側説明を一方的に行った、と報じている。
その際、“日本の植民地時代に接収された独島(日本名竹島)”の近海で遭難した北朝鮮漁船を捜索中の韓国沿岸警備艇に“日本のスパイ機”が異常接近した等々、刺激的な表現を使用しており、韓国読者が“またしても日本の悪行の数々のひとつ”と捉えないか懸念される。
一方、民間レベルでみてみると、例えば2018年の訪日外国人観光客数は、全体3,120万人の内、韓国からの訪問客は750万人と、2011年の東日本大震災発生年に166万人へと前年比▼32%減少したときを除き(全体では622万人と前年比▼28%減少)、右肩上がりで大きく上昇してきている。
すなわち、国と国とでは外交問題でギクシャクしていても、若者を含めた一般の韓国人は、日本を好いてくれているため、韓国人の海外旅行者全体約2,600万人のうち、30%近くも日本を訪問先に選んでくれていると解釈できる。
従って、日韓外交史において、「三・一運動100周年」(注後記)という、韓国にとって政治的に重要な記念日が迫っていることもあり、何とかそれ以前に、民間レベルの交流を重視して、本問題が収束されることが望まれる。
(注)三・一運動:1919年3月1日に日本統治時代の朝鮮で起こった日本からの朝鮮独立運動。韓国では肯定的評価され、3月1日を三一節として祝日に指定している。しかし、北朝鮮では“失敗したブルジョア蜂起”と否定的な評価をしている等、南北での見解に差がある。なお、同運動を仕掛けたグループが発表した「独立宣言」では、“朝鮮という民族国家が発展し幸福であるためには独立を確立すべきこと、朝鮮の独立によって日本及びそこに住む人々との間に正しい友好関係を樹立すること”などが宣言の骨子となっており、必ずしも抗日全面戦争ではなかった。
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