アメリカのドナルド・トランプ前大統領が、フロリダ州で開かれた保守派会合(CPAC)で、ジョー・バイデン大統領就任後初めて演説を行い、2024年の大統領選再出馬を示唆した。演説で、トランプ氏は米国の政策が「アメリカファーストからアメリカラスト」主義に変わったとバイデン政権を批判した。
3月1日付英国
『BBC』は「CPAC:トランプが保守派むけ演説で新党結成を否定」との見出しで以下のように報道している。
トランプ前大統領が、フロリダ州オーランドで開かれた保守派会合(CPAC)で、バイデン大統領就任後初めて演説を行い、2024年の大統領選再出馬を示唆した。演説で、トランプ氏は米国の政策が「アメリカファーストからアメリカラスト」主義に変わったとバイデン政権を批判。
保守派会合(CPAC)は国内最大級の保守派イベントであり、その共和党との関係性から、今回トランプ氏が参加したことは今後も共和党に同氏の影響が及ぶことを意味する。...
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3月1日付英国
『BBC』は「CPAC:トランプが保守派むけ演説で新党結成を否定」との見出しで以下のように報道している。
トランプ前大統領が、フロリダ州オーランドで開かれた保守派会合(CPAC)で、バイデン大統領就任後初めて演説を行い、2024年の大統領選再出馬を示唆した。演説で、トランプ氏は米国の政策が「アメリカファーストからアメリカラスト」主義に変わったとバイデン政権を批判。
保守派会合(CPAC)は国内最大級の保守派イベントであり、その共和党との関係性から、今回トランプ氏が参加したことは今後も共和党に同氏の影響が及ぶことを意味する。会合は終始トランプ氏を支持する雰囲気で、テッド・クルーズ上院議員や息子のトランプ・ジュニア等のトランプ支持者らの演説が続いた。
同氏は1月の議事堂襲撃事件を機に、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアからの締め出しは続いているが、ホワイトハウスを退所した後は、マーララゴ・ゴルフリゾートでの生活を続けている。ハイアットリージェンシーホテルのステージに1時間以上遅れて登壇したトランプ氏は支持者からの歓声を浴びた。多くの来場者はマスクをしていなかった。「今日、今後4年続く旅路を皆と共に始めることをここに宣言する。午後我々は今後の未来について話合った。共和党の未来、そして米国の未来についてだ。」等と述べた。一方、新党結成についての噂はフェイクニュースだと否定した。
また演説で同氏は、11月に選挙に敗退したのは、選挙人不正のせいだと主張。「彼らは負けたのだ。そして私が決断すれば、彼らを負かすのも三度目となるだろう。」と述べ、2024年の再出馬を示唆した。また、バイデン氏が移民や国境問題の強硬路線を転換したとして新政権を批判し、「バイデン政権がこうも酷く、これ程左傾するとは誰も予想しなった。」と聴衆に向かって述べる場面もあった。
11月の選挙で敗退し1月の襲撃事件で大きな批判を浴びながらも、各報道によると、トランプ氏への圧倒的支持基盤に変わりはないという。先週の世論調査では、トランプ氏が共和党を離れ新党を結成した場合、46%がトランプに投票すると回答した。
共和党議員はおおむねトランプ氏に忠誠であったが、先月の弾劾裁判では10名が造反。ミッチ・マコネル議員は、議事堂騒動について責任があるとしてトランプ氏を批判した。以降、党内の分断は続いておりトランプ反対派はCPACを欠席している。
同日付米国『ニューヨークタイムズ』は「トランプの共和党員攻撃リストは党への威嚇射撃」との見出しで以下のように報道している。
保守派政治会合で日曜、ドナルド・トランプ氏は離任後初登壇し、反撃を示唆しながら、弾劾を支持した共和党員のリストのようなものを読み上げた。
名ばかりの共和党員(RINO)は共和党や米国労働者をむしばんでいるとし、下院共和党ナンバー3の指導者リズ・チェニー、少数派院内総務ミッチ・マコネルの名を挙げた。トランプ氏はチェニー氏を「主戦論者で誰よりも支持率を落とした人」と批判。両者はトランプ氏を1月に起きた議事堂占拠事件で激しく批判していた。チェニー氏は共和党員にトランプ氏と手を切るべきだと何度も訴えてきた。
共和党の演者は、ほとんどバイデン大統領やその政策には触れなかった。一方、トランプ氏は例外で、バイデン政権に繰り返し言及し、「1か月でアメリカファーストからラストに変わった」等と移民や対イラン政策を批判した。反トランプ議員について、「彼らすべてを取り除く」と述べ喝采を浴びた。多くの共和党支持者や活動家は昨年の選挙での不正投票だとする主張から離れようとしているが、同氏の扇動への熱狂的な反応には共和党内のジレンマが表れている。
演説の中で、同氏が就任中に尽力したコロナワクチンの接種を人々に接種するようにと呼び掛ける場面もあった。一方、女子スポーツに参加したトランスジェンダーを攻撃しからかう場面もあったという。
同氏の側近らはコロナによる規制が少ないフロリダでラリー開催の可能性を模索しているという。CPACでのインタビューを見るとトランプ再出馬については党内から複雑な思いが聞かれた。世論調査では、32%が再選を望まないと回答している。
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1月28日付米国
『The Hill』は「ニューヨークタイムズ紙論説、バイデン氏が連発する大統領令を批判」との見出しで以下のように報道している。
ニューヨークタイムズ紙が、先週バイデン大統領が連発した大統領令を批判。水曜の論説で「これらの行動は民主党やトランプを否定したい人からは称賛される一方、共和党員は団結を求めると約束したバイデン氏を批判している。大統領令には法的拘束力はあるが、法律の代わりにはならない。議会の意思の回避策としても機能せず、司法の介入を招くものである。」等としている。
大統領令は、パリ協定へ復帰、トランプ前政権のイスラム圏諸国からの入国制限解除、キーストーンXLパイプラインの敷設に対する大統領の許可を取り消し、国境の壁補助金廃止や、イスラム教徒が多い国を対象としていた入国規制も廃止するものも含まれる。
タイムズ紙は、オバマ元大統領のDACA(移民のこどもの送還遅延措置)の例をあげ、トランプ元大統領がDACAを廃止したように、バイデン氏が保護措置を復活させる等、前政権の政策を新政権がすぐに取り消す大統領令を多発すると、極端な混乱に陥るとしている。
同紙は、いくつかのトランプの大統領令解除は妥当だとしながらも、バイデン氏の成果は議会との合意を得られるかに掛かっていると主張するのに対し、ホワイトハウス広報部長ケイト・ベディングフィールドはこの論説を批判。ロン・クレイン首席補佐官は、「大統領令は法に則り、大統領権限を使ってトランプが潰した行政機関を元に戻すことで、4つの課題(コロナ禍、気候変動、経済対策、人種問題)に取り組む構えだ。」としている。
同日付米国『FOX』は「大統領令の乱用だとするニューヨークタイムズ紙の批判にバイデン政権が反発」との見出しで以下のように報道している。
「左翼ニューヨークタイムズ紙は論説で、バイデン陣営の選挙キャンペーンや勝利を支持していたが、大統領令の多発を批判したことで、ホワイトハウス広報部長の反発を招いた。先週、ジョー・バイデン大統領は、気候変動やコロナ対策、渡航措置やキーストーンパイプライン敷設禁止等の10数個の大統領令に署名。」
ニューヨークタイムズ紙は、「ジョー、大統領令は程々に」と題した論説で、大統領令に頼りすぎだとバイデン氏を批判。「二極化し、過半数をやや上回るだけの議会では、大統領令以外他に選択肢はないのだろうが、この発令は、政府への助言を与える存在でしかなく不完全なものだ。」等としている。
同紙は同情的に批判していたのだが、ケイト・ベディングフィールド広報部長はツイッターで「バイデン政権がトランプ元政権の酷い施策を転換するための大統領令を迅速に出したことでタイムズ紙が批判をしている。同紙は予備選の時には、大統領令で大統領が達成すべきことに関し有権者に訴えていた。もちろん法を通して改革を進める意向だ。」などと反論している。
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