これまでGlobaliで何度か報じたとおり、豪州政府が導入を計画している次期潜水艦商談について、日本、フランス、ドイツメーカーによるつばぜり合いが続いている。そして、昨年秋に就任したマルコム・ターンブル首相が4月19日に、7月初めの上下院解散・総選挙に打って出る決断をしたことから、選挙対策の一環で、当初年末と言われた当該商談の結論(豪州国内雇用確保最優先の落札者選び)が早まる見通しとなっている。
4月19日付米
『ロイター通信米国版』の報道記事「日本とドイツ、豪州向け次期潜水艦商談でロビー活動活発化」:
「・豪州政府は、次期潜水艦として12隻の新型艦調達のため500億豪州ドル(約4兆3千億円)を予算計上。
・当初は、日本・フランス・ドイツからの入札書類をじっくり精査し、年末までに結論を出す予定であったが、ここへきてターンブル首相が、解散・総選挙を7月2日としようとしており、その選挙対策の一環で同商談の結果を早めに出すことになった模様。...
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4月19日付米
『ロイター通信米国版』の報道記事「日本とドイツ、豪州向け次期潜水艦商談でロビー活動活発化」:
「・豪州政府は、次期潜水艦として12隻の新型艦調達のため500億豪州ドル(約4兆3千億円)を予算計上。
・当初は、日本・フランス・ドイツからの入札書類をじっくり精査し、年末までに結論を出す予定であったが、ここへきてターンブル首相が、解散・総選挙を7月2日としようとしており、その選挙対策の一環で同商談の結果を早めに出すことになった模様。
・関係者の情報では、早ければ4月29日に正式発表があるとの予測。
・日本は4月19日、豪州海軍との共同訓練のため、当該商談の対象となっている“そうりゅう型”潜水艦をシドニー湾に派遣。
・ただ、海上自衛隊の酒井良少将は、同潜水艦の豪州初寄港は両国の関係深化の一環で、当該商談には一切関わりがないとコメント。
・一方、同商談に参加しているドイツメーカーのティッセンクルップは、12隻全てを南オーストラリア州の豪州政府系造船会社で建造する、と猛アピール。」
4月22日付ドイツ
『エクスパティカ(海外居住者用オンラインニュース)』(
『AFP通信』
記事引用)の報道記事「390億米ドルの豪州潜水艦商談が大詰め」:
「・豪州の国家安全保障会議(NSC)は今週、次期潜水艦調達計画に関し、フランスの政府系造船会社DCNS、ドイツのティッセンクルップ、日本の三菱重工・川崎重工J/Vそれぞれから提出されている入札書類について評価会議を開催。
・全入札者とも、新型潜水艦の大部分、あるいは全てを豪州国内で建造する案を提示。
・豪州地元紙は、日本の入札条件が最も劣後し、フランスのそれが最善と報道。
・一方、
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は、ティッセンクルップが最有力と報道。
・なお、7月2日と目される総選挙を睨んで、ターンブル首相は今週、自動車工場の閉鎖で打撃を受けた南オーストラリア州の雇用確保のため、今後調達する20隻余りの艦船(編注;沿岸警備船12隻及びフリゲート艦9隻)を国内建造するとの計画を発表。」
同日付豪州公共
『ABCニュース』の報道「日本、マルコム・ターンブル首相との直接電話
交渉で巻き返しを図る」:
「・当社(ABCニュース)が4月20日、NSCが新型潜水艦の調達先をフランス、ドイツに絞り込んだ模様と報道したことに対して、安倍首相自らがターンブル首相に直接電話攻勢に出るとの日本政府関係筋情報。
・安倍首相にとって、豪州向け潜水艦商談は日本として初の防衛装備品の輸出事業のため、是非とも受注に漕ぎ着けたい意向。
・当初同首相は、トニー・アボット前首相との間で本商談について、非公式ながら前向きな話となっていたが、その後の政変(豪州首相交代)で立ち消えとなり、フランス、ドイツも参戦する三つ巴の商談となった。
・なお、フランス及びドイツとも潜水艦の海外向け輸出実績があるが、日本は全く実績がないため条件的に劣後。」
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