中国裁判所、収賄罪の金融幹部にまたしても死刑判決【フランス・中国メディア】(2024/05/30)
習近平国家主席(シー・チンピン、70歳、2012年就任)は、就任以来特に汚職摘発に注力してきている。この意を汲んで、中国裁判所も共産党幹部はもとより実業界重鎮に対しても汚職容疑者らに厳しい判決を下している。そしてこの程、収賄容疑の金融界幹部にまたしても死刑判決が下された。
5月29日付フランス
『AFP通信』、香港
『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙、5月28日付中国
『環球時報』等は、収賄罪の金融幹部に対してまたしても死刑判決が下ったと報じている。
習近平国家主席は就任以来、「反腐敗運動」に特に力を入れてきていて、これまでも共産党幹部はもとより実業界のトップらも容赦なく断罪された。
しかし、同国家主席としてはまだ不十分と考えている模様で、今年初めに開催された中国共産党中央規律検査委員会(1927年前身設立)全体会議において、汚職の取締りに関し、“依然として厳しく複雑な情勢に直面していて、決して過去を振り返ったり気を緩めたりしてはならない”と強調している。...
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5月29日付フランス
『AFP通信』、香港
『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙、5月28日付中国
『環球時報』等は、収賄罪の金融幹部に対してまたしても死刑判決が下ったと報じている。
習近平国家主席は就任以来、「反腐敗運動」に特に力を入れてきていて、これまでも共産党幹部はもとより実業界のトップらも容赦なく断罪された。
しかし、同国家主席としてはまだ不十分と考えている模様で、今年初めに開催された中国共産党中央規律検査委員会(1927年前身設立)全体会議において、汚職の取締りに関し、“依然として厳しく複雑な情勢に直面していて、決して過去を振り返ったり気を緩めたりしてはならない”と強調している。
そうした中、中国華融資産管理(CHAMC、1999年設立)の幹部に対して、巨額賄賂を受け取っていた罪で死刑判決が下された。
天津市第二中級人民法院(高裁に相当)が5月28日に行ったもので、被告人はCHAMC
資産運用部長だった白天慧(バイ・ティアンフイ、53歳)である。
判決文によると、プロジェクト買収や企業金融等で便宜を図る代わりに、11億人民元(1億5,190万ドル、約238億4,800万円)もの賄賂を受け取っていたという。
同法院は、中国共産党はもとより中国人民に大きな損害となる程の巨額賄賂を受け取っていたことから、極刑に値すると断罪している。
CHAMCについては、2018年に同社董事長(会長に相当)の頼小民(ライ・シャオミン、1962~2021年)が17億9千億人民元(2億6千万ドル、約408億2千万円)の収賄容疑で逮捕され、2021年に死刑が確定し処刑されていたことから、習指導部として取り締まりを強化してきていた。
習国家主席支持者らは、「反腐敗運動」によって清廉な統治を促進すると主張するが、一方で、同国家主席に政敵を粛清する力を与えているに過ぎないと非難する声も上がっている。
なお、この1年内でも次の金融界幹部が汚職容疑で摘発されている。
・劉連舸(リウ・リャンゲ、63歳):中国銀行(1912年設立、中国第3位の商業銀行)の元董事長(2019~2023年)
・李暁鵬(リ・シャオペン、64歳):中国光大集団(1983年設立、中国光大銀行・中国光大証券等保有)の元董事長
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欧州の自動車王国トップも自動車メーカー大手も米国による対中国電気自動車(EV)高額関税賦課政策に異議【中国・フランスメデイア】(2024/05/17)
米国は5月14日、中国による不公正な貿易慣行(政府補助金による安値攻勢)を理由として中国製EV等に高額関税を課すと発表した。これに対して、欧州の自動車王国のドイツ・スウェーデンのトップに加えて、ドイツ・フランスの大手自動車メーカートップも同政策に異議を唱えた。
5月17日付中国
『新華社通信』、フランス
『AFP通信』は、ドイツ・スウェーデンのトップに加えて、欧州自動車メーカートップも米国による対中国EV高額関税政策に異議を唱えたと報じている。
米国政府は5月14日、中国製EV含めて不当な安値攻勢が仕掛けられていることを理由として、EVに100%(従来25%)を賦課する等の厳しい措置を講ずると発表した。
これに対して、隆盛な自動車産業を抱えるドイツ・スウェーデンのトップ2人が同日、当該政策に異議を唱える旨表明した。...
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5月17日付中国
『新華社通信』、フランス
『AFP通信』は、ドイツ・スウェーデンのトップに加えて、欧州自動車メーカートップも米国による対中国EV高額関税政策に異議を唱えたと報じている。
米国政府は5月14日、中国製EV含めて不当な安値攻勢が仕掛けられていることを理由として、EVに100%(従来25%)を賦課する等の厳しい措置を講ずると発表した。
これに対して、隆盛な自動車産業を抱えるドイツ・スウェーデンのトップ2人が同日、当該政策に異議を唱える旨表明した。
欧州委員会(EUの政策執行機関、1967年設立)は昨年10月、欧州に輸入されている中国製EVへの不当補助金について調査すると発表していた。
しかし、ドイツのオラフ・シュルツ首相(65歳、2021年就任)は訪問先のスウェーデンで記者団に対して、“中国から輸入されているEVの50%は、欧州自動車メーカーの中国工場で生産されたものであるため、米国とは事情が異なる”とした上で、“欧州や一部の北米メーカーも中国市場では十分な収益を上げていることでもあり、中国製EVへの高関税賦課については慎重になるべきだ”とコメントした。
また、スウェーデンのウルフ・クリステルソン首相(60歳、2022年就任)も、“(関税賦課合戦によって)世界貿易を混沌とさせることには反対だ”とした上で、“何故なら、結局広範な貿易戦争によってドイツやスウェーデンのような大工業立国の将来を危うくする恐れがあるからだ”と同調している。
NGO団体の欧州運輸環境連盟の統計によると、昨年欧州で販売されたEVのうち約20%、30万台が中国から輸入されたものだが、その半分以上は米テスラ(2003年設立)・ルーマニアのダチア(1966年設立、仏ルノー傘下)・独BMW(1916年設立)等の欧米メーカーの中国生産車となっている。
そこで、BMWのオリバー・ツィプセ取締役会長(60歳、2019年就任)も同日、地元の『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』紙(1949年創刊)のインタビューに答えて、“EUにおいても政治家らが、EVに対する規制を検討しているようだが、これによって中国等の貿易相手国から対抗措置を招き、その結果欧州メーカーにとってEV生産に不可欠な原材料の入手がより困難になるリスクがある”と批判した。
更に、“EUはかつて安価な日本車の販売攻勢を恐れて輸入制限したが、日本車の代わりに韓国車が席捲し、今やその対象が中国車になっている”とし、“このような近視眼的な政策は止めるべきだ”と苦言を呈した。
その上で同会長は、“ドイツにおける中国製EVの販売シェアは僅か0.8%に過ぎず、中国車がEUで溢れかえっているような状況では全くない”とも付言している。
また、欧州多国籍企業のステラティス(仏プジョーグループと米・伊フィアット・クライスラーの合弁会社、2021年設立、世界ランキングはトヨタ、フォルクスワーゲン、現代自動車に次ぐ4位)のカルロス・タバレス最高経営責任者(65歳、2021年就任)も5月16日、フランスTVのインタビューに答えて、“米国市場、欧州市場問わず、高関税賦課によってインフレが起こると、結局中産階級の人たちの購買意欲が削がれることになり、最終的にこの影響を受けない他の大手グローバル企業群との格差が広がってしまうだけだ”と警鐘を鳴らしている。
なお、同社は5月14日、中国EVメーカーの零跑汽車(リープモーター、2015年設立)との間で、EV生産のための合弁会社を立ち上げ、生産車を今年9月からフランス、イタリア、ベルギー、オランダ、ドイツ、スペイン向けに輸出することで合意している。
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