既報どおり、5月21日に実施された豪州代議院議員(下院に相当)の総選挙の結果、労働党(1891年設立)が9年振りに政権に返り咲いた。そして、第31代首相に就任したアンソニー・アルバニージー党首(59歳)は、世界の潮流を先取すべく、史上最多となる13人の女性大臣を誕生させた。因みに、岸田内閣の女性閣僚は2/19人である。
5月31日付米
『AP通信』は、「豪州新政権で史上最多の13人の女性大臣が誕生」と題して、9年振りに政権を奪還した豪州労働党が、史上最多となる13人の女性を大臣に就任させたと報じている。
6月1日に誕生した豪州労働党新政権は、史上最多となる13人の女性を大臣に就任させただけでなく、史上初のイスラム系女性大臣、及び2人目の先住民大臣を誕生させた。
5月21日に実施された代議院議員総選挙で勝利してから11日後、アンソニー・アルバニージー新首相率いる全大臣が、首都キャンベラでデビッド・ハーリー豪州総督(68歳、2019年就任)の前で宣誓式を行った。...
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5月31日付米
『AP通信』は、「豪州新政権で史上最多の13人の女性大臣が誕生」と題して、9年振りに政権を奪還した豪州労働党が、史上最多となる13人の女性を大臣に就任させたと報じている。
6月1日に誕生した豪州労働党新政権は、史上最多となる13人の女性を大臣に就任させただけでなく、史上初のイスラム系女性大臣、及び2人目の先住民大臣を誕生させた。
5月21日に実施された代議院議員総選挙で勝利してから11日後、アンソニー・アルバニージー新首相率いる全大臣が、首都キャンベラでデビッド・ハーリー豪州総督(68歳、2019年就任)の前で宣誓式を行った。
同新首相は、“今の豪州のように多様性に富んだ閣僚メンバーを率いることを誇りに思う”とツイートしている。
新内閣メンバーのうち、アン・アリー若者担当相(55歳)は初のイスラム教徒の女性大臣で、同じくエド・フシック産業・科学担当相(52歳)も初のイスラム教徒の大臣として入閣しており、また、リンダ・バーニー先住民担当相(65歳)は史上2人目となる先住民(アボリジニ)出身の大臣である。
そして、閣外含めた30人の大臣のほぼ半数が女性を占め、かつ、23人の主要閣僚のうち史上最多となる10人が女性となっている。
なお、5月21日の総選挙の開票が一部でまだ済んでいないが、労働党は既に代議院150議席の単独過半数を確保している。
同日付豪州『ABCニュース』(1947年開局の豪州公共放送)は、「アンソニー・アルバニージー新首相が率いる歴史に残る労働党政権が発足」の中で、閣内、閣外含めて、史上最多の女性大臣が誕生したと報じている。
総選挙後すぐに初外遊に出る必要性から、アンソニー・アルバニージー新首相、リチャード・マールズ副首相(54歳)、ジム・チャルマーズ財務相(44歳)、キャティ・ギャラハー金融及び女性担当相(52歳)、ペニー・ウォン外相(53歳)は、先週既に宣誓式を行っているが、6月1日、改めて他の閣内・閣外大臣とともに宣誓式に臨んだ。
今回誕生した労働党新政権は、主要閣僚メンバー23人のうち10人を女性が占め、また、豪州憲政史上初のイスラム教徒2人の大臣が就任している。
更に、史上初の先住民出身の女性大臣も誕生している。
なお、5月21日実施の総選挙はまだ一部未決定の地区があるが、全閣僚の就任式が行われた前日、ニューサウスウェールズ州シドニー南部郊外のギルモア地区の選挙区で労働党候補が勝利したことから、同党が単独過半数の77議席を獲得している。
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欧米諸国による、ウクライナ軍事侵攻に伴う対ロシア制裁は徐々に奏功しつつある。しかし、ロシア反体制派グループが訪米し、もっとプーチンに強烈な打撃を与えるため、下級官僚まで含めた6千人を対象とした広範囲の制裁を科すべきだと、米議会議員に直訴した。
5月20日付
『AP通信』は、「ナワルニー氏率いるグループ、ウクライナ支援のため対ロシア制裁拡大を直訴」と題して、野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏(45歳)率いるグループ代表が訪米して、対ロシア制裁を拡大するよう米議会議員に直訴したと報じている。
ロシアの野党勢力代表のアレクセイ・ナワルニー氏率いるグループ代表は5月19日、ワシントンを訪問した上で、ロシア政府への制裁の一環で、現在発動しているオリガルヒ(新興財閥)への制裁に留まらず、もっと強烈な打撃を与えるため、新たに制裁対象とすべき6千人のリストを以て米議会議員に直訴した。
今回新たに対象とされたのは、国防・治安部門高官、行政職員、知事、議会議員、政府系メディア編集者・管理職らである。
ナワルニー氏が率いるロシアNPO腐敗防止財団(FBK、2011年設立)のウラジーミル・アシュルコフ事務局長(50歳)は5月19日、記者団のインタビューに答えて、西側諸国による“雪崩式の制裁”はそこそこロシアに効いているが、ウラジーミル・プーチン大統領(69歳)支持の富豪らに止まらず、下級官僚含めてもっと多くを制裁対象に加えることによって、ロシアの財政を更に効果的に圧迫することになると訴えた。
同事務局長は、制裁は戦争を止める“銀の弾丸(注後記)”ではないが、“西側諸国がロシアを痛めつける有効な手段のひとつである”と語った。
FBK一行がワシントン入りする直前、議会はウクライナへの武器及び人道支援のため400億ドル(約5兆1,200億円)に上る拠出決議を採択したばかりであった。
FBKの別の幹部によると、今回の追加制裁リストはナワルニー氏自身の案として提示されたものだという。
ナワルニー氏は、2020年夏に毒殺未遂に遭って、ドイツでの治療の後に2021年にロシアに戻ったところで逮捕・拘束され、目下刑務所に投獄されているが、依然、プーチン批判グループの中で最も力がある人間だと目されている。
FBKのアンナ・ベドューダ副事務局長は、ナワルニー氏は投獄されたままだが、“我々の運動を牽引してくれる”頼もしいリーダーだとコメントした。
なお、今回米議会議員を訪問するに当たって、特に上院の共和党議員に狙いを絞って攻勢をかけたのは、対戦車ミサイル・ジャベリンや戦車をウクライナ軍に供与することで大規模出費となるのと違って、制裁発動そのものでは、米財務省や米国民に金銭的負担を強いることはないと強調している。
FBKグループが今回面談したのは、上院外交委員会上級委員のジム・リッシュ議員(アイダホ州選出、2009年初当選)、マルコ・ルビオ議員(50歳、フロリダ州選出、2011年初当選)らである。
ベドューダ氏は、ナワルニー氏には毎日、代理人弁護士が面会していて、FBKグループの直近の活動等を承知してもらっていると言及した。
しかし、近々ナワルニー氏がもっと警備が厳しい刑務所に移送される模様で、そうなると活動の打ち合わせが難しくなると語ったが、“それでも彼は、今後とも強いリーダーとして、欧米諸国を巻き込んで、ロシア政府への抗議活動を牽引していく”と強調した。
同日付『ABCニュース』も、「ロシア反体制派グループ、プーチン一派を懲らしめるために制裁対象を“次の階層”まで広げるよう米国側に要請」と題して詳報している。
ナワルニー氏が率いるFBKグループのメンバー一行は5月19日、上院外交委員会や情報委員会のメンバー議員の他、司法省や財務省の高官らとも次々に面談し、プーチン一派を更に懲らしめるため、“次の階層”への制裁発動を要請して回った。
アシュルコフ事務局長は『ABCニュース』のインタビューに答えて、目下のロシア富豪への制裁に加えて、プーチン支持の中堅の官僚やその他大勢の役職員を対象に制裁を科すよう要請したと語った。
同氏は、“彼らは大体40代半ばであるので、プーチンが退いた後でも日々の暮らしをしていく必要があり、制裁を科されることによって、ウクライナ戦争やプーチン政権のことをもっと深刻に考えざるを得なくなるからだ”という。
同氏によれば、今回米国側に提示した追加制裁対象6千人のリストは既に公開しているため、“徐々にではあるが、プーチン政権から距離を置こうとする動きが出ている”とし、“正に実効性ある制裁発動と評価できる”と強調している。
(注)銀の弾丸:銀で作られた弾丸で、西洋の信仰において狼男や吸血鬼などを撃退できるとされ、装飾を施された護身用拳銃と共に製作される。銀には高い殺菌作用があるほか、ヒ素化合物のひとつである硫化ヒ素と反応して黒変する性質があるため、古くから病をもたらす未知の存在へ対抗する手段として経験則的に知られている。こうした背景から、通常の弾丸では通用しない吸血鬼や狼男、魔女なども銀の弾丸なら射殺できるとされ、伝説やフィクションの世界で多用される存在となったもの。
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