北朝鮮のICBMミサイルによる緊張
北朝鮮が4日、日本海に向けて発射したミサイルに関し、米国政府は大陸間弾道ミサイル(ICBM)だったと認めたと報道されている。(初期段階の分析では中距離弾道ミサイルだと見られていた)
同日、ロシアのプーチン大統領は中国の習近平国家主席と会談したがその北朝鮮に関する共同声明では、北朝鮮の非核化に向けた問題解決へはあくまで対話と協議が唯一の方法だと強調した。更に、米国は北朝鮮をアジアにおける軍事インフラ拡大の口実に使い、地域内の権力バランスを乱す危険を冒しているとしている。しかし、あくまで対話による解決を望むとする両国は米国へ制止を求めたが、米韓は合同軍事演習を行い、ミサイル防衛力を誇示した。韓国国防省は「挑発を続けるなら、金正恩政権は破滅する」と強く牽制している。
7月5日付英国
『インディペンデント』は「レックス・ティラーソン米国務長官が北朝鮮による“世界の脅威”に対抗する“世界的行動”を呼びかけ」との見出しで以下のように報道している。
「北朝鮮のミサイル試射成功が続き緊張状態が高まる中、レックス・ティラーソン米国務長官は北朝鮮による“世界の脅威”に対抗する“世界的行動”を呼びかけ、米国は「より強固な政策を定める」とした。韓国も北のミサイルに米韓は「精度の高い迎撃」で対抗し北朝鮮は「崩壊する」と警告している。...
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7月5日付英国
『インディペンデント』は「レックス・ティラーソン米国務長官が北朝鮮による“世界の脅威”に対抗する“世界的行動”を呼びかけ」との見出しで以下のように報道している。
「北朝鮮のミサイル試射成功が続き緊張状態が高まる中、レックス・ティラーソン米国務長官は北朝鮮による“世界の脅威”に対抗する“世界的行動”を呼びかけ、米国は「より強固な政策を定める」とした。韓国も北のミサイルに米韓は「精度の高い迎撃」で対抗し北朝鮮は「崩壊する」と警告している。北朝鮮「KCNAニュース」の報道によると、金正恩党委員長はICBM試射は成功したと発表、更に米国が敵対政策を解かない限りは長距離ミサイルを放棄せず米との交渉に応じる意思はないとしているという。
ティラーソン氏は、水曜の緊急国連安保理会合を要請し、議論する予定であると述べた。 国防相のダナ・ホワイト報道官も「総力で高まる脅威に臨む、韓国、日本との同盟は強固だ」とした。水曜、緊張状態に備え、米韓はロシアと中国の制止を振り切り、弾頭ミサイル防衛訓練を行った。
米軍は、韓国沿岸にミサイルを発射した軍事演習では、目的への正確な発射が行われたと発表。声明によると、習主席は「北朝鮮の深刻な挑発下、声明では対応しきれない状況で、我々のミサイル防衛能力を明示する必要があった」と述べたという。韓国「聯合ニュース」の報道によると、(同氏は)韓国や同盟国の安全を脅かすことは北朝鮮の「崩壊」に繋がると述べたという。
米韓首脳は今週、「北朝鮮体制への戦略的忍耐の時代は終わった」とし、北朝鮮への追加制裁に関しワシントンで会談した。
一方、ロシアと中国は、緊張緩和に向けた共同声明を発表、「この状況は両国の国家的利益を蝕むもの」、「ロシアと中国は朝鮮半島の複雑な問題の進展に向けあらゆる方面で協調していく」とし、又、米国は北朝鮮をアジアにおける軍事インフラ拡大の口実に使い、地域内の権力バランスを乱す危険を冒しているとしている。」
同日付ロシア
『スプートニク』は「習主席訪ロ、ロシアと中国が共同合意」との見出しで次の様に報道している。
「中国の習国家主席がプーチン大統領の招待による2日間の訪ロを終えた。両国は2つの共同声明を発表。更にプーチン大統領は周主席に、露中間の友好関係を固めた功績をたたえロシア連邦最高勲章である「聖アンドレイ勲章」を授与した。中ロは、経済の様々な分野40項目の協定を締結し協力関係を強化する。また軍事、技術分野で協力し、地域と世界の問題における協調。国際問題では、シリア紛争解決に向けた政治、外交的解決を視野に、化学や生物テロに対抗する国際会議の進展に言及。いかなる外的状況の変化によっても、両国の強固な関係は乱されないことに合意。朝鮮半島問題での戦略的協力で一致した。
北朝鮮に関しては、非核化に向けた問題解決には、対話と協議が唯一の効果的方法である事を強調した。プーチン大統領は、包括的な解決は、中ロとも外交政策における優先課題だと述べた。
ロシア経済研究所関係者によると、今回の中国主席のロシア訪問は異例のことだという。経済分野で締結された(または予定の)総額200億ドルとなる協定の多さとからみると、ロシア経済の再生や革新的な資源開発モデルの変容にプラスとなると見込まれている。」
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北朝鮮の地対艦巡航ミサイル発射実験は成功
北朝鮮は9日、敵の軍艦への強力な襲撃手段となる新型の地対艦巡航ミサイルの発射実験を行い、成功したと発表した。8日に東部の元山から飛翔体が発射されたのを、韓国軍が検知した1日後のことだった。
国営メディアである朝鮮中央通信によれば、金正恩委員長が発射に立ち会い、ミサイルは旋回しながら飛行した後、日本海上に浮かぶ標的の船を正確に検知してこれに命中した、としている。また9日付の党の機関紙・労働新聞の電子版が、発射や命中の瞬間などの写真を掲載した。実験では、超低空飛行の安定性や標的を正確に捕える能力などを確認し、新たに開発した発射台や準備態勢も検証した。北朝鮮は2015年に同様の実験を行ったが、その際には地対艦巡航ミサイルは僅か100キロしか飛ばなかったので、今回の実験では技術的な進歩が確認された。...
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国営メディアである朝鮮中央通信によれば、金正恩委員長が発射に立ち会い、ミサイルは旋回しながら飛行した後、日本海上に浮かぶ標的の船を正確に検知してこれに命中した、としている。また9日付の党の機関紙・労働新聞の電子版が、発射や命中の瞬間などの写真を掲載した。実験では、超低空飛行の安定性や標的を正確に捕える能力などを確認し、新たに開発した発射台や準備態勢も検証した。北朝鮮は2015年に同様の実験を行ったが、その際には地対艦巡航ミサイルは僅か100キロしか飛ばなかったので、今回の実験では技術的な進歩が確認された。金委員長は実験結果を高く評価しているという。
韓国軍の発表では、ミサイルは約200キロ飛び、最高高度は約2キロだった。今週初めに終了した、米軍の空母カールビンソンやロナルドレーガンが韓国海軍との共同訓練を行った日本海の海域に落下したという。韓国軍は、発射は共同訓練に対抗するもので、北朝鮮のミサイルの多種多様性や、敵の船舶を正確に狙い撃つ能力を誇示する狙いがあると述べた。
「この新種の巡航ミサイルは、北朝鮮を攻撃しようと試みる、いかなる敵の艦隊をも地上から撃破する能力を持った強力な攻撃手段である。そして意のままに使用可能である。」と朝鮮中央通信は報じた。また8日のミサイルは、北朝鮮の建国の父である故金日成主席の生誕105周年を祝う4月15日の軍事パレードで初めて紹介されたものと説明した。韓国の聯合ニュースによれば、軍事パレードに初めて登場した武器は、ICBMを除いて全てが先月試されたとのことである。
今回の発射実験は、周辺諸国や米国に挑戦的なメッセージを送るものだ。一連の北朝鮮のミサイル実験は、韓国の文在寅新大統領にとって難しい課題を提供している。文大統領が対話を模索する意向を表明しているからだ。8日の打ち上げはこの1か月で5回目の実験となり、5月初旬の文大統領の就任以来、3発の弾道ミサイル、1発の地対空ミサイル、そして8日の巡航ミサイルが発射されたことになる。文大統領は、北朝鮮との融和政策の一環として、国境を越えた民間レベルでの交流を推進しようとしているが、北朝鮮は5日、国連の新しい制裁決議を韓国が支持していることに抗議し、韓国政府の承認を得て民間団体が進めていたマラリア予防に関する人道支援について、受け入れを拒否した。
また、もう一つ新たな火種となりそうなものとして、最近韓国で救助された北朝鮮の漁師4人の内の2人を、希望に応じて韓国に留まることを認めると文政権が発表している。北朝鮮への帰国を希望するもう2人の漁師は9日に本国に送還された。北朝鮮は韓国がそそのかしていると非難し、4人全員の送還を要求するものと見られている。文大統領は北朝鮮とどう向かい合うか、難しい決断を迫られている。
北朝鮮は、核弾頭を搭載したICBMをこの数年に開発する可能性があり、それはトランプ米大統領の海外政策で最大の懸念事項の1つとなっているが、トランプ政権は現在国内の政治問題に力を注がざるを得ない状況となっており、中国にもっと北朝鮮を抑制するよう求めている。
国連では、安全保障理事会の現在の議長である、ボリビアのサチャ・ロレンティ・ソリス国連大使が8日、記者団に対し、今回の発射実験に関する特別な会合の開催要求は受けていないと述べた。英国のマシュー・ライクロフト国連大使は、北朝鮮の挑発行動を非難し、「理事会のメンバーとともに、どのような対応がベストか考えたい。」と言ったが、北朝鮮に対する国連の制裁決議は、特定の核とミサイルの実験等を禁じており、定義された違反事項に該当しない可能性があると付言した。
安保理は2日、全会一致で、北朝鮮の核とミサイル計画に関連する14個人と4つの団体を、資産凍結や渡航禁止の対象リストに新たに加える決議を採択した。それは国連の制裁決議違反である、前回の弾道ミサイル発射実験に対応するものであった。EUは8日、この安保理決議に沿って制裁を強化している。
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