プーチン大統領、米国を尻目にトルコ・イラン首脳と連携してシリア内戦終結に向け邁進【米・英・ロシア・中国メディア】(2017/11/23)
ウラジーミル・プーチン大統領は、ドナルド・トランプ大統領が金正恩(キム・ジョンウン)委員長や米民間人とツイッターで罵り合っているのを尻目に、国際社会に対してしっかり存在感を見せ付けている。すなわち、米国が不支持のバッシャール・アル=アサド政権の後ろ盾として、トルコ・イラン首脳と3者会談を実施の上、シリア内戦終結後の統治体制についての全関係者会議を招集することで合意した旨大々的に発表した。
11月22日付米
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「ロシア・トルコ・イラン首脳、シリア内戦終結後の対応について共同提案」
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、イランのハサン・ロウハーニー大統領の3首脳は11月22日、シリア内戦終結後の平和維持のための体制作り(政権側・反政府側も交えた会議開催)について支援していくことで一致した旨発表した。...
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11月22日付米
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「ロシア・トルコ・イラン首脳、シリア内戦終結後の対応について共同提案」
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、イランのハサン・ロウハーニー大統領の3首脳は11月22日、シリア内戦終結後の平和維持のための体制作り(政権側・反政府側も交えた会議開催)について支援していくことで一致した旨発表した。
共同声明は、3首脳がソチ(黒海沿岸のリゾート地)に集まり、7年に及ぶシリア内戦の終結が見えてきたことを受けて協議の上発信されたもの。
この声明の数日前、プーチン大統領はアサド大統領をモスクワに呼んで会談し、内戦後の体制作りについての提案への同意を取り付けていた。
ただ、反アサド政権を標榜するサウジ・アラビアなどが、国連が仲介して開催される、11月28日のシリア和平会議(国連ジュネーブ本部)までに、国連調査団報告にあるシリア政府軍による化学兵器使用等を理由に、反アサドで一致して同会議に臨むべく画策している。
一方、エルドアン大統領としては、トルコ内にクルド人武装勢力を抱えることから、内戦終結後のシリア政治体制に、米国が支援するシリアのクルド人勢力が参加することについて依然強く反対している。
同日付英
『BBCニュース』:「シリア内戦:プーチン大統領が平和維持会議招集案を明かす」
ロシア・トルコ・イラン3首脳の共同声明では、シリア政権側も反政府側も“建設的な対応”を以て平和維持会議に出席するよう求めた。ただ、同会議の開催場所はソチとされているが、具体的日程までは言及されていない。
なお、3首脳を代表してプーチン大統領は、平和維持会議開催の目的は、シリアの将来の統治体制、新たな憲法の制定について枠組みを協議するもので、その上で国連監視の下での総選挙の実施まで合意していきたいと考えていると表明した。更に、この和平プロセスは単純なものでなく、従って、“シリア政府含めた全ての関係者の歩み寄りと譲歩”が必要だとも強調した。
11月23日付ロシア
『ロシア・ヘラルド』紙:「ロシア・トルコ・イラン首脳、シリアの“平和維持会議”招集で合意」
3首脳を代表してプーチン大統領は、共同声明はシリアの和平継続を目的として、“シリア全関係者による協議会”を招集し、内戦終結後の体制作りの道筋を付けるためのものであると
『CNNニュース』のインタビューに答えた。
なお、同大統領は前週にモスクワで会談したアサド大統領に対して、軍事行動はこれで“終結する”ことになるが、依然“道のりは長い”と話したという。
同日付中国
『環球時報』(
『新華社通信』配信):「ロシア・トルコ・イラン首脳がシリア和平プロセスを前進させることで合意」
3首脳の共同声明を発表するに当って、プーチン大統領は、シリア内のテロリスト集団の放逐の目処は付いたことから、今こそシリア内戦を終結させる絶好の時期だと語った。
エルドアン大統領は、シリアにおいて、自由で公平かつ透明性のある政治プロセスが確立されるべく、共同で支援していくことに合意したと述べた。
また、ロウハーニー大統領は、シリア内戦はそもそも部外者の干渉から始まっているので、今後の和平プロセスには、如何なる部外者の干渉を許さず、シリア人だけで国家主権を確立していくこと等が重要であるとも付言した。
なお、シリア内戦は2011年に始まり、これまで33万人以上が犠牲となり、また、数百万人が避難民となっている。
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ロシア、NATOに対抗して冷戦後最大規模の実戦訓練実施【米・英・ロシアメディア】(2017/09/15)
ロシアは9月14~20日、ベラルーシとともに冷戦後最大規模の実戦訓練を実施する。ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟する動きを阻止するため、2014年以降ロシアがクリミア半島併合及び東部ウクライナへの軍事侵攻を企てたことから、NATO軍による対ロシア軍事演習が度々行われてきた。今回の大規模演習は、NATO軍を牽制するものとみられる。
9月14日付米
『Foxニュース』:「冷戦後最大規模のロシア軍実戦訓練で警戒警報」
ロシアと旧ソ連のベラルーシ両国は、9月14~20日にかけて「Zapad 2017(Zapadはロシア語で西の意)」合同軍事訓練を実施する。これは、ベラルーシ及びカリニングラード(バルト海に面するロシアの飛び地で、ポーランドとリトアニアに挟まれた地域)で行われる、冷戦終結後最大規模の実戦訓練である。
NATO軍は、2014年にロシアがクリミア半島を併合して以来、バルト海沿岸国やポーランドの防衛を強化している。...
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9月14日付米
『Foxニュース』:「冷戦後最大規模のロシア軍実戦訓練で警戒警報」
ロシアと旧ソ連のベラルーシ両国は、9月14~20日にかけて「Zapad 2017(Zapadはロシア語で西の意)」合同軍事訓練を実施する。これは、ベラルーシ及びカリニングラード(バルト海に面するロシアの飛び地で、ポーランドとリトアニアに挟まれた地域)で行われる、冷戦終結後最大規模の実戦訓練である。
NATO軍は、2014年にロシアがクリミア半島を併合して以来、バルト海沿岸国やポーランドの防衛を強化している。しかし、ロシア・ベラルーシの大規模軍事演習が実施されるに当り、バルト海沿岸国等NATO新加盟国や、ロシア・ベラルーシに囲まれたウクライナは、訓練に止まらずに軍事侵攻まで発展するのではないかと戦々恐々としている。
米国防総省は、今回の訓練に両軍合わせて10万人規模の兵員が加わるとみているが、ロシアは、兵員は合計1万2,700人の参加に止まるとしてこの見方を全面的に否定している。
同日付英『ザ・テレグラフ』紙:「ロシアとベラルーシの合同実戦訓練開始したものの混乱」
ロシアとベラルーシによる合同実戦訓練が9月14日に始まった。しかし、ロシア国防省とベラルーシ国防省の理解が異なり混乱している。何故なら、ロシア軍は戦車部隊をベラルーシに向けると発表したが、ベラルーシ側が即座に、ロシア戦車隊は同国内で訓練を行うと否定したからである。
この混乱によって、ベラルーシ国内で行われる大規模実戦訓練が、ロシア軍による周辺国への急襲の脅威となっている。何故なら、ロシア軍は既に2014年、クリミア半島を併合した上、東部ウクライナにも侵攻する事態を引き起こしているからである。
ただ、ベラルーシ国防省のウラジーミル・マカロフ報道官は、合同実戦訓練終了後はロシア軍も自軍の駐屯地に戻るとした上で、この訓練は、ベラルーシはもとより、ウクライナ等周辺国にも危険を及ぼすものではないと言明している。
9月15日付ロシア『ロシア・ヘラルド』紙:「Zapad 2017:誇大妄想と脅威の裏にある真実」
米国高官やNATO関係者は、ロシア・ベラルーシの合同実戦訓練について、10万人の兵員を参加させる等とし、脅威だと発言している。しかし、ロシア側はこれを誇大妄想だとして全面的に否定している。
ロシア側は正式声明で、兵員12,700人(ロシア兵7,200人、ベラルーシ兵5,500人)、武器700種、戦闘機・ヘリコプターは最大70機、戦車250台、大砲最大200門、また軍艦も最大10隻だとしている。
更に、ロシア国防省は、今回の訓練はあくまで防衛上の備えであって、いかなる第三国や共同体、具体的にはリトアニア・ポーランド・ウクライナの脅威となるものではないと付言している。
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