チェコ;上院議長団の訪台等で反中派の勢い増すも、新感染症用ワクチンを求めて親中派が巻き返し【米・ロシアメディア】(2021/02/06)
大統領・首相とも親中派のチェコでは、中国の進める「一帯一路経済圏構想」に基づく同国エネルギープロジェクトが中国側都合で突如頓挫したことから反中派が勢いを増し、昨年夏には同国No.2の上院議長を団長とする総勢90名の使節団が訪台する程であった。しかし、欧州連合(EU)加盟国ながら新型コロナウィルス(COVID-19)ワクチンが容易に確保できていない同国としては、EU未認可を無視してロシア、中国製ワクチン手当てを着々と進めているハンガリーを見習うべく、チェコ首相がロシア及び中国製ワクチン手当てに走り出そうとしている。
2月5日付米
『AP通信』:「チェコ首相、ハンガリーを訪問してロシア、中国製ワクチン手当て方策を相談」
チェコは、EU保健当局(欧州医薬品庁)未認可のロシア及び中国製COVID-19ワクチンについて、EU加盟国でありながらいち早く手当てしたハンガリーに倣って、当該ワクチン獲得に走り出そうとしている。
同国のアンドレイ・バビシュ首相(66歳、ポピュリズム政党のANO2011党首、親中派)が2月5日に表明したもので、同日にハンガリーを訪問してビクトル・オルバーン首相(57歳)と会談した後の記者会見で、ハンガリーが既に手当てしたロシア製ワクチンのスプートニクⅤ及び中国シノファーム社製ワクチンに関わる情報提供を受けて、同国としてもこれらワクチン獲得に動き出すと表明した。...
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2月5日付米
『AP通信』:「チェコ首相、ハンガリーを訪問してロシア、中国製ワクチン手当て方策を相談」
チェコは、EU保健当局(欧州医薬品庁)未認可のロシア及び中国製COVID-19ワクチンについて、EU加盟国でありながらいち早く手当てしたハンガリーに倣って、当該ワクチン獲得に走り出そうとしている。
同国のアンドレイ・バビシュ首相(66歳、ポピュリズム政党のANO2011党首、親中派)が2月5日に表明したもので、同日にハンガリーを訪問してビクトル・オルバーン首相(57歳)と会談した後の記者会見で、ハンガリーが既に手当てしたロシア製ワクチンのスプートニクⅤ及び中国シノファーム社製ワクチンに関わる情報提供を受けて、同国としてもこれらワクチン獲得に動き出すと表明した。
その際、同首相は、“ワクチンは政治問題が伴うものではなく、安全が第一”だとした上で、“どの国で生産されたかは関係なく、安全である限り、国民の健康確保のために可能な限り多くのワクチンを手当てする意向”だと言及した。
両首脳は、EUのワクチン政策の遅滞を非難しており、EUから割り当てられるのを待つことなく、自国の努力でワクチン手当てをする重要性を強調している。
ハンガリーは今年1月、スプートニクⅤワクチンを認可し、2月2日現在で既に4万回分を受領済みであり、また、シノファーム製も先週認可している。
バビシュ首相はハンガリー訪問前、同国のCOVID-19感染状況が悪化している上、死者が1万7千人近くに上っていることから、政府として至急対策を打つ必要があると訴えていた。
なお、同首相は2月16日、ハンガリーと同じくロシア製ワクチンを手当て済みのセルビアを訪問し、そこでも同ワクチンに関わる情報を得る意向である。
同日付ロシア『ロシア・ヘラルド』紙(『新華社通信』配信):「ハンガリーのオルバーン首相、COVID-19ワクチンの可及的速やかな手当てが重要と強調」
ハンガリーのオルバーン首相は2月jo5日、同国訪問中のチェコのバビシュ首相と会談した後、COVID-19ワクチンを可及的速やかに手当てすることが最も重要だと発言した。
同首相は、両首脳会談後の共同記者会見の場で、“国民の生命を守るため、速やかにワクチン手当てをすることが最も優先される課題”だと強調した。
同首相は更に、ロシア及び中国製ワクチンはセルビアで既に接種が進められており、同国もセルビアから情報を入手して、同ワクチン導入・接種の手当てを急いでいると付言した。
バビシュ首相も、“ワクチンは政治問題化されるべきではなく、安全である限りどこの国で生産されたワクチンでも、国民の健康維持のために至急手当てしたい”と強調している。
(参考)2月6日午後1時半現在の上記3ヵ国のCOVID-19感染状況は以下のとおり。
チェコ:感染者102万1,477人、死者1万6,976人、致死率1.7%
ハンガリー:37万3,764人、1万2,930人、3.5%
セルビア:40万4,668人、4,085人、1.2%
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ロシア;極東で与党・統一ロシアに反発する1万人規模の市民デモ【欧米・ロシアメディア】(2020/07/19)
ロシアでは6月下旬に行われた国民投票の結果、ウラジーミル・プーチン大統領が2036年まで現職に留まれることを可能にする改正憲法が成立した。支持率が急落しているとは言え、同大統領の長期政権はひとまず安泰とみられる。しかし、地方では中央政府のやり方に異議を唱える市民も少なからずいるようで、極東のハバロフスク地方(注後記)では、同地方政府知事(野党出身)を当局が不当逮捕したことに抗議して、1万人規模の市民がデモ行進を行った。
7月18日付
『ロイター通信』、
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙:「ロシア極東の市民1万人が地元知事の不当逮捕に対する抗議デモ」
ロシア極東のハバロフスク地方において7月18日、少なくとも1万人規模の市民が幹線道路をデモ行進し、連邦政府当局によって不当に逮捕された同地方政府知事の解放を求めて抗議した。
デモ隊の一行は、ある者は不当逮捕を非難し、またある者は公平で開かれた裁判を要求する等の声を上げた。...
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7月18日付
『ロイター通信』、
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙:「ロシア極東の市民1万人が地元知事の不当逮捕に対する抗議デモ」
ロシア極東のハバロフスク地方において7月18日、少なくとも1万人規模の市民が幹線道路をデモ行進し、連邦政府当局によって不当に逮捕された同地方政府知事の解放を求めて抗議した。
デモ隊の一行は、ある者は不当逮捕を非難し、またある者は公平で開かれた裁判を要求する等の声を上げた。
不当逮捕されたとされるのはセルゲイ・フルガル知事(50歳)で、2018年の知事選において、ウラジーミル・プーチン大統領の支援を受けた与党・統一ロシア(2001年設立の保守系右派政党、連邦議会の圧倒的第1党)の候補を破って当選した、ロシア自由民主党(1990年設立の極右政党、連邦議会の第3党)の政治家である。
同知事は7月9日、15年前に発生した複数の実業家殺人事件に関わった容疑で逮捕され、先週モスクワに連行されていて、現在は裁判待ちの状態である。
同知事は容疑を全面否認しているが、もし裁判で有罪が確定すると、最悪終身刑が科される恐れがある。
同地方では、不当逮捕に抗議するデモが7月11日から始まり、7月18日までで8日連続となっている。
デモに参加した女性は、自分たちが選んだ知事を守るのは当然だと表明した。
ハバロフスク市長事務所の発表では、デモ隊は1万人に満たないとされていて、デモ自体は暴動もなく行われたため、逮捕者は出ていないという。
ただ、地方紙は、デモ隊の規模はもっと多いと報じている。
一方、先週モスクワで行われた、プーチン大統領の長期政権を許容した改正憲法に反対する数百人規模のデモ行進では、数十人が逮捕されている。
同日付『ロシア・ヘラルド』紙:「極東で数千人が地元知事逮捕に抗議してデモ行進」
7月18日に極東のハバロフスク市の目抜き通りで行われたデモ行進には、暑い気候かつ新型コロナウィルス感染流行の恐れがある中、1万人近くが参加し、口々に不当逮捕されたフルガル地方知事の解放を訴えた。
同市は無許可デモとしているが、2時間ほど行われたデモについた警察官らは特にデモを解散させる等の行動は取らなかった。
現地の取材に当たった『スプートニク・インターナショナル』紙特派員によると、念のため救急車が2台デモに随行していて、急病人の発生に備えたという。
そして、救急救命士が同紙に語ったところによると、“暑い日であったことから、多くのデモ参加者が気分を悪くしており、自身の救急車含めて都合3人の急患を病院まで搬送した”という。
なお、ハバロフスク市のセルゲイ・クラチャック市長は、デモ隊がソーシャルディスタンシングを守っていないことを非難した。
また、ハバロフスク地方駐在の大統領府高官のユーリ・トゥラトネフ氏は、フルガル知事逮捕に抗議する市民の気持ちは理解するとしながらも、警察は証拠がなくかかる措置を講ずることはないはずだとコメントしている。
(注)ハバロフスク地方:ロシア連邦の地方区分における極東の1地方。ロシアには、地域区分上の46州、9地方、3連邦市、また、民族区分上の22共和国、4自治管区、1自治州という異質の概念から成る連邦構成主体(合計85)がある。なお、クリミア半島併合は国際社会が認知していないため、同半島内の1連邦市と1共和国は上記から除かれ、ロシア国外では83と解釈されている。
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