米メディア;日本の原発が再稼働(2015/08/12)
九州電力は8月11日午前10時半、川内原発第1号機の原子炉を起動し、再稼働させた。東日本大震災の新規制基準下で全国初の再稼働となる。再稼働反対の声が根強い中、およそ2年振りに“原発ゼロ”が終了したことについて、米メディアも一斉に報じた。
8月11日付
『ボイス・オブ・アメリカ』は、「九州電力は8月11日、2011年の福島原発事故以来導入されていた新規制基準の下、初めて川内原発を再稼働させた。8月14日までには電力供給が始まり、来月にはフル稼働に移行するという。安倍政権は、地球温暖化対策の一環で、2030年までには、発電源に占める原発の割合を20%以上に戻したい意向である。原発が停止している間、発電源は主に輸入化石燃料による火力発電に頼らざるを得ないが、日本の世論には原発再稼働反対の声が多い。...
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8月11日付
『ボイス・オブ・アメリカ』は、「九州電力は8月11日、2011年の福島原発事故以来導入されていた新規制基準の下、初めて川内原発を再稼働させた。8月14日までには電力供給が始まり、来月にはフル稼働に移行するという。安倍政権は、地球温暖化対策の一環で、2030年までには、発電源に占める原発の割合を20%以上に戻したい意向である。原発が停止している間、発電源は主に輸入化石燃料による火力発電に頼らざるを得ないが、日本の世論には原発再稼働反対の声が多い。」と伝えた。
同日付
『ニューヨーク・タイムズ』紙は、「日本の48機ある原発は、2011年の福島原発事故後まもなく全て停止されている。そして、2013年に導入された、原発の新規制基準をクリアしなければ、再稼働は認められない状況であった。この間、発電源を輸入化石燃料による火力発電に頼ったことから、電力コストは福島原発事故以来20%以上も上昇している。しかしながら、世論調査の結果では、原発の安全性に不安を感じ、原発を永久に停止したままを希望している。」と報じた。
また、同日付
『ニューヨーク・デイリィ・ニュース』紙(
『AP通信』記事引用)は、「福島原発事故によって、放射能汚染を回避するため、10万人以上が棲家を追われている。しかし、安倍政権にとって、気候変動対応も含めた電源計画のために、原発の再稼働は必要不可欠としている。ただ、福島原発事故に伴う、30~40年掛かると言われる廃炉作業において、溶け落ちた核燃料棒の回収は困難を極めるもので、目下のところ2022年に漸く着手する見込みである。更に、専門家によれば、北部の六ヶ所村(青森県)にある核燃料サイクル施設が安全技術上の問題で停止しているため、使用済み核燃料が40トンにも上ってしまい、これらを再処理するために、少なくとも18機の原発の再稼働が必要となるという。」と伝えた。
新規制基準の下で、川内原発の安全性について審査した原子力規制委員会(規制委)は、一定規模の事故を受入れた上で安全性を審査しており、万一の場合でも、放射性物質の放出量が、福島の事故の際の1千分の1以下に抑えられると判断したという。しかし、絶対に安全だとはコミットできないとも付言しており、安倍政権が再稼働の拠り所とする規制委の判断は、残念ながら、“安全”を保証するものとは言えないだろう。
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米メディア;日経が世界最大の経済メディアグループに(2015/07/24)
日本経済新聞社(日経)は、英国の有力経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)を発行するFTグループを買収することで、同社の親会社である英ピアソンと合意した。8億4,400万ポンド(約1,600億円)でFTの全株式を取得する。メディアブランドとして、世界屈指の価値を持つFTを日経グループに組み入れ、グローバル報道の充実をめざすとともに、デジタル事業など成長戦略を推進するという。読者数で世界最大の経済メディアが誕生するが、米メディアも挙ってこのニュースを取り上げている。
7月23日付
『CBSニュース』(
『AP通信』記事引用)は、「FT、日経に13億ドルで売却」との見出しで、「FTの親会社のピアソンは7月23日、FTグループを日経に8億4,400万ポンド(13億ドル)で売却することに合意したと発表した。」とし、ピアソンの最高経営責任者(CEO)のジョン・ファロン氏のコメントを引用して、「我々は60年近くFTを保持してきたが、現在のメディア環境下にあっては、グローバルなデジタル・ニュース企業の一部になることが今後の繁栄につながると判断し、決断した。...
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7月23日付
『CBSニュース』(
『AP通信』記事引用)は、「FT、日経に13億ドルで売却」との見出しで、「FTの親会社のピアソンは7月23日、FTグループを日経に8億4,400万ポンド(13億ドル)で売却することに合意したと発表した。」とし、ピアソンの最高経営責任者(CEO)のジョン・ファロン氏のコメントを引用して、「我々は60年近くFTを保持してきたが、現在のメディア環境下にあっては、グローバルなデジタル・ニュース企業の一部になることが今後の繁栄につながると判断し、決断した。」と報じた。
同日付
『ニューヨーク・デイリィ・ニュース』紙(
『ロイター通信』記事引用)は、「日経、ピアソンからFTを買収」との見出しで、「創立171年の英ピアソンが、教育関係に事業を集中させるため、ここ数年、FTを売却するのではないかとの噂話が出ていた。なお、日経の競合先に、独アクセル・シュプリンガー社も交渉相手と言われていた。」とし、日経会長の喜多恒雄氏のコメントを引用して、「我々は、世界で最も名声の高いFTと同じチームを組むことに誇りを持っている。」と伝えた。
また、同日付
『ブルームバーグ』は、「日経に売却されるのはFTグループ(FT紙、ウェブサービス、雑誌など)で、ピアソンが50%出資する、英経済誌
『エコノミスト』やFTのロンドン本社ビルは含まれない。なお、7月23日午後のピアソン株価は2.2%上昇したが、(日経との買収競争に敗れた)シュプリンガー社の株価は0.2%下落した。」と報じた。
更に、同日付
『ロス・アンゼルス・タイムズ』紙は、「1888年創刊のFTは、紙媒体の発行部数減という新聞業界の長年の問題に対応するため、2007年に先陣を切ってデジタル版の発行に踏み切った。そして2012年には、デジタル版の営業収入が紙媒体より多くなり、更に、紙・デジタル版合計の販売収入が広告収入を越えた。なお、昨年の発行部数は73万7,000部と、直近5年で30%増え、デジタル版の購読者が24%から70%に増加している。」と伝えた。
一方、同日付
『ニューヨーク・タイムズ』紙はそのオピニオンページで、「FTが日経傘下になることは、広告収入に捕われない、編集者本位の経営戦略が継続されるということで、良い結果をもたらすと信じる。8億4,400万ポンドという買収金額は多額であるが、昨年のFTの営業収入(2,400万ポンド)の35年分相当であり、今後の利益成長を見込めば、決して高い買い物ではないと思われる。」と歓迎している。
因みに、2007年にメディア王のルパート・マードック氏(ニューズ・コーポレーション及び21世紀フォックスCEO、84歳)がウォール・ストリート・ジャーナルを所有するダウ・ジョーンズ社を買収したときの価格は50億ドル(約6,150億円)で、また、2013年にアマゾンCEOのジェフ・ペゾス氏(51歳)がワシントン・ポスト紙を買収したときは2億5,000万ドル(約308億円)であった。
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