プーチン大統領の熱狂的信奉者のひとりであるチェチェン共和国首長が引退をほのめかす発言【米・英・ロシアメディア】(2017/11/28)
ウラジーミル・プーチン大統領は、経済制裁の標的とされていることから、欧米諸国から余り支持されていないと言える。また、同大統領がロシア首相職に就いていた際、第二次チェチェン紛争(注後記)を、非人道的爆弾等を投入したりして無理やり収束させた経緯から、欧米や人権団体から人権侵害だとも非難されている。一方、チェチェン共和国代表としては、プーチン大統領の支援もあって現在の和平が実現できていることから、同大統領のためなら死をも厭わないと、熱烈信奉者であることを公言してやまない。しかし、同国代表がこの程一線から退くことをほのめかす発言をするに至り、もしそれが真実なら、プーチン大統領としては哀愁を感じざるを得ないのではなかろうか。
11月27日付米
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「チェチェン共和国首長が引退をほのめかす発言」
チェチェン共和国のラムザン・カディロフ首長(41歳)は11月27日朝、ロシア連邦内の共和国首脳としての責任が重くのしかかってきており、一線から退くことを考えている旨語った。
同首長は、2004年に暗殺されたアフマド・カディロフ大統領(当時)の息子で、以前は反政府勢力に属していたが、その後変節してロシア政府に忠誠を尽くしている。...
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11月27日付米
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「チェチェン共和国首長が引退をほのめかす発言」
チェチェン共和国のラムザン・カディロフ首長(41歳)は11月27日朝、ロシア連邦内の共和国首脳としての責任が重くのしかかってきており、一線から退くことを考えている旨語った。
同首長は、2004年に暗殺されたアフマド・カディロフ大統領(当時)の息子で、以前は反政府勢力に属していたが、その後変節してロシア政府に忠誠を尽くしている。
なお、同首長は、プーチン大統領は自身の“アイドル”であり、同大統領のためなら死をも厭わないとも語った。
一方、ドミトリィ・ペスコフ大統領府報道官は、カディロフ首長はまだ現職に留まることになると淡々と表明した。同首長の発言を軽視するようなロシア政府の対応は、これまで同首長が、チェチェン共和国の特権や助成金などを要求するに当って、しばしば引退をほのめかしてきたからだとみられる。
同日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『ロイター通信』配信):「チェチェン共和国首長、人心刷新が予想される中、プーチン大統領のためには死をも厭わないと発言」
ロシア大統領選が来年行われるが、それを契機に多くの指導者・政治家らの人心刷新が行われることになる。
このため、自身の生き残りを画策してか、チェチェン共和国のカディロフ首長が11月26日夜の国営テレビに登場し、プーチン大統領のためなら死をも厭わないと語った。同首長はこれまでも、自身はプーチン大統領の一歩兵とも言い切る等おもねる発言をしている。
同首長は昨年、プーチン大統領の支援もあって再選(任期5年)されているが、ロシア政府は同時に、チェチェン共和国にもロシア連邦法を厳しく適用していくとも示唆していた。
なお、同首長は最近、拷問やゲイの抹殺を標榜しているとして人権団体から非難されている。
同日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「“その時が来た”と、チェチェン共和国のカディロフ首長が引退をほのめかす」
チェチェン共和国のカディロフ首長は11月26日、ロシアテレビのインタビューに答えて、(欧米諸国からの非難があることについて)自身に非難がきているとすれば、それは個人の犯罪等の問題ではなく、ロシア連邦やチェチェン共和国のために忠実に尽くしていることから来るものであろうから、何ら気にするものではないと明言した。
同首長は昨年9月、ロシア政府支援もあって、ほぼ無投票で首長に再選されている。そしてその前後に同首長は、もしプーチン大統領から一線を退けと命令されるなら、喜んでそれに従うと発言していた。しかし、実際にはモスクワから命令など出ないこともあって、“辞める”と言いながらも、いつも現職に留まってきている。
(注)第二次チェチェン紛争:チェチェン独立派勢力(中心は独立最強硬派武装勢力のイスラム国際戦線)と、ロシア人及びロシア連邦への残留を希望するチェチェン共和国のチェチェン人勢力との間で1999年に発生した紛争(第一次チェチェン紛争は1994~1996年)。2009年4月、ロシア国家対テロ委員会が、独立派の掃討が完了したとして対テロ作戦地域からの除外を発表、10年の長きにわたった紛争は終結。
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イラン、国連監視団による”核合意履行中”のお墨付きを得て、核合意非難のトランプ大統領を孤立化【米・英・フランス・ロシアメディア】(2017/11/16)
イランは、今年最悪と言われる大地震の被害に遭っている。しかし、その中にあって、グッドニュースとしては、国連傘下の国際原子力機関(IAEA)がこの程、2015年締結のイラン核合意に記された義務が履行されていることを確認したことであろう。これによって、イラン核合意の意義を否定しているドナルド・トランプ大統領を孤立化し、国際社会からの経済的支援等が増々得られることが期待されるからである。
11月13日付米
『AP通信』:「国連監視団、イラン核合意の履行を確認した旨報告」
国連傘下のIAEAは11月13日、2015年に欧米6ヵ国との間で締結したイラン核合意に関し、イランが義務を履行していることを確認した旨公表した。
IAEAの天野之弥事務局長は、イラン核合意に記された義務の完全履行が重要であるとした上で、現在はイランが完全に遵守していると述べた。...
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11月13日付米
『AP通信』:「国連監視団、イラン核合意の履行を確認した旨報告」
国連傘下のIAEAは11月13日、2015年に欧米6ヵ国との間で締結したイラン核合意に関し、イランが義務を履行していることを確認した旨公表した。
IAEAの天野之弥事務局長は、イラン核合意に記された義務の完全履行が重要であるとした上で、現在はイランが完全に遵守していると述べた。
なお、IAEAは昨年、核弾頭に転用可能なプルトニウム生産に必要な重水貯蔵量が僅かながら上限を超えていると報告していた。しかし、今回の調査で、最大130トンとの制限以下となっていることを確認している。
同日付英
『デイリィ・メール・オンライン』(
『ロイター通信』配信):「国連監視団、イランが核合意を遵守していると報告」
IAEA報告によれば、低濃縮ウラン貯蔵量が96.7キログラムと、上限より202.8キログラムも下回っており、また、プルトニウム再生に必要な重水量も114.4トンと、同じく制限の130トンを下回っていたという。
なお、今回のIAEA調査報告は、ドナルド・トランプ大統領が先月、イラン核合意は“過去最悪の合意”だとして離脱をほのめかす発言をして以来、初めて公表されたものである。
同日付フランス
『フランス24』オンラインニュース(
『AFP通信』配信):「国連監視団、イランが核合意遵守と報告」
IAEA調査報告は、四半期に一度確認・報告されている。
同報告では、低濃縮ウラン貯蔵量、重水量の他、中部ナタンズにある濃縮施設の遠心分離器の稼働状況についても、イラン核合意で定められた規定以下となっていることが確認されている。
11月14日付ロシア
『RT(ロシア・トゥデイ)テレビニュース』:「イラン核合意改定を求める声の中、国連監視団がイラン核合意遵守を確認」
トランプ大統領は10月13日、イラン核合意は“過去最悪の協定”と非難していた。そして、フランスのエマニュエル・マクロン大統領もアラブ首長国連邦を訪問中の11月10日、中東の“北朝鮮化”を防ぐため、イラン核合意の改定が必要とほのめかしている。
イランの外務省報道官は即座に、フランスの主張は原子力プログラムと弾道ミサイル開発を混同していると批評した上で、イラン核合意は改定不可のものであり、かつ、新たな条件を追加することも認められないと訴えた。
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