米・英・ドイツ・スペイン・中国メディア;トランプ政権の労働長官候補が指名辞退(2017/02/17)
今週初め、トランプ政権の重要閣僚のひとつである財務長官の指名が、漸く上院本会議で承認された。しかし、政権発足後1ヵ月近くが経っても、閣僚15人のうち、依然6人の人事案が承認されない異例の事態となっている中、労働長官に指名されていた、米大手ハンバーガーチェーン経営者のアンドリュー・パズダー氏が、不法移民を家政婦として雇っていたこと等で、与党共和党議員からも十分な支援が得られなくなったことから、指名を辞退することになった。今週初めに、マイケル・フリン大統領補佐官(国家安全保障担当)が辞任したばかりであり、トランプ政権にとっては更に大きな痛手となるとみられる。
2月15日付米
『Foxニュース』:「労働長官指名辞退で、新たに4人の候補者登場」
「●ドナルド・トランプ大統領から労働長官に指名されていた、ファースト・フードチェーン経営者のアンドリュー・パズダー氏は2月15日、突然その指名を辞退すると表明。
●同氏には、不法移民を家政婦に使っていたことなどの批判があり、上院共和党議員の“十数名”が賛成票を投じるのを保留するとの逆風。
●民主党議員らは、賃金の安い不法移民を雇用したり、連邦最低賃金を上げようという動きを封じようとしていたことから、労働長官には不適格と評価された同氏の指名辞退を歓迎。...
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2月15日付米
『Foxニュース』:「労働長官指名辞退で、新たに4人の候補者登場」
「●ドナルド・トランプ大統領から労働長官に指名されていた、ファースト・フードチェーン経営者のアンドリュー・パズダー氏は2月15日、突然その指名を辞退すると表明。
●同氏には、不法移民を家政婦に使っていたことなどの批判があり、上院共和党議員の“十数名”が賛成票を投じるのを保留するとの逆風。
●民主党議員らは、賃金の安い不法移民を雇用したり、連邦最低賃金を上げようという動きを封じようとしていたことから、労働長官には不適格と評価された同氏の指名辞退を歓迎。
●なお、トランプ政権は早速、サウスカロライナ州の労働長官やミシガン州立大学の労働関係学教授等4人をリストアップ。」
同日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「トランプ氏が労働長官に指名したアンドリュー・パズダー氏が指名辞退」
「●パズダー氏の悪評が話題に上るにつれて、上院公聴会で彼の信任について協議する機会が順延されていたが、与党共和党議員の少なくとも12人が同氏支持を保留、もしくは反対するだろうとの情報に至り、同氏は指名辞退の選択を余儀なくされたと推測。
●すなわち、教育長官候補のベッツィ・デボス氏が、上院本会議議長のマイク・ペンス副大統領の賛成投票で辛くも指名獲得できたことがあったが、パズダー氏についてはその望みもないとの判断。」
同日付ドイツ
『DW(ドイツ通信)』:「トランプ米大統領が労働長官に指名したアンドリュー・パズダー氏が指名辞退」
「●パズダー氏が
『AP通信』に語ったところによれば、トランプ大統領から指名を受けたことは栄誉に感じており、今回指名を辞退するものの、引き続きトランプ政権の政策を支援していきたい、とコメント。
●同氏の指名辞退の僅か2日前に、トランプ大統領側近のマイケル・フリン大統領補佐官(安全保障担当)が辞任を発表したばかり。」
2月16日付スペイン
『エージェンシアEFE通信』:「トランプ政権の労働長官候補、支援不足で指名辞退」
「●パズダー氏の指名辞退は、2月16日に予定されていた上院健康・教育・労働・年金委員会の公聴会開催の直前。
●同氏については、16年以上最高経営責任者の任にあったCKEレストラン・ホールディングス社(カールズジュニア、ハーディーズ・ハンバーガーチェーン保有)の従業員組合からも、低賃金の不当労働を強いていたと厳しい非難。
●大統領選民主党候補としてヒラリー・クリントン氏と最後まで争ったバーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)は、自身の経営する会社の従業員から支持されていないパズダー氏が、労働者の権利を擁護する責任のある労働長官になるのは不適切であったので、彼の指名辞退は賢明なこととコメント。」
同日付中国
『チャイナ・デイリィ』(
『新華社通信』配信):「米労働長官指名のアンディ・パズダー氏が辞退」
「●地方紙に寄せた声明文でパズダー氏は、熟慮し、また家族とも話した結果、労働長官指名を辞退することを決めた、と記載。
●トランプ政権の主要閣僚候補としては初めての指名辞退。
●同氏の支援に消極的な共和党議員は、同氏が雇用していた不法移民に関わる税金を過去5年間も滞納していたことを問題視。」
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米・英・ドイツ・ロシアメディア;トランプ政権の財務長官が漸く就任(2017/02/14)
2月9日付
Globali「トランプ政権の司法長官が漸く就任」の中で、“この程漸く、ジェフ・セッションズ上院議員の司法長官就任が上院本会議で可決されたが、トランプ政権下の15閣僚のうち依然6人目の就任である”と報じた。そして5日後の2月13日、今度はスティーブン・ムニューチン氏の財務長官就任が承認され、無事就任した。
2月13日付米
『AP通信』:「上院本会議、元銀行家のムニューチン氏の財務長官指名を承認」
「●ドナルド・トランプ大統領より財務長官に指名されていたスティーブン・ムニューチン氏が2月13日晩、上院本会議において53:47票の僅差で承認を獲得して、同日同長官に就任。
●上院民主党はこれまで、同氏がワンウェスト銀行(注後記)代表だったとき、“差し押さえのゴリ押し”を行っていたとして非難し、また、上院金融委員会での指名公聴会で、およそ1億ドル(約114億円)の資産内容公開に応じなかったことも理由にして、指名に強く反対。...
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2月13日付米
『AP通信』:「上院本会議、元銀行家のムニューチン氏の財務長官指名を承認」
「●ドナルド・トランプ大統領より財務長官に指名されていたスティーブン・ムニューチン氏が2月13日晩、上院本会議において53:47票の僅差で承認を獲得して、同日同長官に就任。
●上院民主党はこれまで、同氏がワンウェスト銀行(注後記)代表だったとき、“差し押さえのゴリ押し”を行っていたとして非難し、また、上院金融委員会での指名公聴会で、およそ1億ドル(約114億円)の資産内容公開に応じなかったことも理由にして、指名に強く反対。
●ムニューチン氏は、米金融大手ゴールドマン・サックスの元共同経営者で、大統領選においてトランプ陣営の資金管理統括を担当。
●一方、2月13日の上院本会議で、退役軍人省長官にデビッド・シュルキン氏(オバマ前政権時代の同省次官)が全会一致で指名承認獲得。
●多くのトランプ政権閣僚が、共和党の多数票(52票)のお蔭で何とか可決承認されている中、シュルキン氏は民主党議員も指名支持。」
2月14日付英
『BBCニュース』:「トランプ氏、ムニューチン氏は減税と雇用促進に取り組むと表明」
「●トランプ大統領はムニューチン氏の財務長官就任に当り、今後減税と雇用促進に注力してもらうと表明。
●同氏も、雇用増大とテロリストの資金源遮断を成し遂げると宣言。
●同氏と同様、ゴールドマン・サックスの元共同経営者だったゲーリー・コーン氏は、トランプ政権の国家経済会議議長に就任。」
同日付ドイツ
『DW(ドイツ通信)』:「ウォール街の元銀行家のムニューチン氏が米財務長
官に就任」
「●トランプ政権が、“米国第一主義”との号令の下、どのように世界金融政策を取り進めていくのかと、中国・メキシコ・欧州から不安と疑問の声が上がっているが、ムニューチン氏は今のところ詳細方針を開示せず。
●なおムニューチン新長官には、トランプ大統領が標榜している、2010年制定のドッド・フランク法(2007~2009年発生のサブプライム・ローン問題で制定)の改定による金融規制緩和、米輸出高増加のための米輸入品へ課税する国境税の導入、更に、ロシアを含めた経済制裁等について、具体的に取進めていく責任。」
同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「米上院本会議、
スティーブ・ムニューチン氏の財務長官指名を承認」
「●米上院金融委員会(共和党多数派)は2月1日、ムニューチン氏の指名承認投票実施を取り止め、本会議での指名承認手続きに進むことを強行。
●ただ、上院本会議では、53:47票の僅差の承認。」
(注)ワンウェスト銀行:米国の貯蓄金融機関で、前身は、2007年に始まる金融危機でリーマン・ショックに先立ち大規模な破綻を起こしたインディマック銀行であり、破綻後連邦預金保険公社によって設立されたブリッジバンク。2009年にムニューチン氏ら実業家グループが買収し、ワンウェスト銀行に改名。
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