米メディア;新国立競技場に続き、五輪ロゴも白紙に!(2015/09/02)
7月21日付「安倍首相、新国立競技場では民意の声を聴く?」の中で、“東京オリンピック・パラリンピック用開会式会場となる新国立競技場について、文部科学省、日本スポーツ振興センター(JSC)が10日前に総工費2,520億円を正式決定していたが、民意の声を聴き入れたのか、安倍首相は唐突に、同競技場建設計画を初めから見直すことを決めた”と報じた。そして今度は、オリンピック・パラリンピックのロゴの白紙撤回である。デザイナー自身が、盗作疑惑等のトラブルのため、これ以上オリンピック・パラリンピックに迷惑はかけられないとして、同ロゴの取り下げを申し出たことから、ロゴの白紙撤回、再公募という異例な事態となっている。米メディアは、事実を淡々と伝えることで、日本に対する信頼性の毀損と、責任の所在のあいまいさを浮き彫りにしている。
9月1日付
『シカゴ・トリビューン』紙は、「東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は9月1日、佐野研二郎氏デザインのロゴを白紙撤回すると発表した。同委員会が、佐野氏デザインの盗作疑惑を否定する旨表明してから僅か4日後のことである。なお、佐野氏は、ベルギーの劇場のロゴが盗作されたと訴えているデザイナーのオリビエ・ドビ氏の主張は、事実と異なると否定しているが、その他の作品や、今回のロゴの応募資料に不適切な行為があったことは認め、オリンピック等へのイメージに悪影響を与えたくないとして取り下げを決定したとしている。...
全部読む
9月1日付
『シカゴ・トリビューン』紙は、「東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は9月1日、佐野研二郎氏デザインのロゴを白紙撤回すると発表した。同委員会が、佐野氏デザインの盗作疑惑を否定する旨表明してから僅か4日後のことである。なお、佐野氏は、ベルギーの劇場のロゴが盗作されたと訴えているデザイナーのオリビエ・ドビ氏の主張は、事実と異なると否定しているが、その他の作品や、今回のロゴの応募資料に不適切な行為があったことは認め、オリンピック等へのイメージに悪影響を与えたくないとして取り下げを決定したとしている。」と報じた。
同日付
『AP通信』は、「安倍首相は、(ロゴの白紙撤回を)妥当な決定であり、オリンピックは全国民から祝福されなければならないとコメントした。一方、日本オリンピック委員会の竹田会長は、ロゴが正式に発表されて僅か1ヵ月で白紙撤回とは、信用の失墜は計り知れず、関係者に経緯の詳細な説明を求めたいと批判した。また、東京都の舛添知事も、佐野氏に裏切られた気持ちであり、是非とも当人から説明を受けたいと非難した。」と伝えた。
また、同日付
『ワシントン・ポスト』紙は、「ロゴの白紙撤回というような大失態は初めてではない。日本のオリンピック・パラリンピック組織委員会は7月、新国立競技場の建設コストが20億ドル(2,520億円)まで膨れ上がったことを理由に、白紙撤回しており、東京オリンピックへの想いは益々毀損されている。なお、新国立競技場の建設計画は一年遅れとなっており、国際オリンピック委員会が求める、開会式会場の2020年1月引き渡し要請には応えられないおそれがある。」と報じた。
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の武藤事務総長は9月1日の記者会見で、白紙撤回の理由を、盗作、模倣の疑義は否定するものの、一般国民の理解が得られなくなったからと述べている。これでは、新国立競技場の見積り費用暴騰問題と同様、責任の所在がぼかされ、国民の非難の声があったから撤回したと、あたかも国民に責任を背負わせる言動となっている。しかも、かかった費用は軽微で、新国立競技場と同様に考えるのは無理があるとも弁解している。新国立競技場の白紙撤回で、既払い額のうち、回収不能な金額は60億円前後と言われるため、確かにそれより低いかも知れないが、“卓越した計画性と注意深さで知られる国”の信用が毀損したことは計り知れない損失である。更に、一社150億円前後と言われるゴールデンパートナー13社のうち、既に11社は同ロゴをテレビCMやホームページなどで使用しており、修正等の費用は“軽微”ではないはずで、損害賠償請求されてもおかしくはない。日本のリーダーの中に、責任の重さとか、税金は誰のものか等、よく判っていない人が少なくないことは、非常に残念なことである。
閉じる
米メディア;安倍首相、新国立競技場では民意の声を聴く?(2015/07/21)
安全保障関連法案を強行採決、原発再稼働容認、普天間飛行場の辺野古移設に固執と、メディアの世論調査で多くが反対、もしくは疑問の声を挙げているのに、安倍政権は全く聴く耳を持たないと非難されている。しかし、東京オリンピック・パラリンピック用開会式会場となる新国立競技場については、文部科学省、日本スポーツ振興センター(JSC)が10日前に総工費2,520億円を正式決定していたが、民意の声を聴きいれたのか、安倍首相は唐突に、同競技場建設計画を初めから見直すことを決めた、と米メディアも驚きを持って報じた。
7月17日付
『タイム』誌は、「安倍首相は7月17日、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設について、総工費が暴騰したことを理由に、自転車レーサーのヘルメットに似たデザイン(イラク系英国人のザハ・ハディド氏設計)の同計画を元からやり直すことを決めたと発表した。これによって、2019年開催予定のラグビー・ワールドカップには間に合わなくなるが、同首相は、2020年には間に合わせると述べた。...
全部読む
7月17日付
『タイム』誌は、「安倍首相は7月17日、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設について、総工費が暴騰したことを理由に、自転車レーサーのヘルメットに似たデザイン(イラク系英国人のザハ・ハディド氏設計)の同計画を元からやり直すことを決めたと発表した。これによって、2019年開催予定のラグビー・ワールドカップには間に合わなくなるが、同首相は、2020年には間に合わせると述べた。」と伝えた。
7月18日付
『シカゴ・トリビューン』紙(
『AP通信』記事引用)は、「国際オリンピック委員会(IOC)の東京開催実行委員会のジョン・コーツ委員長は、日本の決定は尊重するが、本番に支障が出ないよう完工させるよう望むと発言した。IOCは昨年、オリンピック開催総経費の削減と、競技場の長期有効利用を開催都市に求める“オリンピック・アジェンダ2020”を採用している。」とし、「原案は、2012年の国際コンペティションの結果採用され、今年の10月から建設工事が始まる予定であった。なお、もし計画どおりに建設されれば、米ニュージャージー州のメットライフ競技場(注後記)の建設費16億ドル(約1,970億円)を抜いて世界一豪華なスポーツ用施設になるところであった。」と報じた。
また、同日付
『USAトゥデイ』紙(
『AP通信』記事引用)は、「IOCのトーマス・バッハ会長は7月18日、今回の計画変更があっても、日本は主会場建設を2020年までに十分間に合わせ得ると信じるとコメントした。なお、日本政府は何週間も、総工費が世界一となる競技場建設に固執していたが、国内からの非難の声に反応して、突然計画を白紙に戻した。菅官房長官は、原案の設計事務所との契約はキャンセルし、今後6ヵ月以内に新たな国際コンペティションを開き、新計画を決定するとコメントした。」と伝えた。
(注)メットライフ競技場:2010年4月開場のアメリカン・フットボール競技場で、ナショナルリーグのニューヨーク・ジャイアンツとニューヨーク・ジェッツが本拠地としている。2014年2月にはスーパーボール(同フットボールの年度優勝決定戦)が開催された。収容能力は82,566人。
閉じる
その他の最新記事