11月16日付米国
『CBS』は「パンデミックの中、客寄せにやって来るサンタ」との見出しで以下のように報道している。
パンデミックの中でも、モール側は今年もサンタを呼ぶ予定だという。だが重症化するリスクが高い高齢男性のサンタの膝に座るのを禁止するなどの安全確保を行っている。子ども達は、6フィート離れ、仕切り版越しにプレゼントをお願いすることとなる。全員がマスクを着け、写真撮影時にもマスク着用が求められる。
他の安全対策としては、行列回避のためオンライン予約、店員はオーナメントを定期的に消毒し、手の消毒剤も十分確保する。集団を避け時間も短縮。
Macy’sは、ニューヨークの主な店舗で、25万人以上が参加するイベントは安全な環境確保が出来ないとして、対面でのサンタ訪問を今年中止した。
客を呼び寄せたいショッピングモールでは、かきいれ時となる季節の一大行事の伝統を崩さないよう試行錯誤をしている。昨年は1000万人以上の世帯がモールや店舗のサンタイベントに参加。そのうち約73% が、近辺の飲食店やショップを利用しているという。
ステイホームの人が多いことから、チェリーヒルプログラム社は、Zoom電話を初めて取り入れた。ブルックフィールドは、バーチャルサンタ企業「JingleRing」と提携し、家にいながらサンタと会話できるサービスを行っている。
11月15日付米国『シカゴ・トリビューン』は「パンデミックの中、サンタクロースのモール訪問は異例づくし」との見出しで以下のように報道している。
コロナ禍のクリスマスでは工夫が行われている。イリノイ州の規制では、サンタも子どもも、直接交流する際、マスクを着用する必要がある。シカゴ近郊のモールでは、距離を保ちつつ、子どもと交流できるよう準備を整えている。期間も短く設定。11月上旬からサンタは回り始めるが、今年は下旬開始となる。事前予約でモールで並ばずに済む。
イリノイ州のオークブルックセンターでは、温かなテントでビンテージのそりに座り、距離を保ちサンタと写真を撮る事が出来る。170 のセンターやモールを持つブルックフィールド・プロパティは、クリスマスは大切な伝統のため続けていきたいとする。サンタと子どもの間にプラスチック板を置く小売店もある。
ブルックフィールドプロパティのモールでは、オンラインサービス「JingleRing」を使い、バーチャルサンタ訪問を企画。画面越しのサンタは臨場感に欠けるが、バーチャル訪問もより親密な一体感を演出できるという。読み聞かせる話に合わせ、言語、人種、宗教色の度合いを選ぶこともできる。
閉じる
ファッション(服装や装身具等の流行)はよくその時代を表すと言われている。ただ、その時々に流行った食事も時代を映す鏡だとして、米メディアが直近100年を振り返って報じている。
8月21日付
『ニューズウィーク』誌:「食事も時代を映す鏡」
ファッションはよくその時代や世代を表すと言われている。しかし、多くの人が気付いていないが、食事も服装と同様、その時々の流行を映し出している。
例えば、1960年代には、ベルボトム(パンタロン・ラッパズボン)、ゴーゴー・ブーツ(踵の低い脹脛高さのプラスチック製ブーツ)、ローウェスト・ドレスが流行ったが、当時の食卓には甘くておいしいゼラチン・ベースの食べ物が並んだ。
1970年代には、ペザント・ブラウス(身頃と袖がゆったりした欧州の農民風のブラウス)、ミリタリージャケット、フレイド・ジーンズ(裾を擦り切れ状にしたジーンズ)とともに、ダイエット食品や産地直送の食物が人気であった。
そして、1980年代には、体にぴったりしたスパンデックス製(ポリウレタン弾性繊維)のエアロビクス・スーツや人目を引くジャンプスーツ(シャツとズボンが一続きになった婦人服)が流行ったように、見た目の美しさを追及して、ダイエット・コークをちびちび飲みながらリーン・クイジン(北米で売られたローファット、低カロリーの料理銘柄)を食べることが流行した。
ただ、これまでの流行を見てみると、ファッションは十数年から数十年単位で流行が繰り返される傾向にあるのに対して、食事の方は革新的に次から次へと新しい物が流行ってきていると言える。
例えば、人気商品のビックマック(マクドナルドの商品)は、その10年以上前にワッパー(バーガーキングの商品)が発売されていなければ、この世に出ていなかったかも知れない。
なお、1921~2020年に流行った食べ物の歴史を辿るに当たって、新聞・生活雑誌(ニューヨーク・タイムズ、シカゴ・トリビューン、アトランティック、ビジネス・インサイダー等)及び食べ物専門誌(イーター、キッチン、テイスト・オブ・ホーム、デイリィ・ミール)等を参考にした。
その結論として、直近1世紀余りにわたり、クラフト・フーズ(2012年創業、チーズ・乳製品が主力)、ペッパーリッジ・ファーム(1937年創業、クッキー・ビスケット等のスナック菓子)、マクドナルド(1940年創業、ファーストフード・チェーンストア)、マース(1911年創業、ペットケア・チョコレート製品が主流)、コカ・コーラ(1892年創業、清涼飲料水)が私たちに流行りの食べ物を提供してきてくれたことが分かった。
1921年:冷蔵庫が開発・販売され、家庭で食物を新鮮に保つことが可能となり、食生活に変化。
1923年:マース社がミルキーウェイ・キャンディ(チョコレートバー)を発売。
1925年:スピークイージー(注1後記)で出される、フィンガーフード(指で摘まんで食べるオードブル等)が流行り。
1933年:ビタミンD(カルシウムの働きに関わり、骨などの健康に関与する栄養素)入りミルク販売開始。
1936年:健康食品専門ストアが開業。
1937年:クラフト・フーズが箱入りマカロニ・アンド・チーズ(グラタン料理)を発売。世界恐慌(1929~1930年代後半)下にあって大人気に。
1942年:ビタミン等の栄養素入りホワイトブレッドが流行。
1944年:世界初の冷凍食品(肉・ポテト・野菜料理)発売。特に航空会社や海軍の需要大。
1957年:バーガーキング(1954年創業)がワッパーを発売。
1960年:ゼラチン・ベースのデザートが登場。
1963年:米食品・医薬品局(FDA、1906年設立)が、ペスト菌除去のために放射線照射の小麦・小麦粉発売を許可。
1968年:マクドナルドがビッグマックを発売開始。
1971年:カリフォルニア州のシェ・パニーズ・レストラン(1971年創業)が産地直送・オーガニック食材使用の食事を提供開始。今現在も、予約の取りにくい店として繁盛。
1973年:1910年代にサンフランシスコの日本庭園内の茶屋で日系人が始めたフォーチュン・クッキー(注2後記)を、中国人経営者が再開。
1977年:政府指導もあって、ローファット・ダイエットフードが市場を席捲。
1979年:米国生まれの巻き寿司、カリフォルニア・ロールがロスアンゼルスのレストランで誕生。
1982年:コカ・コーラがダイエット・コークを発売開始。
1983年:電子レンジで簡単にできるポップコーンが売り出され、3年後には映画館での定番メニューとして大人気商品に。
1985年:FDAが、寄生虫を抑えるために放射線照射の豚肉販売を許可。
1990年:食品に栄養素・成分の表示を義務化する法律が施行。
1994年:FDAが遺伝子組み換え食品の製造・販売を認可。
1995年:クラフト・フーズが冷凍ピザを発売開始。
2001年:ピザハット(1958年創業)が、宣伝を兼ねて国際宇宙ステーション(ISS、1998年打ち上げ、注3後記)にピザを宅配。総費用は100万ドル(約1億700万円)。
2002年:農務省(1862年設立)が、化学肥料・農薬不使用が守られた作物のみにオーガニック・シール貼付による表示を義務化。
2007年:ロカボア(地産地消主義者)がオックスフォード大学出版局(1896年設立)により“時の言葉(流行語のようなもの)”に選出。
2008年:リーマンショックに端を発した世界金融危機によって、世界の食品価格が45%も高騰。
2010年:インスタグラム普及によって、顧客受けするよう、食品製造会社・レストランなどが色使い等見栄えの良い商品・メニューに注力。
2012年:ミールキット(注4後記)が爆発的人気に。3年後には10億ドル(約1,070億円)規模まで拡大。
2014年:米国成人の半分以上が1日平均2.8個のスナック菓子を消費。4年前から倍増。
2016年:ホール30ダイエット(注5後記)がグーグル検索で急上昇する程トレンドに。
2018年:植物由来のミルクに切り替える人が増え、動物由来のミルク製品の売り上げが11億ドル(約1,177億円)も急落。
2019年:健康志向の高まりより、バーガーキング(1954年創業)、ダンキンドーナッツ(1950年創業)等がベジタリアン用に植物由来のフェイクミートの食品を提供開始。
2020年:新型コロナウィルス感染流行問題より、外出自粛、景気後退等より、外食費削減、自宅でのパン食等の生活が常態化。
(注1)スピークイージー:アルコール飲料を密売する場所。米国で禁酒法が施行されていた時期(1920年から1933年の間で、州によってはもっと長い)に隆盛していて、この時期の米国ではアルコール飲料は販売も生産も輸送(密輸)も禁止されていた。
(注2)フォーチュン・クッキー:1800年代の江戸時代に日本で誕生したおみくじ入り菓子で、米国移民の日系人が1910年代にサンフランシスコで売り出し始め盛況に。ただ、第二次大戦で捕虜収容所に捕らわれ、日系人の店が閉店したことから、代わって中国人が再開。
(注3)ISS:米国、ロシア、日本、カナダ及び欧州宇宙機関が協力して運用している宇宙ステーション。地球及び宇宙の観測、宇宙環境を利用した様々な研究や実験を行うための巨大な有人施設で、地上から約400km上空を時速約2万7,700キロメートル(秒速約7.7キロメートル)で周回(約90分で1周)。
(注4)ミールキット:料理に必要な食材と料理の作り方(レシピ)がまとめて用意された一式のこと。レシピに沿って調理すれば料理が完成する。宅配サービスなどを通じて提供されることが多く、献立に迷ったり、買い物に行ったりする手間を省いて手料理が作れる。
(注5)ホール30ダイエット:アルコール、砂糖、穀物、豆類、乳製品、添加物を30日間食事から切り取ることを奨励して行うダイエット・プログラム。
閉じる