3月18日現在、猛威を振るう新型コロナウィルス感染は世界154ヵ国に及び、感染者19万8,004人、死者7,948人となっている(米ジョンズ・ホプキンス大学内研究機関集計データ)。ただ、発症源の中国での感染の収束が見えたためか、中国政府は、米国からの初期対応失敗や隠蔽体質との非難に対して、米軍がウィルス禍を持ち込んだとまで言い出している。その勢いからか、人民解放軍(PLA)までも、相変わらず台湾問題、南シナ海領有権争いで余計な口出しをする米軍に一泡吹かせようとしている、と報じられている。
3月17日付
『ブライトバート』オンラインニュース:「中国、南シナ海において米軍艦に対して電磁波攻撃示唆」
中国国営『環球時報』に3月17日付で掲載された記事によると、中国軍事評論家の意見として、新型コロナウィルス感染問題で中国の威信が問われる中、むしろかかる時期であるからこそ、PLAとして、中国主権下にある台湾近海や南シナ海に出没する米軍艦に対して、電磁波パルス兵器(EMP、注1後記)で武力による威信を示すことが肝要だとしている。...
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3月17日付
『ブライトバート』オンラインニュース:「中国、南シナ海において米軍艦に対して電磁波攻撃示唆」
中国国営『環球時報』に3月17日付で掲載された記事によると、中国軍事評論家の意見として、新型コロナウィルス感染問題で中国の威信が問われる中、むしろかかる時期であるからこそ、PLAとして、中国主権下にある台湾近海や南シナ海に出没する米軍艦に対して、電磁波パルス兵器(EMP、注1後記)で武力による威信を示すことが肝要だとしている。
中国軍事評論家の孫風凰(ソン・チョンピン)氏が同紙に語っているコメントは以下のとおりである。
・中国主権の台湾近海や南シナ海に、事前許可なく現れる米軍艦に対して発砲したり、また、体当たりをすることは、米軍艦側から攻撃を仕掛けてきたのでなければ、勧められない。
・1988年に黒海で発生した、ソ連(当時)領海内を無害通航(注2後記)しようとした米軍艦にソ連軍艦が体当たりする事件が発生し、冷戦下にあった両国に新たな緊張が高まったことから、この事態は避ける必要がある。
・そこで推奨されるのがEMP攻撃で、これなら米軍艦の乗員や設備に損傷を与えず、ただ、その計器類に支障をきたすだけなので、非常に効果的である。
・今年2月、PLA軍艦がグアム沖で通常の訓練航海をしていた際、何回も異常接近を繰り返した米軍哨戒機にレーザー照射を浴びせたが、米軍側に何ら人的・物的被害は発生しておらず、EMPはこれを更に有効化するものである。
新型コロナウィルス感染問題発生源である中国は、米側が初期対応の失態や隠蔽体質を非難したことに対して、米陸軍の秘密部隊が同ウィルスを持ち込んだとの荒唐無稽の反論を持ち出す程、不誠実な国である。
そして、中国側の言い分として、同紙は更に、“3月10日に米軍ミサイル駆逐艦が南シナ海の中国主権内のパラセル(西沙)諸島内を無断航行したのに続いて、3月13日には強襲揚陸艦及び沿海域戦闘艦が南シナ海に侵入してきた”とした上で、“更に、今週になって原子力空母打撃軍が南シナ海を航行しており、たった1週間で3度の暴挙だ”と記載している。
ただ、原子力空母“セオドア・ルーズベルト”率いる空母打撃軍は、3月初めのベトナム寄港後の航行であって、中国側が一番気に入らなかった点はこの事実であるはずだが、同紙は詳細を報じていない。
なお、PLAは3月16日、台湾海峡に向けて異例と言われる戦闘機による夜間飛行をさせている。
香港メディア『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』紙に掲載された軍事評論家のコメントによると、中国は、台湾独立派に対する定期的な武力圧力をかけるためだけでなく、PLAが新型コロナウィルス感染問題の影響を一切受けていないことを示すためだ、という。
(注1)EMP:核爆発を起こさなくとも、コンデンサなどを使って電磁パルスを発生させる武器で、非破壊・非殺傷兵器として敵の電子装備を麻痺させる機能を持つ。
(注2)無害通航:沿岸国の平和・秩序・安全を害さないことを条件として、沿岸国に事前に通告をすることなく沿岸国の領海を他国船舶が通航することであり、内陸国を含めすべての国の船舶は他国の領海において無害通航権を有する。一方で領海の沿岸国は、自国の領海内において主権に基づき領海使用の条件を定めたり、航行を規制することができるが、他国の無害通航を妨害する結果とならないように一定の国際義務が課される。
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3月1日付米
『ロイター通信』:「中国の習国家主席の来日は今秋まで延期と
『産経新聞』が報道」
『産経新聞』は3月1日、日中両政府が、当初4月初めで計画していた習近平国家主席の来日日程を延期する方向で調整に入った模様と報じた。
政府高官からの情報によると、新型コロナウィルス集団感染問題が依然容易に収束の目処が立たない状況下、同主席の来日を今秋、あるいは更にその先まで延期することになろうという。
なお、安倍晋三首相は2月29日の段階で、習主席の来日受け入れ準備を予定どおり進めているとコメントしていた。
同日付香港『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』オンラインニュース:「日中両政府、新型コロナウィルス集団感染拡大のため、習国家主席の来日を延期する方向で検討」
新型コロナウィルス集団感染について、中国国内では感染スピードが弱まりつつあるが、韓国含め、その他の国では依然猛威を振るっている。
そうした状況下、『読売新聞』は3月1日、日本政府高官の話を引用して、“当初予定されていた4月初めの習主席来日は恐らくなくなる”と報じた。
中国外の新型コロナウィルス集団感染状況は、米国、豪州、タイで初の死亡者が報告され、また、アイルランド、ルクセンブルクでも初の感染者が確認されており、いよいよ世界的流行の恐れが出てきている。
また、韓国では、新たな感染者数が中国国内より3日連続で上回る状況となっている。
安倍首相は2月29日、“習主席来日を充実したものにするため、予定どおり準備を進めている”とコメントしているが、『共同通信』は、いずれにしても、今週中には(来日延期の方向で)結論が出される、と報じた。
なお、当初の予定では、習主席は4月6~10日の間に国賓として来日することになっており、中国トップの来日は2008年5月の胡錦涛(フー・チンタオ)主席(当時)以来である。
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