英・フランス・韓国・中国メディア;いよいよ米中首脳会談の緒戦(2017/04/05)
米大統領選の最中から現在まで、ことある毎に中国批判を繰り返してきたトランプ大統領が、就任以来初めて習主席を米国に迎えて米中首脳会談を開く。当該日程が決まってからも、同大統領による対中国の口撃が止まない状況下、多くの関係国はもとより、会談の主題とされる北朝鮮もミサイル発射で揺さぶりをかけるなどして、同会談の行方について固唾を呑んで注目している。
4月4日付英
『ロイター通信英国版』:「トランプ・習両首脳会談が近づく中、中朝国境付近に中朝関係停滞の痕跡」
ドナルド・トランプ大統領は4月2日、米中首脳会談を間近に控えた中、中国の賛同の有無に拘らず、対北朝鮮政策を独自に進めていくと表明したばかりか、対中国貿易についても厳しく対応するとの方針を示している。
ただ、裏での北朝鮮支援を疑われた中国について、中朝国境付近では両国間関係が大きく後退している姿が垣間見える。...
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4月4日付英
『ロイター通信英国版』:「トランプ・習両首脳会談が近づく中、中朝国境付近に中朝関係停滞の痕跡」
ドナルド・トランプ大統領は4月2日、米中首脳会談を間近に控えた中、中国の賛同の有無に拘らず、対北朝鮮政策を独自に進めていくと表明したばかりか、対中国貿易についても厳しく対応するとの方針を示している。
ただ、裏での北朝鮮支援を疑われた中国について、中朝国境付近では両国間関係が大きく後退している姿が垣間見える。
中国は2011年、北朝鮮との経済連携を強化する一環で、300億人民元(34億9千万ポンド、約4,820億円)を投じて、北東アジア経済特区(注1後記)を設立すべく、北朝鮮労働者1万人以上を投入してインフラ・ビル・道路建設に乗り出した。
しかし、北朝鮮による去年9月の5度目の核実験以降、中朝関係は特に冷え込み、同特区計画は頓挫した模様で、中朝国境付近の村々の至る所に建設途上のビル、止まったままのクレーン、工事途上とみられるコンクリート・パイプの類が放置されている。
4月5日付フランス
『フランス24』オンラインニュース(
『AFP通信』配信):「北朝鮮挑発の中、初のトランプ・習両首脳会談開催」
北朝鮮危機や米中間貿易問題が大きくなる中、トランプ大統領と習近平(シー・チンピン)主席の初の首脳会談が4月6日に行われる。
最近の北朝鮮の核・ミサイル開発がとみに進捗し、米本土が狙われるとの懸念が高まっていることから、同大統領としては中国に対して、更に直接的かつ影響力ある北朝鮮対策を求めるだけでなく、米国だけでも軍事行動等厳しい対応に出る意向を表明している。
同会談開催直前48時間前の4月5日早朝、北朝鮮がまたしてもミサイル発射を実施した。ただ、このニュースが報じられる前に米高官が4月4日、“もう時間切れ”であり、北朝鮮の脅威を封じるため“(軍事行動を含めた)如何なる対応も取る”意向であると発言している。
同日付韓国
『KBSニュース』:「トランプ大統領、習主席と北朝鮮問題協議」
4月6、7日に習主席をフロリダ州に迎えて首脳会談を持つトランプ大統領は、米中貿易問題もさることながら、北朝鮮政策を第一に協議する意向である。
これに先立ち、ホワイトハウスの高官は4月4日、これまでの政権が北朝鮮核開発を阻止できなかった以上、何よりもまず北朝鮮問題の進捗のために中国に対して、より厳しい対応を要求していくことになるだろうとコメントしている。
一方、同日付中国
『チャイナ・デイリィ』:「新しい米中関係構築」
今週開催の初の米中首脳会談に先立ち、3月中旬に訪中したレックス・ティラーソン国務長官は習主席と会談した際、トランプ大統領が今後50年間米中関係を緊密にしていくとの意向を持っていることを伝えた。
習主席は2013年、サニーランド(カリフォルニア州)でバラク・オバマ大統領(当時)と会談した際、“新型大国関係(注2後記)”構築を提案したものの、同大統領はその後、“アジア重点主義”を掲げて、ことある毎に中国と敵対してきた。
そこで習主席は今回も、トランプ政権との“新型大国関係”構築を再度提案した次第だが、同国務長官は、“一つの中国”原則を含め、より良い両国関係の構築について同意した。
従って、米中貿易問題のみならず、北朝鮮問題についても、“新型大国関係”構築の目的の下、初の両国首脳会談で突っ込んだ議論がなされ、相互協力が進捗することが望まれる。
(注1)北東アジア経済特区:吉林省南東部の和竜(ヘロン)・北朝鮮北東部沿岸の清津(チョンジン)・同北東山間部の毛峰(マオフェン)を結ぶ三角地帯に、橋・道路・鉄道を建設して物流ルートを確保し、両国の生産品を清津港を経由して日本・韓国・米国・欧州向けに輸出しようという計画。
(注2)新型大国関係:衝突・対抗せず、相互尊重し、Win-Winで協力することを原則とした両大国関係。
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米・英・ロシア・中国メディア;中国、東・南シナ海で相変わらず厚顔無恥な対応(2017/03/27)
先週報じたとおり、ティラーソン国務長官の初訪中で、米中双方はお互いの主張を言いっ放しとする一方、総論では、両国が今後とも協力していく姿勢を打ち出すことで、まずは最初のトランプ政権閣僚・中国指導部間会談を終えた。また、中国は、南シナ海の西沙(パラセル)諸島や中沙(スカボロー)礁に、恒久施設や地対空ミサイルの配備を着々と進めていることは棚に上げて、日本の海上自衛隊の潜水艦哨戒ヘリコプター搭載護衛艦の就役に神経を尖らせているとも報じた。そして今度は、米韓合同軍事演習に派遣された米軍爆撃機が、中国が一方的に設定した防空識別圏(ADIZ)に断りもなく侵入したとクレームを付ける一方、国際社会に向けては、南シナ海の恒久施設建設はあくまで民間用で、軍事拠点化する意思などないと厚顔無恥な発言を繰り返している。
3月26日付米
『Foxニュース』(
『CNN』配信):「中国高官、米軍爆撃機の東シナ海上空の“通常の”飛行に対して警告」
「●米太平洋空軍報道官のフィル・ベンチュラ少佐は、米空軍B-1B爆撃機が3月18日に韓国南沖の東シナ海上空を飛行した際、中国航空管制局が同機に対して、中国設定のADIZに許可なく侵入するのは違法ゆえ、すぐにも退去するよう要求してきたが、同機は、米国が認めていないADIZの制約は受けないと返答したことを公表。...
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3月26日付米
『Foxニュース』(
『CNN』配信):「中国高官、米軍爆撃機の東シナ海上空の“通常の”飛行に対して警告」
「●米太平洋空軍報道官のフィル・ベンチュラ少佐は、米空軍B-1B爆撃機が3月18日に韓国南沖の東シナ海上空を飛行した際、中国航空管制局が同機に対して、中国設定のADIZに許可なく侵入するのは違法ゆえ、すぐにも退去するよう要求してきたが、同機は、米国が認めていないADIZの制約は受けないと返答したことを公表。
●中国は2013年11月、東シナ海上空にADIZを設定したと宣言したが、日米両政府は当時、中国の一方的な通告は一切認められないと拒否。
●中国外交部の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は3月23日、米空軍機のADIZ侵入のニュースは承知していないが、もし事実とすれば看過できないとした上で、米国が独自のADIZを設定しているように、中国も主権擁護のために設定したADIZを尊重すべきだとコメント。」
一方、同日付英
『Yahooニュース英国版』(
『ロイター通信』配信):「中国、南シナ海のミサイル配備は軍事拠点化を意味しないと宣言」
「●中国の李克強(リー・コーチャン)首相は3月24日、訪問先の豪州での記者会見で、中国が南シナ海の島々に防衛設備を配備したが、それはあくまで“航行の自由”を維持するためだと表明。
●同首相はまた、人工島に建設した設備は主として民間用だとも付言。」
3月24日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「中国の南シナ海に関わるコメントは米国に向けたものではなく“豪州内の懐疑論者”に宛てたもの」
「●中国の李首相は3月24日、訪問先の豪州のマルコム・ターンブル首相との会談後、南沙(スプラトリー)諸島の人工島に、港湾・灯台・滑走路などを建設したのは主として民間用であり、中国としては決して軍事拠点化の意図がある訳ではないと言明。
●この発言に対して中国研究専門家は、李首相は米国の新政権に向けたものではなく、豪州政府内にいる中国海洋活動への懐疑論者に宛てたものだと分析。
●豪州政権の中では、例えばジュリー・ビショップ外相などは、中国の人工島建設に批判的で、フィリピンが領有権問題でハーグ(オランダ)在常設仲裁裁判所に申し立てた際、フィリピンを支持する旨発言。」
また、3月26日付中国
『チャイナ・デイリィ』(
『新華社通信』配信):「中国、南シナ海周辺国に協力体制構築を呼び掛け」
「●中国海南省博鰲(ボアオ)で開催されたボアオ・アジア経済フォーラム(BFA、注後記)において、中国の劉振民(リゥ・チェンミン)副部長(副大臣に相当)は3月24日、南シナ海周辺国は、相互信頼・協力体制・権益共有を強化していくため、基盤造りをしていくことを提案すると演説。
●同副部長は、目下中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)間で協議している行動規範もその一環で、同海域関係当事国だけで対話を促進していくことが肝要とも付言。
●BFAに参加した専門家の多くは、劉副部長の提案を受けて、南シナ海周辺国に対して、関係当事国間の対話と交渉によって領有権問題を平和裏に解決していく基盤を造っていく必要があると主張。」
(注)BFA:スイスのダボスで開催されている、世界の政治家・財界人・知識人が集まる国際会議(ダボス会議)を主催する世界経済フォーラムに倣い、そのアジア版を目指して、中国政府の全面的支援を受けて構想された非政府・非営利国際組織。2001年2月の設立時には、アジアの25ヵ国及び豪州が参加。2010年4月、福田康夫元首相が同フォーラムの新理事長に就任。
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