中国の王毅外相はG7サミットで南シナ海情勢が議題となることについて、「G7は南シナ海問題に関係ない。アジア諸国が日中に牽引を期待する国際経済の議題に集中するべき」などとけん制した。また、「G20のメンバーでもあるG7は、9月に中国の杭州で開催されるG20サミットの成功に向け、建設的な役割を果たすよう期待する」等と述べている。
5月26日付
『ロイター通信』は「G7は南シナ海へ強いメッセージが必要で合意、中国はけん制」との見出しで、以下のように報道している。
・G7は、日本や東南アジアと領土問題で対立を深める中国へ強力なメッセージを送る事で合意。この合意にG7に含まれないが大国となり発言力を増した中国が鋭く返答。
・安倍首相は南シナ海問題の議論をリードし、他国の首相はG7としての明確な指針を発表するべきだとした、と日本の世耕弦成 内閣官房副長官は、政治外交のセッション後報道陣に語った。...
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5月26日付
『ロイター通信』は「G7は南シナ海へ強いメッセージが必要で合意、中国はけん制」との見出しで、以下のように報道している。
・G7は、日本や東南アジアと領土問題で対立を深める中国へ強力なメッセージを送る事で合意。この合意にG7に含まれないが大国となり発言力を増した中国が鋭く返答。
・安倍首相は南シナ海問題の議論をリードし、他国の首相はG7としての明確な指針を発表するべきだとした、と日本の世耕弦成 内閣官房副長官は、政治外交のセッション後報道陣に語った。
・記者会見で安倍首相は日本は中国の平和的発展は歓迎するものの、法を無視した一方的な行動には反対すると繰り返し、同様に米国も中国の行動に懸念を示した。
・中国外交部報道官は、「南シナ海問題はG7と全く関係ない。中国は南シナ海の領有権を主張する国に断固反対する。」とした。
5月26日付中国
『人民日報』は「G7サミット、各国課題の相違とデモの中幕開け」との見出しで以下のように報道している。
・各国首脳は経済政策が相違、沖縄では反米軍デモが行われる中、サミットが開始された。安倍首相は自称日本文化の発祥の地とする伊勢神宮へ各国首脳を招いた。批評家は政教分離の憲法に反すると批判。2012年就任以来、大日本帝国の国家イデオロギーである国家神道を復興させたとして批判されている。
・経済問題、テロ、温暖化、エネルギー問題が議題とされてきたが、ドイツの金融政策を理由に景気刺激策の合意に至らず、サミット前に仙台で開催されたG7財務相と中央銀行総裁会議でも相違点を埋めることができなかった。
・水曜、沖縄の嘉手納基地周辺で、元海兵隊員による女性殺害に抗議するため4000人以上がデモに参加。安倍首相との会談でオバマ大統領は事件について「大変遺憾」とした。日本は米国が投下した広島の原爆を持ち出しいつも日本が戦争の被害者だというが、アジア諸国侵略での残虐行為にはほとんど言及しない。
同日付中国
『チャイナデイリー』は「G7会合は経済に集中すべき」以下のように報道している。
・中国の王毅外相は、9月に杭州市で開かれるG20に関する記者会見の場で、G7は南シナ海に関する領土問題でなく、世界の財政、開発問題に集中すべき。首脳の自由ではあるが、ダブルスタンダードを避け公平な立場で議論すべき、だとした。
・同外相は、「G7は領土問題をかき乱さないでほしい。G20のメンバーでもあるG7は、G20サミットの成功へ前向きで建設的な役割を果たすよう期待する。」と述べた。
・また同外相は、「日本と中国はアジア経済圏で2大経済大国であり、アジア諸国はG7サミットがアジア経済の成長と発展に注力するよう期待している。」と述べ、南シナ海問題が、国際法と南シナ海における関係国の行動宣言(DOC)に基づく当事国間の対話と交渉により平和的解決を望むと繰り返した。
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日中関係、日韓関係にようやく改善の兆しが見えてきたと思われる矢先、
『週刊現代』 (7月4日号、安倍オフレコ発言全部書く)が、安倍首相が非公式の食事会で「仮想敵国は中国」「慰安婦問題は金で解決できる」などと発言したとする記事を掲載、日本ではあまり話題にならなかったが、波紋が広がっている。各国は週刊現代の安倍首相発言について、以下のように報じた。
6月30日付
『アジアワン』(シンガポール)は、「安倍首相の中国封じ込め発言が炎上」との見出しで、「日本のメディア、週刊現代が“安倍首相が非公開の食事会の席で、日本の安全保障法案が南シナ海において中国との戦いを念頭にしている”と発言していた」と報じた。この記事に対して中国はすぐに反応し、「中国外務省の華春瑩報道官が、“事実ならば日本はこの記事に対する納得のいく釈明を直ちに行うべきだと考えている。私たちは、過去と同じ過ちを避けるために、日本が歴史の教訓から学び、軍事と安全保障に慎重になり、平和的発展の道を歩むよう願う”と述べた」と報じた。また「安倍首相の発言の真偽はともかくとして、日本が南シナ海において、中国の行動を意識した行動に出ていることは明らかである」との中国社会科学院のワン研究員の発言を紹介し、「先週、日本の自衛隊は南シナ海でフィリピンと共同軍事演習を実施し、自衛隊のパトロール機が中国が自国領と主張する領域の上空を飛行した」と報じた。
一方、6月30日付
『アジア経済』(韓国)は、安倍首相がユンビョンセ外交部長官が日本を訪れる直前、日本の週刊誌、週刊現代に、私から(ユンビョンセ外交部長官の訪日を)要請したのではない。待っているだけで韓国側からこちらにやってくるだろう。慰安婦問題については、3億円ですべて解決することができる。ただし、これはお金の問題だけではない "と言った」と報じ、「同週刊誌の記事には、仮想敵国は中国といった外交的に敏感な発言も含まれていた」と伝えた。
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