米国は5月14日、中国による不公正な貿易慣行(政府補助金による安値攻勢)を理由として中国製EV等に高額関税を課すと発表した。これに対して、欧州の自動車王国のドイツ・スウェーデンのトップに加えて、ドイツ・フランスの大手自動車メーカートップも同政策に異議を唱えた。
5月17日付中国
『新華社通信』、フランス
『AFP通信』は、ドイツ・スウェーデンのトップに加えて、欧州自動車メーカートップも米国による対中国EV高額関税政策に異議を唱えたと報じている。
米国政府は5月14日、中国製EV含めて不当な安値攻勢が仕掛けられていることを理由として、EVに100%(従来25%)を賦課する等の厳しい措置を講ずると発表した。
これに対して、隆盛な自動車産業を抱えるドイツ・スウェーデンのトップ2人が同日、当該政策に異議を唱える旨表明した。...
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5月17日付中国
『新華社通信』、フランス
『AFP通信』は、ドイツ・スウェーデンのトップに加えて、欧州自動車メーカートップも米国による対中国EV高額関税政策に異議を唱えたと報じている。
米国政府は5月14日、中国製EV含めて不当な安値攻勢が仕掛けられていることを理由として、EVに100%(従来25%)を賦課する等の厳しい措置を講ずると発表した。
これに対して、隆盛な自動車産業を抱えるドイツ・スウェーデンのトップ2人が同日、当該政策に異議を唱える旨表明した。
欧州委員会(EUの政策執行機関、1967年設立)は昨年10月、欧州に輸入されている中国製EVへの不当補助金について調査すると発表していた。
しかし、ドイツのオラフ・シュルツ首相(65歳、2021年就任)は訪問先のスウェーデンで記者団に対して、“中国から輸入されているEVの50%は、欧州自動車メーカーの中国工場で生産されたものであるため、米国とは事情が異なる”とした上で、“欧州や一部の北米メーカーも中国市場では十分な収益を上げていることでもあり、中国製EVへの高関税賦課については慎重になるべきだ”とコメントした。
また、スウェーデンのウルフ・クリステルソン首相(60歳、2022年就任)も、“(関税賦課合戦によって)世界貿易を混沌とさせることには反対だ”とした上で、“何故なら、結局広範な貿易戦争によってドイツやスウェーデンのような大工業立国の将来を危うくする恐れがあるからだ”と同調している。
NGO団体の欧州運輸環境連盟の統計によると、昨年欧州で販売されたEVのうち約20%、30万台が中国から輸入されたものだが、その半分以上は米テスラ(2003年設立)・ルーマニアのダチア(1966年設立、仏ルノー傘下)・独BMW(1916年設立)等の欧米メーカーの中国生産車となっている。
そこで、BMWのオリバー・ツィプセ取締役会長(60歳、2019年就任)も同日、地元の『フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング』紙(1949年創刊)のインタビューに答えて、“EUにおいても政治家らが、EVに対する規制を検討しているようだが、これによって中国等の貿易相手国から対抗措置を招き、その結果欧州メーカーにとってEV生産に不可欠な原材料の入手がより困難になるリスクがある”と批判した。
更に、“EUはかつて安価な日本車の販売攻勢を恐れて輸入制限したが、日本車の代わりに韓国車が席捲し、今やその対象が中国車になっている”とし、“このような近視眼的な政策は止めるべきだ”と苦言を呈した。
その上で同会長は、“ドイツにおける中国製EVの販売シェアは僅か0.8%に過ぎず、中国車がEUで溢れかえっているような状況では全くない”とも付言している。
また、欧州多国籍企業のステラティス(仏プジョーグループと米・伊フィアット・クライスラーの合弁会社、2021年設立、世界ランキングはトヨタ、フォルクスワーゲン、現代自動車に次ぐ4位)のカルロス・タバレス最高経営責任者(65歳、2021年就任)も5月16日、フランスTVのインタビューに答えて、“米国市場、欧州市場問わず、高関税賦課によってインフレが起こると、結局中産階級の人たちの購買意欲が削がれることになり、最終的にこの影響を受けない他の大手グローバル企業群との格差が広がってしまうだけだ”と警鐘を鳴らしている。
なお、同社は5月14日、中国EVメーカーの零跑汽車(リープモーター、2015年設立)との間で、EV生産のための合弁会社を立ち上げ、生産車を今年9月からフランス、イタリア、ベルギー、オランダ、ドイツ、スペイン向けに輸出することで合意している。
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