5月19日付
『AP通信』:「メキシコ国境の壁により忘れ去られた生態系を調査する専門家」:
米国税関・国境警備局が設置した高い国境の壁を挟んで、鳥が鳴きあう。人口の壁により生態系が分断されている。
植物学者や市民が参加する「国境バイオブリッツ」は、メキシコのティフアナの東方100キロにあるジャクメ地域で活動するボランディア団体である。国境沿いで、約1000人のボランディアが、アプリに写真を投稿、植物や動物の位置を記録する。...
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5月19日付
『AP通信』:「メキシコ国境の壁により忘れ去られた生態系を調査する専門家」:
米国税関・国境警備局が設置した高い国境の壁を挟んで、鳥が鳴きあう。人口の壁により生態系が分断されている。
植物学者や市民が参加する「国境バイオブリッツ」は、メキシコのティフアナの東方100キロにあるジャクメ地域で活動するボランディア団体である。国境沿いで、約1000人のボランディアが、アプリに写真を投稿、植物や動物の位置を記録する。この情報を、麻薬密売や移住者密輸という暗いニュースの地域の豊かな自然の保護に繋げようという試みである。
トランプ前大統領が数百マイルの壁を建設したことで、アリゾナ州のサワロ(サボテン)が倒され、カリフォルニア半島の生物多様性の宝庫が消え去ったのである。その後、生息地の喪失、人口増加や開発、および気候変動により世界の生物多様性が失われる中、国境の動植物を記録しようという動きが起こっていった。
2019年には、百万種の植物や動物が、予測されていたより1000倍の速さで、数十年以内に絶滅の危機に直面するとの予測も発表された。
国連では10月、陸と海の30%を保護する「30by30目標」を掲げ、200カ国の代表が参加するハイレベル会合が開かれる。現在は、陸の17%、海の10%が保護されている。
カリフォルニア州と国境を接しているカリフォルニア半島にあるメキシコ最大の殺人発生率の汚名を持つティフアナには、4千種以上の植物がある。その4分の1は固有種で、少なくとも400種が殆ど保護されずにあると考えられている。
米国内では既に絶滅した、或いは絶滅の危機にあるカリフォルニア赤足蛙などの動植物がこの南部国境沿いでは生息している。
しかしながら、この地域の治安の悪さにより、米国の科学者は国境を超えられずいる。世界的に、自然災害や戦争が記録的レベルとなる現在、難民の増加から、国境警備は強化されている。
メキシコ側も、植物学者への入国許可を制限し、種子の回収や調査の許可をしていない。このような状況の中、ボランディアが地域と協力し、安全に調査ができるよう働きかけているのだという。
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