トランプ大統領初の連邦予算請求は議会で反発?<米・韓国・中国メディア>(2017/05/25)
大統領就任後初めてトランプ大統領は、2018会計年度(2017年10月~2018年9月)の連邦政府予算案(注後記)を議会に提出するが、国防費・インフラ投資等を増やす一方、低所得者向け支援を大幅に削減する提案となっている。弱者切り捨ての内容に野党・民主党はもとより、選挙でトランプ氏を支持した白人低所得者層を代弁する与党・共和党からも反発が予想され、大統領要求予算が大幅に見直される可能性が高い。なお、韓国は太平洋地域での米軍事費増を歓迎する一方、何かと米国を敵視する中国は、トランプ氏の税制改革の矛盾点について批評している。
5月22日付米
『USAトゥデイ』紙:「議会、物議を醸すトランプ政権予算案の承認は困難」
ドナルド・トランプ大統領は5月23日、就任後初の年間連邦予算案(2018会計年度)を議会あてに提出するが、上・下院ですんなり審議・承認手続きが進むことは難しい。
例えば、下院議会予算委員会委員11年目のジョン・ヤームス民主党下院議員(ケンタッキー州選出)は、長年の米国の善意の象徴だった“補助的栄養支援プログラム(SNAP、通称フード・スタンプで、低所得者向け食費補助政策、1964年にリンドン・ジョンソン民主党大統領が採用)”を2,000億ドル(約22兆2,000億円)削減する案など、共和党議員も賛同しないはずだと酷評している。...
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5月22日付米
『USAトゥデイ』紙:「議会、物議を醸すトランプ政権予算案の承認は困難」
ドナルド・トランプ大統領は5月23日、就任後初の年間連邦予算案(2018会計年度)を議会あてに提出するが、上・下院ですんなり審議・承認手続きが進むことは難しい。
例えば、下院議会予算委員会委員11年目のジョン・ヤームス民主党下院議員(ケンタッキー州選出)は、長年の米国の善意の象徴だった“補助的栄養支援プログラム(SNAP、通称フード・スタンプで、低所得者向け食費補助政策、1964年にリンドン・ジョンソン民主党大統領が採用)”を2,000億ドル(約22兆2,000億円)削減する案など、共和党議員も賛同しないはずだと酷評している。
また、下院の議会割当て予算委員会(議会予算委員会が大枠決定後に各々予算割当てを審議・承認する委員会)委員長のロドニー・フレリンギュセン共和党下院議員(ニュージャージー州選出)は、公共放送サービス、全米文人科学基金や国立衛生研究所の予算削減は絶対反対だとした上で、行政管理予算局(ホワイトハウス直属の組織)のミック・マルバニー局長のやり方を全く支持していないとコメントした。
なお、トランプ大統領は既に、今年9月までの今年度予算における国内経費支出の180億ドル(約2兆円)削減案について、共和党が多数を占める議会から猛反発を受けている。
5月23日付韓国
『KBSニュース』:「米下院、太平洋地域での軍事予算21億ドル増額を模索」
米
『CNNニュース』は5月22日、米下院議会軍事委員会が、北朝鮮や中国の脅威に対抗するため、太平洋地域の米軍事費を21億ドル(約2,330億円)増額する方針であると報じた。
共和党のマック・トンベリー下院議員(テキサス州選出)が今週法案を提出する予定で、武器・弾薬費用を10億ドル、終末高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)を含めたミサイル防衛費を10億ドル増額する案となっているという。
同日付中国
『チャイナ・デイリィ』:「トランプ大統領の税制改革に疑問多数」
トランプ大統領が掲げる税制改革案は、米経済再活性化を目論んでいるため、産業界は支持している。しかし、米シンクタンクの全米税政策センターの試算では、トランプ税制改革によって今後10年で財政赤字が7兆ドル(約777兆円)増えるとし、米研究機関の連邦予算調査センターも、赤字幅が5兆5,000億ドル(約610兆5,000億円)増えると見込んでいる。
トランプ税制改革では、法人税を15%に減じるとしているが、既に先進国の中で非常に低い税率になっており、恩恵を被るのは米企業よりむしろ米進出の海外資本であろう。その他、同改革案は大企業に有利にはたらくが、低所得者層には結果的に重荷になるなどの問題点が指摘されている。
一方、中国の税制改革は米国案に比べて、より国内経済発展を支援するものとなっている。過日、李克強(リー・コーチアン)首相は政策綱領の中で1兆人民元(1,451億ドル、約16兆1,060億円)の税削減策を発表しているが、企業収入増を後押しする政策となっている。
(注)連邦政府予算案:日本の内閣と違って、大統領に予算法案を作る権限がなく、大統領が年に一度提出が許される予算案(大統領要求予算)は、議会上・下院の予算委員会の審議・承認を経て法案化され、上・下院本会議で可決(上院は60%以上、下院は過半数の賛成が必要)されて初めて予算執行が可能となる。なお、年度予算とは別枠として、大統領は補正予算・緊急補正予算(例えばイラク戦費、シリア戦費など)を随時議会に提案することが認められている。
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北朝鮮、中国による国境封鎖の脅しにめげずに再び弾道ミサイル発射(2)(米・英・ロシア・韓国メディア)(2017/05/15)
5月14日付Globali「北朝鮮、中国による国境封鎖の脅しにもめげずに再び弾道ミサイル発射」で報じたとおり、北朝鮮は、中国からの国境封鎖の脅しにもめげず、しかも、中国主導の「一帯一路」サミット開催日初日に合せて、再び弾道ミサイルの発射実験を行った。北朝鮮は、過去に発射が失敗に終わったときは一切報道しないが、今回は成功したこと、しかも核弾頭搭載が可能な長距離弾道ミサイルの発射だったとして、誇らしげに喧伝した。この暴挙に対して、日米韓はもとより、中国、ひいては欧州連合(EU)まで一斉に非難声明を発表している。一方、ミサイル発射と被疑者不詳の無差別サイバー攻撃があったにも拘らず、5月15日の原油価格及びアジア株価市場は大幅上昇した。
5月15日付米
『Foxニュース』(
『CNNニュース』配信):「北朝鮮、今回発射のミサイルは核弾頭搭載可能と発表」
北朝鮮国営メディアの
『朝鮮中央通信』は5月15日、前日に発射した長距離弾道ミサイル“火星(ファソン)12”が高度2,111.5キロメーター(1,312マイル)、飛翔距離787キロメーター(489マイル)を達成したとした上で、同ミサイルに大型核弾頭を搭載可能なことも証明したと報道した。...
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5月15日付米
『Foxニュース』(
『CNNニュース』配信):「北朝鮮、今回発射のミサイルは核弾頭搭載可能と発表」
北朝鮮国営メディアの
『朝鮮中央通信』は5月15日、前日に発射した長距離弾道ミサイル“火星(ファソン)12”が高度2,111.5キロメーター(1,312マイル)、飛翔距離787キロメーター(489マイル)を達成したとした上で、同ミサイルに大型核弾頭を搭載可能なことも証明したと報道した。
同通信はまた、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が立ち会っていること、更に、米本土と太平洋内米軍基地が射程距離に入っているので、米国はこれ以上挑発することを止めるよう警告した。
ホワイトハウスは、国際社会の厳しい対応を求めるとした上で、今回のミサイルが日本よりむしろロシアに近い海域に落下したことについて、ロシアは快く思っていないだろう、とのトランプ大統領のコメントを公表した。
一方、ロシアのビクター・オゼロフ上院国防・安全保障委員会委員長は、今回のミサイル発射及び落下地点の監視はできており、ロシア主権範囲に何ら影響がないと判断したとした上で、極東空域の安全保障を常に注視していると語っている。
同日付英
『インターナショナル・ビジネス・タイムズ』オンラインニュース:「核弾頭搭載ミサイル発射の成功を受けて、金正恩が“担当幹部を抱き寄せて祝福”」
『朝鮮中央通信』は、金委員長がミサイル発射の成功を見届けた後、“大変な成果を収めた”とミサイル研究センターの担当幹部を抱き寄せて祝福したと報じた。
これに対して米国のニッキー・ヘイリー国連大使は、5月16日に国連安全保障理事会の緊急会合を開く方向で取進めていると語った。
同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「北朝鮮、中距離弾道ミサイル発射実験が成功と発表」
北朝鮮による度重なる核実験及びミサイル発射に伴って、ここ数ヵ月の朝鮮半島情勢はかなり緊張が高まっている。国連安保理の制裁決議も含めて、国際社会は頻繁に北朝鮮の行為を非難している。
同日付韓国
『KBSニュース』:「EU及びNATOも北朝鮮のミサイル発射を非難」
北朝鮮の再度のミサイル発射を受けて、EU報道官は、北朝鮮に対してミサイル発射を止め、かつ核開発を放棄して、関係各国との対話を模索するよう要求すると表明した。
また、北大西洋条約機構(NATO)報道官も、今こそ挑発を止めて緊張を鎮めるべきときだとの声明を発表した。
一方、同日付英
『メール・オンライン』(
『ロイター通信』配信):「サイバー攻撃と北朝鮮の脅威にも拘らず、アジア市場は2年振りの高値を付けて原油価格も上昇」
先週末までに、150以上の国の20万余りのコンピューターに対する無差別サイバー攻撃、北朝鮮のミサイル発射実験、更には、弱含みの米経済指標(4月の小売り売上高等が市場予測以下)というニュースが流れたにも拘らず、5月15日の国際市場は活況を呈している。
・アジア市場:前日比+0.1%上昇して2015年6月以来の高値。サイバー攻撃による被害がさほど深刻でないと投資家が判断したもの。
・原油市場:米原油価格(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)及びブレント原油価格(ロンドン国際石油取引所)とも+1%、それぞれ1バレル当り48.32ドル(約5,460円)及び51.37ドル(約5,800円)まで上昇。サウジアラビアとロシアの両エネルギー相が、2018年3月までの石油減産体制維持につき合意したことが追い風。
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