バイデン大統領;米韓首脳会談後に北朝鮮問題担当特使として元駐韓大使のキム氏を任命【米・韓国メディア】(2021/05/22)
ジョー・バイデン大統領(78歳)は、北朝鮮政策では韓国側と温度差があるとみられるものの、大人の対応で文在寅大統領(ムン・ジェイン、68歳)との首脳会談では、朝鮮半島非核化に向けて米韓で協力して北朝鮮に当たっていくことに同意した。その一環で、同大統領はすぐさま、元駐韓大使のキャリア外交官ソン・キム氏(60歳、ソウル生れ、1973年に米国移住)を北朝鮮問題担当特使に任命すると発表した。
5月21日付米
『NPR』(1970年設立の米公共ラジオ局):「バイデン大統領、キャリア外交官のソン・キム氏を北朝鮮問題担当特使に任命」
ジョー・バイデン大統領は5月21日、キャリア外交官のソン・キム氏を北朝鮮問題担当特使に任命したと発表した。
同大統領は、直前に行われた韓国・文在寅大統領との首脳会談に関わる共同記者会見の席上で明らかにした。
キム氏は、直近まで駐インドネシア大使を務め、かつては6ヵ国協議(注後記)の担当特使の任にあった。...
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5月21日付米
『NPR』(1970年設立の米公共ラジオ局):「バイデン大統領、キャリア外交官のソン・キム氏を北朝鮮問題担当特使に任命」
ジョー・バイデン大統領は5月21日、キャリア外交官のソン・キム氏を北朝鮮問題担当特使に任命したと発表した。
同大統領は、直前に行われた韓国・文在寅大統領との首脳会談に関わる共同記者会見の席上で明らかにした。
キム氏は、直近まで駐インドネシア大使を務め、かつては6ヵ国協議(注後記)の担当特使の任にあった。
同大統領は、キム氏の“類いまれな外交見識”によって、対北朝鮮交渉を前進させ、以て“我々の最終目標である朝鮮半島非核化実現に繋げられるよう、地域の緊張緩和”に導いてくれるものと期待している、とコメントした。
一方、同席した文大統領は、キム氏の任命は、“米国が対北朝鮮問題について外交手段を通じて解決に導くとの決意の表れ”だと称賛した。
なお、バイデン大統領は、直前の首脳会談で、北朝鮮問題について“非常に憂慮”していること、また、この問題進捗のために文政権と“密に”コンタクトしていくことを確認したと付言している。
5月22日付韓国『KBSニュース』(1927年設立の韓国放送公社):「バイデン大統領、ソン・キム氏を北朝鮮問題担当特使に任命」
バイデン大統領は、米韓首脳会談後の共同記者会見の場で、ソン・キム氏を北朝鮮問題担当特使に任命したことを明らかにした。
今回、ソン・キム氏が任命されるまで、同担当特使は、前任のスティーブン・ビーガン氏(58歳、トランプ政権下の国務副長官)が今年1月に退任して以降空席となっていた。
バイデン大統領は、北朝鮮問題に関わる政策について数ヵ月間レビューしてきた際に、文政権とコンタクトしてきたとし、今後も、戦略策定や交渉に当たって相談していくと言及した。
また、同大統領は、米国は朝鮮半島の非核化が難しいということを十分理解しているとした上で、ただ、直近の4政権下では具体的成果を見出せなかったと付言した。
なお、同大統領は、金正恩総書記(38歳)との直接会談について否定はしないが、核兵器の放棄に向けて協議することを認めない限り会うつもりはない、と強調している。
(注)6ヵ国協議:主に北朝鮮の核開発問題に関して、解決のため関係各国外交当局の局長級の担当者が直接協議を行う、日・米・中・ロシア・韓・北朝鮮の6ヵ国の会議。2003年8月の第1回から2007年3月の第6回までいずれも中国北京で計9次の会合が行なわれたが、それ以降開催されていない。
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韓国大統領;レームダックとの陰口一掃のためバイデン大統領との直接会談の成果に期待【欧米・韓国メディア】(2021/05/21)
韓国の文在寅大統領(ムン・ジェイン、68歳)の支持率は、不動産問題等の失政で過去最低の30%台まで落ち込んでいる。任期1年を切った同大統領としても、来春の大統領選での与党・共に民主党候補の支持率向上に繋げるためにも、名誉挽回をかけてジョー・バイデン大統領(78歳)との直接会談に臨むことになる。
5月21日付
『ロイター通信』:「韓国の文大統領、世界で2番目の首脳としてバイデン大統領と直接会談」
韓国の文在寅大統領は5月21日、世界で2番目の首脳としてジョー・バイデン大統領との直接会談に臨む。
4月中旬の菅義偉首相(72歳)に続き、アジアから2人の首脳が続いて会談することから、バイデン政権が、対アジア政策、特に対中国及び対北朝鮮問題を重点方針としていることが窺える。
両首脳はこの他、マイクロチップなどの最先端技術産業、新型コロナウィルス(COVID-19)感染抑制、また、気候変動対策等での連携強化についても協議する。...
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5月21日付
『ロイター通信』:「韓国の文大統領、世界で2番目の首脳としてバイデン大統領と直接会談」
韓国の文在寅大統領は5月21日、世界で2番目の首脳としてジョー・バイデン大統領との直接会談に臨む。
4月中旬の菅義偉首相(72歳)に続き、アジアから2人の首脳が続いて会談することから、バイデン政権が、対アジア政策、特に対中国及び対北朝鮮問題を重点方針としていることが窺える。
両首脳はこの他、マイクロチップなどの最先端技術産業、新型コロナウィルス(COVID-19)感染抑制、また、気候変動対策等での連携強化についても協議する。
文大統領は、本国でCOVID-19用ワクチン確保に難儀していることから、米国からの追加供給の約束取り付けに注力し、一方バイデン大統領は、自身が復帰を決めたパリ協定(国連気候変動枠組み条約締約国による気候変動対策協定)に基づき、韓国側から積極的な気候変動対策が提案されることに期待している。
今回の訪米に当たって文大統領は、殊更中国を刺激しないように細心の注意を払うように努めていて、5月20日に先行して米議会のナンシー・ペロシ下院議長(81歳)と会談した際、米中関係が安定すること、及び朝鮮半島非核化に中国の存在が重要であると強調した。
しかし、バイデン大統領は、4月半ばに菅首相と会談した際に強調したように、中国に対抗するため共闘するよう強く求めるものと考えられる。
更に、北朝鮮問題に関しても、文大統領が北朝鮮との電撃的な平和協定構築を夢見ているのに対して、バイデン政権は、この問題を主要議題のひとつとするも、劇的な進捗をみせることはないと冷めた対応をしている。
一方、最先端技術分野の連携について、バイデン政権の高官は、中国との競争に打ち勝つため、今回文大統領に伴って訪米してきた大手企業トップらが、最先端技術用電池、半導体、第5世代移動通信システム、及び新世代ロジックチップ開発分野への投資を促進することに期待しているとコメントした。
なお、5月20日、フォードモーター(1903年設立)及び韓国電池メーカーSKイノベーション(1939年設立)が、米自動車メーカーの電気自動車用の車載電池を生産・販売するための合弁会社を設立することで合意したと発表している。
また、韓国メディアの5月17日付報道によれば、世界最大級の総合家電・電子部品・電子製品メーカーのサムスン電子(1969年設立)が、今年第3四半期に170億ドル(約1兆8,700億円)をかけたマイクロチップ生産工場建設に着手するという。
一方、同日付『KBSニュース』(1927年設立の韓国放送公社):「米韓共同声明に南北朝鮮板門店宣言の言及期待」
訪米中の文大統領に同行した大統領府高官が5月20日の記者会見で、翌日開催される米韓首脳会談後にリリースされる共同声明において、2018年に韓国・北朝鮮首脳会談後に発表された南北朝鮮板門店宣言(注後記)を尊重する旨言及されることが期待されると述べた。
外交問題専門家は、もしかかる表現が共同声明に織り込まれれば、韓国にとっては膠着した対北朝鮮関係改善の足掛かりとなり、朝鮮半島非核化に向けて現実的な交渉に取り掛かれるとコメントしている。
(注)板門店宣言:2018年南北首脳会談に臨んだ韓国・北朝鮮両首脳により4月27日に発表された共同宣言。主な内容としては、朝鮮半島の完全な非核化を南北の共同目標とすること、休戦状態の朝鮮戦争の終戦を2018年内に目指して停戦協定を平和協定に転換すること、南北共同連絡事務所を北朝鮮の開城に設置すること、軍事的緊張を解消し、軍事的信頼を構築し段階的軍縮を行うこと等。
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