韓国配備のTHAADはソウルは守れず、またICBMにも無力【米・ロシア・韓国・中国メディア】
7月12日付Globali「米THAADミサイル迎撃実験 成功率100%」で報じられているとおり、米軍は中距離弾道ミサイル(IRBM)の迎撃実験が成功したことに大いに喜んでいる。しかし、専門家の話では、まず終末高高度ミサイル迎撃システム(THAAD)には、北朝鮮が開発に注力している大陸間弾道ミサイル(ICBM)を迎撃する能力はないこと、更に、韓国南部に配備中のTHAADは、距離的にソウルが防御範囲外にある上に、北朝鮮から弾道ミサイルの波状攻撃を受けたら防ぎきれないと分析している。一方、日本は、広範囲に防御可能で、かつ、ICBM迎撃にも対応できる陸上配備型迎撃ミサイルシステム(陸上イージス)導入の方針を決めており、韓国と対応が分かれている。
7月13日付米
『CNBCニュース』 :「韓国配備のTHAAD、北朝鮮からのミサイル波状攻撃には“対応できず”」
今週(7月11日)、アラスカ州配備のTHAADがIRBMを見事撃ち落としたとの実験成功は、核弾頭ミサイル開発を進める北朝鮮に対しての強烈なメッセージと言われている。しかし、専門家の評価では、韓国配備のTHAADは十分な迎撃能力を発揮できないとしている。
すなわち、① THAADには、そもそもICBM迎撃能力はない。...
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7月13日付米
『CNBCニュース』 :「韓国配備のTHAAD、北朝鮮からのミサイル波状攻撃には“対応できず”」
今週(7月11日)、アラスカ州配備のTHAADがIRBMを見事撃ち落としたとの実験成功は、核弾頭ミサイル開発を進める北朝鮮に対しての強烈なメッセージと言われている。しかし、専門家の評価では、韓国配備のTHAADは十分な迎撃能力を発揮できないとしている。
すなわち、① THAADには、そもそもICBM迎撃能力はない。
② もし北朝鮮が、短距離弾道ミサイルの波状攻撃をしてきた場合、THAADレーダーが捉えきれず、従って、攻撃を全て防ぐことは不可能である。
③ 更に、配備場所の星州(ソンジュ)は、ソウルから約227キロメーター(135マイル)南方にあり、THAADの防御範囲の200キロメーター(124マイル)を超えているため、ソウル市民を守ることはできない。
米本土に届かせるICBMの開発は、まだ北朝鮮は完了していないとの話であるが、しかし、米ミサイル防衛局(MDA)の情報では、北朝鮮は既に、スカッド短距離ミサイルやノドン準中距離弾道ミサイルを数百発配備済みという。THAAD製造のロッキード・マーチン社は、一度に72発の迎撃ミサイルを発射できるとしているが、もし北朝鮮が、数百発のミサイルを一斉に発射したら、THAADではとても防ぎきれない恐れがある。
韓国駐留のトーマス・ヴァンダル中将は7月11日、THAADには韓国南部の1,000万人以上の住民を防護することができると語ったが、ソウルには、韓国人口のほぼ半分の2,600万人が暮らしており、彼らはTHAADの防護範囲外となると言わざるを得ない。
一方、日本は、THAAD(1基10億ドル、約1,130億円)より割安な陸上イージス(1基6億ドル、約678億円)を導入することを決めており、同システムは広範囲の防御が可能であって、日本は、イージス艦搭載のミサイル防衛システムと同時に活用してミサイル防衛体制を強化する意向である。
7月12日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』 オンラインニュース「米軍、ミサイル防衛不十分なところTHAADの迎撃実験成功に歓喜」
米MDAは7月11日、アラスカ州コディアック基地配備のTHAADが、ハワイ沖の米空軍のC-17大型輸送機から発射されたIRBMを撃ち落とす実験に成功したと発表した。これで14度の実験が全て成功となり、THAADの能力が示されたとしている。
しかし、THAADにはICBM迎撃能力はなく、それは陸上配備型ミサイル防衛システム(GMD)に頼らざるを得ないが、GMD迎撃成功率は50%程度に過ぎない。従って、北朝鮮他からICBM攻撃を受けた場合、甚だ覚束ない現状である。
一方、同日付韓国
『KBSニュース』 :「中国、THAADの韓国配備について再度反対を表明」
中国外交部の耿爽(ガァン・シャン)報道官は7月12日の定例会見で、中国はTHAADの韓国配備には断固反対すると再度明言した。同報道官は、関係国に対して、分別ある行動を取ること、そして、その行動が当該地域や世界の安全保障に逆行することのないよう強く求めるとも語った。
また、7月13日付中国
『シナ(新浪)英字ニュース』 (
『新華社通信』 配信):「韓国のTHAAD配備反対住民、一周年を記念するデモ行進」
韓国の星州地域の住民数百人が、THAAD配備反対運動を始めて一周年に当る7月12日、大規模デモを実施した。気温が37、38℃になるにも拘らず、革新系の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が誕生したこともあって、反対住民は以前より希望を持って、THAAD配備撤回に向けて運動を繰り広げている。
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トランプ大統領初の連邦予算請求は議会で反発?<米・韓国・中国メディア>
大統領就任後初めてトランプ大統領は、2018会計年度(2017年10月~2018年9月)の連邦政府予算案(注後記)を議会に提出するが、国防費・インフラ投資等を増やす一方、低所得者向け支援を大幅に削減する提案となっている。弱者切り捨ての内容に野党・民主党はもとより、選挙でトランプ氏を支持した白人低所得者層を代弁する与党・共和党からも反発が予想され、大統領要求予算が大幅に見直される可能性が高い。なお、韓国は太平洋地域での米軍事費増を歓迎する一方、何かと米国を敵視する中国は、トランプ氏の税制改革の矛盾点について批評している。
5月22日付米
『USAトゥデイ』 紙:「議会、物議を醸すトランプ政権予算案の承認は困難」
ドナルド・トランプ大統領は5月23日、就任後初の年間連邦予算案(2018会計年度)を議会あてに提出するが、上・下院ですんなり審議・承認手続きが進むことは難しい。
例えば、下院議会予算委員会委員11年目のジョン・ヤームス民主党下院議員(ケンタッキー州選出)は、長年の米国の善意の象徴だった“補助的栄養支援プログラム(SNAP、通称フード・スタンプで、低所得者向け食費補助政策、1964年にリンドン・ジョンソン民主党大統領が採用)”を2,000億ドル(約22兆2,000億円)削減する案など、共和党議員も賛同しないはずだと酷評している。...
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5月22日付米
『USAトゥデイ』 紙:「議会、物議を醸すトランプ政権予算案の承認は困難」
ドナルド・トランプ大統領は5月23日、就任後初の年間連邦予算案(2018会計年度)を議会あてに提出するが、上・下院ですんなり審議・承認手続きが進むことは難しい。
例えば、下院議会予算委員会委員11年目のジョン・ヤームス民主党下院議員(ケンタッキー州選出)は、長年の米国の善意の象徴だった“補助的栄養支援プログラム(SNAP、通称フード・スタンプで、低所得者向け食費補助政策、1964年にリンドン・ジョンソン民主党大統領が採用)”を2,000億ドル(約22兆2,000億円)削減する案など、共和党議員も賛同しないはずだと酷評している。
また、下院の議会割当て予算委員会(議会予算委員会が大枠決定後に各々予算割当てを審議・承認する委員会)委員長のロドニー・フレリンギュセン共和党下院議員(ニュージャージー州選出)は、公共放送サービス、全米文人科学基金や国立衛生研究所の予算削減は絶対反対だとした上で、行政管理予算局(ホワイトハウス直属の組織)のミック・マルバニー局長のやり方を全く支持していないとコメントした。
なお、トランプ大統領は既に、今年9月までの今年度予算における国内経費支出の180億ドル(約2兆円)削減案について、共和党が多数を占める議会から猛反発を受けている。
5月23日付韓国
『KBSニュース』 :「米下院、太平洋地域での軍事予算21億ドル増額を模索」
米
『CNNニュース』 は5月22日、米下院議会軍事委員会が、北朝鮮や中国の脅威に対抗するため、太平洋地域の米軍事費を21億ドル(約2,330億円)増額する方針であると報じた。
共和党のマック・トンベリー下院議員(テキサス州選出)が今週法案を提出する予定で、武器・弾薬費用を10億ドル、終末高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)を含めたミサイル防衛費を10億ドル増額する案となっているという。
同日付中国
『チャイナ・デイリィ』 :「トランプ大統領の税制改革に疑問多数」
トランプ大統領が掲げる税制改革案は、米経済再活性化を目論んでいるため、産業界は支持している。しかし、米シンクタンクの全米税政策センターの試算では、トランプ税制改革によって今後10年で財政赤字が7兆ドル(約777兆円)増えるとし、米研究機関の連邦予算調査センターも、赤字幅が5兆5,000億ドル(約610兆5,000億円)増えると見込んでいる。
トランプ税制改革では、法人税を15%に減じるとしているが、既に先進国の中で非常に低い税率になっており、恩恵を被るのは米企業よりむしろ米進出の海外資本であろう。その他、同改革案は大企業に有利にはたらくが、低所得者層には結果的に重荷になるなどの問題点が指摘されている。
一方、中国の税制改革は米国案に比べて、より国内経済発展を支援するものとなっている。過日、李克強(リー・コーチアン)首相は政策綱領の中で1兆人民元(1,451億ドル、約16兆1,060億円)の税削減策を発表しているが、企業収入増を後押しする政策となっている。
(注)連邦政府予算案:日本の内閣と違って、大統領に予算法案を作る権限がなく、大統領が年に一度提出が許される予算案(大統領要求予算)は、議会上・下院の予算委員会の審議・承認を経て法案化され、上・下院本会議で可決(上院は60%以上、下院は過半数の賛成が必要)されて初めて予算執行が可能となる。なお、年度予算とは別枠として、大統領は補正予算・緊急補正予算(例えばイラク戦費、シリア戦費など)を随時議会に提案することが認められている。
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