国連傘下のIPCC、「1.5度C特別報告書」を発表して、気候変動対策は待ったなしだと改めて警鐘【米メディア】(2018/10/09)
国連傘下の“気候変動に関する政府間パネル(IPCC、注1後記)”が10月8日、第6次評価サイクル(2016~2022年)内で作成するとした「1.5度C特別報告書」を発表した。2015年12月の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で決定されたパリ協定に沿った一連の評価報告書のひとつで、2030年までに世界平均気温を摂氏1.5度未満の上昇に抑えられないと、太平洋の島国や沿岸都市のニューヨーク、ムンバイ、ジャカルタなどが大水害を被る恐れがあると警鐘を鳴らしている。
10月8日付
『ハフィントン・ポスト』オンラインニュース:「最新の国連気候変動報告書、今のままでは地球温暖化による壊滅的な事態を回避するのは困難と警鐘」
IPCCは10月7日、「1.5度特別報告書」を発表し、地球温暖化が現状のまま進めば、早ければ2030年にも世界の平均気温が産業革命前より摂氏1.5度(華氏2.7度)上昇し、自然災害などのリスクが非常に高まると訴えた。
同報告書は、10月6日まで韓国の仁川(インチョン)で開かれていた、IPCC総会で採択された。...
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10月8日付
『ハフィントン・ポスト』オンラインニュース:「最新の国連気候変動報告書、今のままでは地球温暖化による壊滅的な事態を回避するのは困難と警鐘」
IPCCは10月7日、「1.5度特別報告書」を発表し、地球温暖化が現状のまま進めば、早ければ2030年にも世界の平均気温が産業革命前より摂氏1.5度(華氏2.7度)上昇し、自然災害などのリスクが非常に高まると訴えた。
同報告書は、10月6日まで韓国の仁川(インチョン)で開かれていた、IPCC総会で採択された。
IPCCの李恢成(イー・フェソン、72歳)議長は10月8日の記者会見で、この特別報告書はこれまで発表された報告書の中で最も重要で、かつ必要とされるもののひとつだと説明した。
同議長は、気候変動で既に多くの人々や動植物が影響を受けており、地球温暖化対策は待ったなしの状況にきていると強調した。
今回の報告書は、40ヵ国の91人の科学者・研究者らによって作成されたもので、6千件以上の科学的事象例を挙げて様々な事態を予測している。
すなわち、2015年のパリ協定において、産業革命以降の気温上昇を摂氏2度未満、できれば1.5度未満に抑えることを目標とすると決定されたが、現状のままでは、1.5度以下に抑えることがいかに困難であるかと指摘している。
具体的には、気温上昇を1.5度までに抑えるため、2030年までに二酸化炭素の排出量を、2010年比45%削減すること、また、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロ(ゼロ・エミッション、注2後記)とすることが必要だとしている。
しかし、仮に1.5度までに抑えられたとしても、太平洋上の小さな島国や、ニューヨーク、ムンバイ、ジャカルタなどの沿岸都市が破滅的な洪水に襲われる恐れがあるとする。
IPCCは、世界で2番目に二酸化炭素を排出している米国が、昨年半ばにパリ協定から離脱する決定をしたことを深く憂慮している。
更に、世界で最も多くの二酸化炭素を輩出している中国においては、今年の排出量の増加が過去7年間で最大となっており、また、直近の衛星写真によると、中国が止めると約束した石炭火力発電所の建設が続けられていることが認められる。
IPCCは、化石燃料を燃やすなど人為的な温室効果ガス排出などにより、地球の平均気温は既に約1度上昇しているとし、現状のまま温暖化が進めば、2030~2052年の間に、1.5度を超える可能性が高いと結論付けている。従って、どの一国がというより、世界全体で一致協力して一斉に温暖化対策を講じていく必要があると訴えている。
(注1)IPCC:国際的な専門家でつくる、地球温暖化についての科学的な研究の収集、整理のための政府間機構。国連環境計画と国連の専門機関にあたる世界気象機関が1988年に共同で設立。数年おきに発行される「評価報告書」は、地球温暖化に関する世界中の数千人の専門家の科学的知見を集約した報告書であり、国際政治および各国の政策に強い影響を与える。また、特定のテーマについて特別報告書、技術報告書、方法論報告書などを発行。
(注2)ゼロ・エミッション:廃棄物を出さない製造技術を開発する計画。ある企業・産業で排出される廃棄物を、別の企業・産業の原料として使うなどして、トータルで廃棄物をゼロにしようというもの。国連大学が1995年に提唱。
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中国、憲法を改正して2023年以降も続く習近平国家主席の超長期政権創出?【米・英・フランス・中国メディア】(2018/02/26)
習近平(シー・チンピン)国家主席が、昨年10月の中国共産党大会で2期目が承認された際、最高指導部の政治局常務委員会の新体制発足に当り、慣例となっている後継者の提示がなかった。そこで、習氏が今後5年の権力掌握を確実にし、あるいはその後も権力を維持する可能性が囁かれた。そしてこの程、その可能性を追認するかのように、党中央委員会が、国家主席及び副主席の任期2期10年を撤廃する憲法改正案を発表した。今年3月初めに開催される、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)において可決されれば、習氏の指導体制は、2023年を越えて超長期政権となる道筋が付けられることになる。
2月25日付米
『ハフィントン・ポスト』オンラインニュース(
『ロイター通信』配信):「中国、国家主席の任期上限を撤廃して習氏の長期政権創出」
中国国営
『新華社通信』は2月25日、中国共産党中央委員会が同日、国家主席の任期期限を定める憲法の条項を撤廃する憲法改正案を発表したと報じた。
それによると、憲法が規定する2期10年の制限がなくなり、習近平国家主席(64歳)は、2023年以降の長期政権も可能となる。...
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2月25日付米
『ハフィントン・ポスト』オンラインニュース(
『ロイター通信』配信):「中国、国家主席の任期上限を撤廃して習氏の長期政権創出」
中国国営
『新華社通信』は2月25日、中国共産党中央委員会が同日、国家主席の任期期限を定める憲法の条項を撤廃する憲法改正案を発表したと報じた。
それによると、憲法が規定する2期10年の制限がなくなり、習近平国家主席(64歳)は、2023年以降の長期政権も可能となる。
中国の歴史学者で政治評論家でもある章立凡(チャン・リーファン、67歳)氏は、当該ニュースは予想されていたことではあったが、習氏が2023年以降いつまで国家主席に留まるのか予想することは難しいと語った。
なお、習指導部が重点的に実施した、反腐敗政策の旗振り役であった王岐山(ワン・チーシャン、69歳)中央規律検査委員会委員長は、中央政治局常務委員の定年に差し掛かったため、昨年10月に職を解かれた。
しかし、今年1月末、王氏が改めて全人代委員として返り咲くことが発表された。そこで、王氏は副主席に任命され、今後も習氏の片腕となるのではないかと囁かれている。
同日付英
『BBCニュース』:「中国、習近平国家主席の任期を2023年以降も延ばす提案」
習氏は昨年、中国共産党創始者の毛沢東(マオ・ツォートン)初代国家主席以来の“党の核心”と称され、習氏の理念が憲法に記載されることになっている。
そして、習国家主席の任期を2023年以降も延ばすことを可能とする憲法改正案が、春節が明けて国民が仕事に戻る2月26日に合せたかのように、2月25日に公表された。
韓国で開催されている平昌オリンピックも丁度2月25日に閉幕し、今度は2022年の北京に繋がれる時期でもある。
なお、同改正案は、3月5日に開幕する全人代で審議・可決される運びとなる。
同日付フランス
『フランス24』オンラインニュース(
『AFP通信』配信):「中国憲法が改正され、習国家主席の任期延長」
1980年代の鄧小平(ドン・シャオピン)総書記による指導体制期、国家主席の任期は2期10年と定められ、習氏の前の江沢民(チャン・ツェーミン)第5代国家主席、胡錦濤(フー・チンタオ)第6代国家主席ともそれに従った。
しかし、昨年10月に開催された中国共産党第十九次全国代表大会において、慣例となっている習氏の後継者候補が指名されなかった。そこで、習指導体制が2期10年より更に延びる可能性について示唆されていた。
一方、同日付中国
『環球時報』:「憲法改正によって中国共産党の指導体制が盤石に」
『新華社通信』は、中央委員会が、国家主席及び副主席の任期を規定する憲法第79条を撤廃する憲法改正案を発表したと報じた。
これは、中国が置かれた環境より、中国共産党の指導体制をより盤石にすることが求められたからと考えられる。
すなわち、国家主席の任期が撤廃されたからと言って、それは生涯国家主席に留まるという意味ではない。しかし、中国は将来に向け、安定かつ力強い長期指導体制の確立が必須であると考えられる。従って、国民はこの憲法改正を歓迎するであろう。
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