米メディア;各国の温暖化対策、国連は不十分と評価(2015/11/02)
10月26日付「米国の温暖化対策は本当に実現可能?」の中で、“オバマ政権にとって、キューバ国交回復、イラン核協議合意に次ぐ重要案件としてきた、温暖化対策について、米国のほぼ半数の州から、反旗を翻す提訴の嵐が起こり、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)を間近に控えて、同政権が難局を迎えている”と報じた。しかるに、野党・共和党の抵抗に抗って策定、提出したオバマ政権の削減目標(2025年までに、2005年比26~28%の温室効果ガス排出削減)であるものの、他国の削減目標も含めて、国連事務局が、深刻な温暖化被害を避けるのに必要とされる、平均気温の上昇を2度未満に抑えるためには、依然不十分だと発表したと米メディアが伝えた。
10月30日付
『NBCニュース』 (
『AP通信』 記事引用)は、「国連気候変動枠組み条約事務局のクリスチアーナ・フィゲレス局長(コスタ・リカ外交官、59歳)は10月30日、2020年以降の温暖化対策の新しい枠組み合意に向け、各国が掲げた温室効果ガス削減目標について、その努力は評価するものの、深刻な温暖化被害を避けるのに必要とされる平均気温の上昇を2度未満に抑えるためには、依然不十分だとする報告書を発表した。...
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10月30日付
『NBCニュース』 (
『AP通信』 記事引用)は、「国連気候変動枠組み条約事務局のクリスチアーナ・フィゲレス局長(コスタ・リカ外交官、59歳)は10月30日、2020年以降の温暖化対策の新しい枠組み合意に向け、各国が掲げた温室効果ガス削減目標について、その努力は評価するものの、深刻な温暖化被害を避けるのに必要とされる平均気温の上昇を2度未満に抑えるためには、依然不十分だとする報告書を発表した。国際エネルギー機関(IEA)の分析によると、各国の目標を実行しても、気温上昇は2.7度になるという。」と報じた。
同日付
『ワシントン・ポスト』 紙は、「2009年にコペンハーゲンで開かれたCOP15で合意を見なかった締約国は、今年11月末にパリで開かれるCOP21で枠組み合意を図るべく、10月1日までに146ヵ国・地域(排出量では全世界の86%)が、各国の温室効果ガス削減目標を提出している。しかし、国連事務局の評価では、これらの削減目標が実行されたとしても、2010年の二酸化炭素排出量480億トンが、2025年までに550億トン、更に2030年までには570億トンまで増えてしまうため、気温上昇を2度未満に抑えることはできないという。」と伝えた。
一方、
『ハフィントン・ポスト』 オンラインユースは、「各国が提出した温室効果ガス削減目標は、深刻な温暖化被害を避けるのにはまだ不十分かも知れないが、国連事務局としては、それでも何ら削減目標がないときに比べて、2030年までに毎年70億トンの二酸化炭素排出量を減らすことができるとする。そして、ともかくCOP21で締約国の枠組み合意が得られれば、お互いが更に温室効果ガスを削減すべく努めていく上で良いはずみ、きっかけとなるはずである。」と報じた。
国連の気候変動に関する政府パネルの研究報告によると、温室効果ガス排出量について何も対策しない場合、今世紀末の気温は最大で4.8度上昇すると推測され、地球上の種の絶滅や、極地での氷床の崩壊による海面上昇など、取り返しのつかない影響が出るリスクが高まるとしている。
なお、二酸化炭素排出量上位国・地域が提出している削減目標は下記のとおり(注;2014年排出量合計は355億トン。2012年人口1人当り平均排出量は4.51トン)
① 中国(排出量97.6億トン(27.5%)、6トン/人(48位)):2030年までに減少に転じる。
② 米国(同 59.9億トン(16.9%)、16.15トン/人(13位)):2025年までに、2005年比26~28%減。
③ 欧州連合27ヵ国(同39億トン(11%)、1人当り数値なし):2030年までに、1990年比少なくとも40%減。
④ インド(同20.9億トン(5.9%)、1.58トン/人(99位)):2030年までに、2005年比33~35%減。
⑤ ロシア(同16.6億トン(4.7%)、11.56トン/人(19位)):2030年までに、1990年比25~30%減。
⑥ 日本(同13.4億トン(3.8%)、9.59トン/人(23位)):2030年までに、2013年比26%減。
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米メディア;米国で依然繰り返される白人警官による黒人射殺事件(2015/09/28)
米中首脳会談で、オバマ大統領は、中国における人権問題に懸念を表明したが、その直前に、またしても無防備の黒人が白人警官によって射殺される事件が発生した。昨年8月のファーガソン(ミズーリ州)で、無防備の黒人青年を射殺した白人警官が、その後不起訴になった事件について、中国側から人種差別と激しく非難される事態となっていた。その中国習主席の滞米中に、またしても人権蹂躙と思しき事件が発生したことで、人権問題が全国に拡がるとの懸念を米メディアが伝えた。
9月25日付
『ABCニュース』 は、「ウィルミントン(デラウェア州)で9月23日に、車椅子の黒人男性が白人警官に射殺される事件が発生したが、目撃者が映した携帯電話による動画が明らかになり、当局が調査に入っている。犠牲者はジェレミー・マクドール氏(28歳)で、動画によると、白人警官が拳銃を捨てて手を挙げるように叫んだ後、マクドール氏が従わなかったため、複数の警官が発砲している。ただ、動画からは、マクドール氏が銃を保持していたかどうかは不詳である。...
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9月25日付
『ABCニュース』 は、「ウィルミントン(デラウェア州)で9月23日に、車椅子の黒人男性が白人警官に射殺される事件が発生したが、目撃者が映した携帯電話による動画が明らかになり、当局が調査に入っている。犠牲者はジェレミー・マクドール氏(28歳)で、動画によると、白人警官が拳銃を捨てて手を挙げるように叫んだ後、マクドール氏が従わなかったため、複数の警官が発砲している。ただ、動画からは、マクドール氏が銃を保持していたかどうかは不詳である。」と報じた。
同日付
『ハフィントン・ポスト』 紙は、「ウィルミントン警察署のボビー・カミングス署長は9月24日の記者会見で、マクドール氏が38口径の拳銃を腰から抜こうとしたので、警官が発砲したと述べた。しかし、マクドール氏の母親は、これは明らかな殺人だと主張している。」とし、ウィルミントンのデニス・ウィリアムズ市長のコメントを引用して、「我々は事態を慎重に精査する。その結果は全て開示する。」と伝えた。
一方、9月26日付
『Yahooニュース』 (
『AFP通信』 記事引用)は、「白人警官が黒人を射殺する事件がまたしても発生したことより、米国内の人種差別抗議運動に再び火が点くおそれがある。デラウェア州司法省は9月25日、当該警官たちが、デラウェア州法に従っていたか検証する調査に入っていると発表した。一方、全米黒人地位向上協会(注後記)は、当局関係者ではない第三者を特別検察官に任命して、事実解明を図るよう要求している。」と報じた。
白人警官による黒人被疑者の殺人は、全米で多く発生している。2014年12月に、ニューヨーク市警の白人警官による逮捕時の暴力で死亡したエリック・ガーナ―氏(43歳)の遺族に対して、ニューヨーク市は今年7月、損害賠償請求の和解金として590万ドル(約7億円)を支払う決定をしている。なお、当該警官は不起訴処分となっている。
(注)全米黒人地位向上協会:1909年創立の、全米最古の公民権運動組織で、ボルチモア(メリーランド州)に本部を置く。太平洋戦争時、米市民権を持つ日系米人約11万5千人が強制収容所に収監された際、同じく枢軸国側のドイツ系、イタリア系米人はお咎めなしだったことに対して、人種差別だと激しく抗議した。終戦後、収容所から解き放たれた日系米人を手厚く支援している。
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