12月17日付米
『CBSニュース』は、「国連安保理、IS資金遮断を決議」と題して、「国連安全保障理事会は12月17日、理事国15ヵ国の財務相会合を開き、ISのテロ活動等を弱体化させるため、数十億ドル(数千億円)に上る資金提供の道を絶つための政策についての決議を全会一致で採択した。ISはこれまで、石油密売、薬物密輸、身代金目的の誘拐、シリアやイラクの歴史的遺物の売買などを通じて多くの資金を集めている。そこで米国ルー財務長官のリードで国連安保理は、ISへの資金提供に関わった個人・団体に資産凍結や渡航禁止、また、武器禁輸などの制裁を科す決議案を採択したもの。」と報じた。
12月18日付シリア
『シリア・アラブニュース』(1965年創刊の国営通信)は、「国連安保理、テログループの資金封じ」と題して、「国連安保理でロシアのチュルキン国連大使は、ISが搾取した大量の原油が、シリアからトルコの国境を越えてトルコの石油精製所に運び込まれており、この原油密売によってISは、一日当り150万ドル(約1億8千万円)の資金を得ていると糾弾した。更に同大使は、ロシアの空爆によって原油密売ルートを絶つことに成功したが、ISは依然、その他の天然資源、農作物、工業製品などの売買で年間7億ドル(約840億円)の収入を得ているとも付け加えた。」と伝えた。
また、同日付ロシア
『ロシア国営テレビ』は、「国連安保理、IS資金封じを狙った決議案を全会一致で採択」と題して、「今回の決議案は、各国にIS資金源遮断のため何を履行したかを120日以内に報告すること、また、国連潘基文(パン・ギムン)事務総長にIS資金源を洗い出す報告書を45日以内にまとめるよう求めた。なお、同決議案が採択される前の12月15日、米ケリー国務長官がモスクワを訪問し、ロシアのラブロフ外相と会談して、シリア問題について米ロ間の歩み寄りを図っており、プーチン大統領も12月17日、シリア問題に関し米ロ間の意見の相違はかなり狭められたと強調していた。」と報じた。
一方、12月17日付米
『ABCニュース』は、「国連決議を受けて、米人二人がテロ支援容疑で逮捕」と題して、「国連のIS制裁決議が採択された12月17日、米当局は、ペンシルベニア州の19歳の男を、ISを支援する目的で57ものツイッター・アカウントを保有・運営した容疑で逮捕し、また、カリフォルニア州の22歳の男を、IS戦闘員になるために出国しようとしたところを拘束した。」と伝えた。
更に、12月18日付英
『ハフィントン・ポスト英国版』は、「アノニマス、ISに更なる警告」と題して、「国際的ハッカーグループのアノニマス(注後記)は12月18日、テロリストグループのISに対して新たな攻撃を仕掛けると発表した。ISとインターネットでつながっている世界中のアカウントを焙り出すというもので、既に、IS支援者と認められる2万人のソーシャル・メディアアカウントを特定したという。なお、アノニマスは先月、ISによるパリでの無差別テロ事件を受けて、“パリ作戦”と題したISネット攻撃を仕掛ける反ISキャンペーンを展開するとしていたが、直近数週間では、IS支援者と無関係なネット・アカウントも攻撃されたとして非難されていた。」と報じた。
なお、国連安保理は12月18日、シリアの和平を目指す初めての決議案を全会一致で採択している。決議は、シリア政府(アサド政権)と反体制派の双方が参加する「政権移行プロセス」についての公式な交渉を、来年1月初旬を目処に開く等、シリア内戦終結、和平に向けた段階的なステップを踏むよう、国連がリードすることを求めたもの。これまでの国連安保理決議案は、常任理事国のロシアや中国の拒否権行使で一切採択されていなかった。
(注)アノニマス:ハクティビズムという、政治的な意思表示や政治目的の実現のために、ハッキングを手段として利用する行為、もしくはそのような行動をインターネット上で取る活動家の国際的ネットワーク集団。
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毎年、ノーベル文学賞候補に挙がる、世界で最も著名な日本人作家、村上春樹氏(66歳)であるが、高校時代にどんな本を読んでいたのか、一般人も興味を抱く話ではある。しかし、当時の図書館が保有していた情報を、本人や関係者に無断で新聞報道したことに関して、日本図書館協会が同新聞社に対して、「プライバシーの侵害に当る」としてクレームしたと、米・英メディアでも取り上げられている。
12月2日付米
『ハフィントン・ポスト』オンラインニュースは、「日本の新聞社、村上氏が10代のときに借りた本の情報を勝手に公開」と題して、「もし、誰もが簡単に、他人が若い頃に読んだ本の情報を目にすることができてしまったら、一体どうであろうか。神戸新聞は先月、村上春樹氏が神戸高校在学中に図書館で借りた本の書名を、本人や関係者に無断で報道した。これに対して、日本図書館協会は、“プライバシーの侵害に当る”としてクレームした。しかし、同新聞の小野編集局次長は、村上氏は日本を代表する作家で、その動向は社会的関心事であり、今回の報道は公益性が高いと判断した、と反論している。」とし、「彼が当時借りたのは、フランス人作家の3冊の本だった由だが、同紙によると、村上氏自身は、英、米文学の影響を受けたと語っているが、今回の情報で、若い頃にはフランス文学にも影響を受けていたことが判った、という。しかし、(ハフィントン・ポストのコラムニストは)村上氏は当時借りたその本のことについて語ったことはないし、更に、たった3冊で彼の作風等に影響を受けた証拠などと主張するのは詭弁であり、体の良い言い訳に過ぎない。」と厳しく批判した。
また、同日付英
『ザ・ガーディアン』紙は、「村上春樹氏の借りた本の情報が洩れて、図書館員は大騒ぎ」と題して、「神戸新聞の報道によれば、村上氏が当時借りた本は、フランス人作家、ジョゼフ・ケッセル作の“ベル・デ・ジュール(昼間に稼ぐ娼婦、注後記)”3巻であるというが、同紙は、図書館の蔵書整理中に、当時の“帯出者カード”に村上氏の名前を偶然見付けた図書館員から任意に同カードの提供を受けて記事にしたという。しかし、公開に当り同紙は、村上氏にも、また同カードに名前が書かれた他の人達にも一切了解を取っていなかった。」とし、「村上氏の事務所によると、同氏は本件に関してコメントなどを表明するつもりはないという。一方、同氏は先週、福島で開かれた文学の集いにサプライズ・ゲストとして登場し、物を書くという作業は、一人で(好物の)カキフライを揚げているようなものだと述べている。どちらも孤独なことであるが、小説を書いていて言葉に詰まったりしたとき、一人でカキフライを揚げているんだと思えば、気楽に思えてくるからである、という。」と報じた。
(注)ベル・デ・ジュール:1928年の作品で、1967年、フランス・イタリア合作映画「昼顔」(主演カトリーヌ・ドヌーブ)として上映され、同年のヴェネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞している。
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