米政府;ベネズエラの反米政権マドゥロ大統領を支援したとしてロシア国営石油企業子会社に経済制裁【米・ロシアメディア】(2020/02/20)
トランプ政権はこれまで、反米政権のニコラス・マドゥロ大統領を痛み付けるべく、反体制派のフアン・グアイド国会議長を暫定大統領と認め、支援してきた。しかし、マドゥロ政権には中国・ロシアが深く関わってきており、同政権を力づくで交代させることができない状態となっていた。ただ、反米政権打倒方針は変更しておらず、米政府はこの程、マドゥロ政権の頼みの綱とする同国石油公社PDVSAに巨額の金融支援を行っているとして、ロシア国営石油企業ロスネフチの販売子会社に経済制裁を科すことを決定した。
2月19日付米
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「米政府、ベネズエラに不当な資金支援をしたとしてロシア石油販売会社に経済制裁」
トランプ政権は2月18日、ロシア国営石油企業ロスネフチの販売子会社に対して経済制裁を科すことを決定したと発表した。
声明によると、ロスネフチ・トレイディング社及びディディア・カシミーロ社長に対して、資産凍結並びに国際金融システムからの締め出しという制裁を科したという。...
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2月19日付米
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「米政府、ベネズエラに不当な資金支援をしたとしてロシア石油販売会社に経済制裁」
トランプ政権は2月18日、ロシア国営石油企業ロスネフチの販売子会社に対して経済制裁を科すことを決定したと発表した。
声明によると、ロスネフチ・トレイディング社及びディディア・カシミーロ社長に対して、資産凍結並びに国際金融システムからの締め出しという制裁を科したという。
米政府はこれまで、反米政権のマドゥロ大統領を失脚させるべく、経済制裁を科してきたが、同社がことごとく妨害してきたという。
マイク・ポンペオ国務長官は声明の中で、ベネズエラ産原油の販売・輸送を一手に引き受けてきた張本人だとした上で、“同社がベネズエラ国民を抑圧する独裁者マドゥロを支援してきている”と批判した。
在ベネズエラ米国特命全権大使のエリオット・エイブラムス氏は、同社は2011年にスイス法人として設立され、2014年以来米国による経済制裁が科されている親会社のロスネフチに代わって、ベネズエラ石油公社を助けてきたとする。
具体的には、同社がベネズエラ原油を買い付けた後、輸送原油タンカー名を偽ったりして、主としてアジア諸国に制裁対象のベネズエラ原油を納入してきた、という。
米高官は、ドナルド・トランプ大統領も今回の措置を承認しており、同大統領はかつてウラジーミル・プーチン大統領と会談した際、ロシアがベネズエラを支援することに反対である旨伝えているとも言及した。
一方、ロシアのパベル・ザワルニィ国家院議員(編注;下院相当のロシア議会議員で与党・統一ロシア副党首。エネルギー委員会委員長及びロシア天然ガス協会理事長を兼務)は、米政府の経済制裁に拘らず、これからもベネズエラを支援していくと表明している。
なお、米国他60余りの国々は、2018年の大統領選は合法でなかったとし、グアイド議長を暫定大統領と認めている。
一方、同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「ロシア政府、米国によるロスネフチ子会社への経済制裁でもロシア・ベネズエラ間関係は毀損されないと表明」
ロシア大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は2月19日、米政府がロスネフチ・トレイディング及びカシミーロ社長に経済制裁を科すとの決定を酷評した。
米政府の言い分は、米政府の制裁を回避して、同社が制裁対象のベネズエラ産原油の70%余りも輸出しているというものである。
なお、在米ロシア大使館も、米国企業が依然ベネズエラで事業展開している中で、かかる一方的制裁を科すことは、不公平極まりないと批判している。
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中ロ蜜月の証し;ロシア極東産天然ガスの中国向けパイプライン輸送大事業が完成【米・ロシアメディア】(2019/12/04)
クリミア半島併合以来欧州と敵対するロシアと、貿易紛争や覇権争いで米国とつばぜり合いを繰り広げている中国は、敵の敵は味方よろしく、何かにつけ連携強化を進めてきている。そしてこの程、両国間の蜜月の証しとして、ロシア極東産天然ガスを中国まで大量に供給する輸送プロジェクト「シベリアの力」が完成し、供給が開始された。両首脳もビデオ中継に登場して、“同盟”関係をアピールしている。
12月3日付米
『CNNニュース』:「ロシア~中国宛てのガスプロム社天然ガス輸送パイプライン“シベリアの力”が完成」
ロシア極東産天然ガスを中国にパイプラインで輸送する、年間数十億ドル(数千億円)の収益を生むプロジェクトが12月2日に日の目を見た。
正しく、中ロ両国の経済及び政治的蜜月関係を表示する事業である。
中国国営『新華社通信』の12月3日付報道によると、同プロジェクトは「シベリアの力」と命名された総距離8,100キロメーター(5,000マイル)以上に及ぶ天然ガス輸送パイプラインで、2024年までには年間380億立方メーターの輸送規模になるという。...
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12月3日付米
『CNNニュース』:「ロシア~中国宛てのガスプロム社天然ガス輸送パイプライン“シベリアの力”が完成」
ロシア極東産天然ガスを中国にパイプラインで輸送する、年間数十億ドル(数千億円)の収益を生むプロジェクトが12月2日に日の目を見た。
正しく、中ロ両国の経済及び政治的蜜月関係を表示する事業である。
中国国営『新華社通信』の12月3日付報道によると、同プロジェクトは「シベリアの力」と命名された総距離8,100キロメーター(5,000マイル)以上に及ぶ天然ガス輸送パイプラインで、2024年までには年間380億立方メーターの輸送規模になるという。
同プロジェクトの操業開始式典には、習近平(シー・チンピン)国家主席及びウラジーミル・プーチン大統領がビデオ中継に登場して、同プロジェクト完成を祝った。
ロシア国営『タス通信』は、プーチン大統領が、このプロジェクトの完成によって、両国間においていよいよエネルギーのみならず全方面での戦略的パートナーシップが強化されることになると語ったと報じた。
ロシア国営ガスプロム社(1989年設立の世界最大の天然ガス生産・供給企業)の運営する同プロジェクトは、2014年に習・プーチン両首脳の基本合意で推進されることになった、総額4,000億ドル(約44兆円)に上る大事業である。
2014年に事態が大きく動いたのは、同年2月のロシアによるクリミア半島併合に伴う欧州による対ロシア制裁が契機になっているとみられる。
一方、中国としてもここ数年、大気汚染や温室効果ガス削減問題に対応する必要に迫られ、石炭火力から他エネルギー源への転換に取り組まざるを得なくなってきている。
上記のロシア産天然ガス輸送事業に加えて、中国は今年4月、米石油大手エクソン・モービルと液化天然ガスの20ヵ年売買契約を締結している。
また、『新華社通信』によると、中国は2030年までに総エネルギー源に占める天然ガスの比率を15%まで高めることになるという。
更に、もうひとつの“クリーンエネルギー”である太陽光発電規模において、中国は2021年までに欧州連合(EU)を凌駕することになると見込まれている。
なお、習・プーチン両首脳の下で、中ロ間貿易高は2018年に、前年比+30%の1,070.6億ドル(約11兆7,770億円)まで大幅増となっている。
同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「ロシア/シベリア~中国/上海のガスパイプライン事業完成で米国“戦略的影響力”を減殺」
12月3日に操業を開始した、ロシア/シベリアから中国/上海を繋ぐ天然ガス輸送パイプライン事業の完成によって、これまで世界のエネルギー市場を席巻していた米国の制圧権を減殺することになろう。
国際外交・安全保障問題研究者のマーク・スレボダ氏は12月2日、『スプートニク』のインタビューに答えて、同プロジェクトはロシア天然ガス業界にとって最大の事業であり、これによってロシアの外交政策を大きく飛躍させることになろうとコメントした。
また、輸送パイプラインが敷設されたということは、両国間の揺るぎのないエネルギー協力関係が構築されたことであり、かつ、これによって両国は、これまで世界のエネルギーを牛耳ってきた米国に対する強力な対抗勢力となる、と付言した。
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