ロシア;極東で与党・統一ロシアに反発する1万人規模の市民デモ【欧米・ロシアメディア】(2020/07/19)
ロシアでは6月下旬に行われた国民投票の結果、ウラジーミル・プーチン大統領が2036年まで現職に留まれることを可能にする改正憲法が成立した。支持率が急落しているとは言え、同大統領の長期政権はひとまず安泰とみられる。しかし、地方では中央政府のやり方に異議を唱える市民も少なからずいるようで、極東のハバロフスク地方(注後記)では、同地方政府知事(野党出身)を当局が不当逮捕したことに抗議して、1万人規模の市民がデモ行進を行った。
7月18日付
『ロイター通信』、
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙:「ロシア極東の市民1万人が地元知事の不当逮捕に対する抗議デモ」
ロシア極東のハバロフスク地方において7月18日、少なくとも1万人規模の市民が幹線道路をデモ行進し、連邦政府当局によって不当に逮捕された同地方政府知事の解放を求めて抗議した。
デモ隊の一行は、ある者は不当逮捕を非難し、またある者は公平で開かれた裁判を要求する等の声を上げた。...
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7月18日付
『ロイター通信』、
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙:「ロシア極東の市民1万人が地元知事の不当逮捕に対する抗議デモ」
ロシア極東のハバロフスク地方において7月18日、少なくとも1万人規模の市民が幹線道路をデモ行進し、連邦政府当局によって不当に逮捕された同地方政府知事の解放を求めて抗議した。
デモ隊の一行は、ある者は不当逮捕を非難し、またある者は公平で開かれた裁判を要求する等の声を上げた。
不当逮捕されたとされるのはセルゲイ・フルガル知事(50歳)で、2018年の知事選において、ウラジーミル・プーチン大統領の支援を受けた与党・統一ロシア(2001年設立の保守系右派政党、連邦議会の圧倒的第1党)の候補を破って当選した、ロシア自由民主党(1990年設立の極右政党、連邦議会の第3党)の政治家である。
同知事は7月9日、15年前に発生した複数の実業家殺人事件に関わった容疑で逮捕され、先週モスクワに連行されていて、現在は裁判待ちの状態である。
同知事は容疑を全面否認しているが、もし裁判で有罪が確定すると、最悪終身刑が科される恐れがある。
同地方では、不当逮捕に抗議するデモが7月11日から始まり、7月18日までで8日連続となっている。
デモに参加した女性は、自分たちが選んだ知事を守るのは当然だと表明した。
ハバロフスク市長事務所の発表では、デモ隊は1万人に満たないとされていて、デモ自体は暴動もなく行われたため、逮捕者は出ていないという。
ただ、地方紙は、デモ隊の規模はもっと多いと報じている。
一方、先週モスクワで行われた、プーチン大統領の長期政権を許容した改正憲法に反対する数百人規模のデモ行進では、数十人が逮捕されている。
同日付『ロシア・ヘラルド』紙:「極東で数千人が地元知事逮捕に抗議してデモ行進」
7月18日に極東のハバロフスク市の目抜き通りで行われたデモ行進には、暑い気候かつ新型コロナウィルス感染流行の恐れがある中、1万人近くが参加し、口々に不当逮捕されたフルガル地方知事の解放を訴えた。
同市は無許可デモとしているが、2時間ほど行われたデモについた警察官らは特にデモを解散させる等の行動は取らなかった。
現地の取材に当たった『スプートニク・インターナショナル』紙特派員によると、念のため救急車が2台デモに随行していて、急病人の発生に備えたという。
そして、救急救命士が同紙に語ったところによると、“暑い日であったことから、多くのデモ参加者が気分を悪くしており、自身の救急車含めて都合3人の急患を病院まで搬送した”という。
なお、ハバロフスク市のセルゲイ・クラチャック市長は、デモ隊がソーシャルディスタンシングを守っていないことを非難した。
また、ハバロフスク地方駐在の大統領府高官のユーリ・トゥラトネフ氏は、フルガル知事逮捕に抗議する市民の気持ちは理解するとしながらも、警察は証拠がなくかかる措置を講ずることはないはずだとコメントしている。
(注)ハバロフスク地方:ロシア連邦の地方区分における極東の1地方。ロシアには、地域区分上の46州、9地方、3連邦市、また、民族区分上の22共和国、4自治管区、1自治州という異質の概念から成る連邦構成主体(合計85)がある。なお、クリミア半島併合は国際社会が認知していないため、同半島内の1連邦市と1共和国は上記から除かれ、ロシア国外では83と解釈されている。
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トランプ大統領姪の回顧録;デートを断られたポップスの女王マドンナをボロクソにいう身勝手な男と暴露【英国・ロシアメディア】(2020/07/11)
先月のGLOBALiで報じたとおり、ドナルド・トランプ大統領(74歳)は、大統領補佐官だったジョン・ボルトン氏発刊の回顧録の中で、“無能”かつ“大統領に必要とされる適性もない”と扱き下ろされた。そして今度は、来週発刊される同大統領姪のメアリー・トランプ氏の回顧録の中でも、“ポップスの女王マドンナからデートを断られた腹いせに、彼女を散々侮辱する発言をした”身勝手な男だと暴露されている。
7月10日付英国
『ジ・インデイペンデント』紙:「トランプ大統領の姪の回顧録、かつてマドンナからデートを“断られて”いたと暴露」
ドナルド・トランプ大統領の姪であるメアリー・トランプ氏(55歳)が執筆した回顧録、「尽きることなき貪欲さ(Too Much and Never Enough);如何にして我が一族は世界一危険な男を生み出したか」が来週発刊される。
米メディア『USAトゥデイ』紙の引用によれば、同氏は1990年代、実業家だった当時のトランプ氏のアシスタント経由、半生記「復活を果たした男(The Art of the Comeback、注1後記)」のゴーストライターを依頼されたという。...
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7月10日付英国
『ジ・インデイペンデント』紙:「トランプ大統領の姪の回顧録、かつてマドンナからデートを“断られて”いたと暴露」
ドナルド・トランプ大統領の姪であるメアリー・トランプ氏(55歳)が執筆した回顧録、「尽きることなき貪欲さ(Too Much and Never Enough);如何にして我が一族は世界一危険な男を生み出したか」が来週発刊される。
米メディア『USAトゥデイ』紙の引用によれば、同氏は1990年代、実業家だった当時のトランプ氏のアシスタント経由、半生記「復活を果たした男(The Art of the Comeback、注1後記)」のゴーストライターを依頼されたという。
結局断ったが、アシスタントから送られてきた元になる10ページの原稿の中に、トランプ氏がかつてデートに誘ったものの思いを遂げられなかった相手の女性に対して、“自身が会った中で最悪で最も醜く、しかも超肥満の愚か者、だと酷評する件があった”ことに辟易したという。
同氏のデートの誘いを断って、後に酷評された女性の中には、ポップスの女王マドンナ(61歳、注2後記)も含まれているという。
なお、同氏の回顧録は、同氏とトランプ一族との間で法廷闘争に持ち込まれているが、発刊は差し止められていない。
また、ホワイトハウスのケイリー・マケナニー報道官(32歳)は、同回顧録は“嘘の塊”でかつ“真実を一切含まない、愚かでばかばかしい記述”だと非難している。
一方、マドンナは、今回『ジ・インデイペンデント』紙はコメントを得られていないが、かつて、トランプ氏が当選後の2017年に行われたウィメンズマーチ(注3後記)に集まった50万人の女性の前で、“ホワイトハウスを爆破させてしまいたい気持ち”だと発言して、同大統領を嘲っている。
同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「回顧録;マドンナに袖にされたトランプ大統領がその腹いせに“最も醜く超肥満の愚か者”と罵ったと暴露」
メアリー・トランプ氏の回顧録によれば、トランプ氏は女性から袖にされても、静かに引き下がることはせず、逆に手のひらを返して振った女性を罵倒したという。
例えば、マドンナには“最も醜く超肥満の愚か者”と腐したかと思えば、冬季オリンピックで2つ連続の金メダル、世界選手権でも4回の優勝を誇るカトリナ・ビット元フィギュアスケート選手(東ドイツ出身、現54歳)に対しては、太いふくらはぎの持ち主だと誹謗したという。
これに対してマドンナは、2017年のウィメンズマーチの際に聴衆の前で同大統領を嘲っただけでなく、先月もインスタグラムの中で、トランプ氏は“ナチス党員(高圧的な人)”でまた“社会病質者(人格障碍者)”だと酷評している。
(注1)The Art of the Comeback:1997年発刊のドナルド・トランプ氏半生記。実業家の同氏とジャーナリストのケイト・ボウナー氏の共著で、1990年に破産した同氏が如何に復活を果たしたかを詳述。
(注2)マドンナ:本名はマドンナ・ルイーズ・ベロニカ・チッコーネ。米国の音楽家で、歌手、女優、作曲家、ダンサー、ギタリスト、映画監督、文筆家、実業家など、活動は多岐にわたる。世界で最も成功を収めた女性音楽家であり、史上最も売れたアーティストの一人。一般的に「クイーン・オブ・ポップ」と称される。
(注3)ウィメンズマーチ:2017年1月21日のトランプ大統領就任日に行われた、同大統領の女性差別等に抗議する大規模デモ。首都ワシントンDCの50万人を初め、全米408ヵ所に総勢300~500万人が参加したと言われ、1日のデモ参加者規模としては米国最多。また、この運動に賛同して、世界81ヵ国、168ヵ所でも同様趣旨の抗議デモが繰り広げられた。
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